大宮南vs川越東
大宮南の機動力全開!5回コールドで川越東を下す!!
<春季高校野球埼玉県大会:大宮南13-2川越東(5回コールド)>◇22日◇1回戦◇UD上尾スタジアム
先発は大宮南が昨夏の山村学園戦で好投し、今春も地区予選で川口市立戦に好投したエースの高山 寛大投手(3年)、一方、川越東の先発はエース名取 由晃投手(3年)ではなく、地区予選同様に2年生左腕・宮城 勇輔投手が先発し試合が始まる。
試合はよもやの展開となった。
先制したのは大宮南であった。
大宮南は初回、川越東・宮城の立ち上がりを攻め、1死から2番・海北 圭太(3年)が左前安打を放ち出塁すると、2死後、4番・越石 遥也(3年)も四球を選び1死一、二塁とする。ここで続く中川 昭蔵(3年)が右前適時打を放ち1点を先制する。
一方の川越東もその裏、大宮南・高山の立ち上がりを攻め、先頭の柴崎 悠里(3年)が右前安打を放ち出塁すると、続く山中 悠生(3年)がきっちりと送り1死二塁とする。2死後、4番・首藤 諒祐(3年)の投ゴロが相手エラーを呼び同点とする。
だが、この日の大宮南は違った。
2回表、この回先頭の山田 将恵(3年)が四球を選び出塁すると、続く中嶋 優人(3年)がきっちりと送り1死二塁とする。続く深津 優希(3年)のところで二走・山田将が三盗を決めると、深津も右前適時打を放ち2対1とする。さらに1番・今井 理仁(3年)が中前安打を放ったところで、川越東ベンチはたまらず先発・宮城を諦め、2番手に右サイド・津村 佳典(3年)をマウンドへ送る。
大宮南は3回表にも、川越東の2番手・津村を攻め立て、この回先頭の越石が三ゴロエラーで出塁すると、続く中川昭とのところで大宮南ベンチはエンドランを仕掛ける。中川昭は期待に応え右前安打を放ち無死一、三塁とすると、続く高山、山田将のところでもエンドランを仕掛け、これがことごとく適時打となりまず2点、さらに内野ゴロの間に1点を追加し、この回3点を奪い5対1とする。
それでも川越東はその裏、この回先頭の柴崎が相手のお見合いもあり中前へポトリと落ちるヒットを放ち出塁すると、続く山中がきっちりと送り1死二塁とする。2死後、首藤は遊ゴロを放つがこれが相手エラーを呼び1点を返す。
迎えた4回表、大宮南は先頭の今井理が二ゴロエラーで出塁すると、さらにボークで二塁へと進む。1死後、3番・菊池 優真(2年)が一塁強襲ヒットを放ち1死一、三塁とすると、2死後、一走・菊池は二盗を決め2死二、三塁とチャンスを広げる。ここで、続く中川昭が左中間へ2点適時三塁打を放ちまず2点。
大宮南の猛攻はこれでは終わらず、6番・高山が四球を選び2死一、三塁とすると、続く山田将が右前適時打を放ち1点追加。さらに8番・中嶋が右越えの2点適時三塁打を放つと、続く深津も右前適時打を放つなど、結局この回一挙6点を奪うビックイニングとし、11対2としコールドペースへと持ち込む。
5回表にも、大宮南は今井理、菊池の四球を足がかりとし、中川昭、高山の連打でさらに2点を追加した。
投げてはエース高山が川越東打線に対し、危なげなく5安打2失点でまとめる。結局、大宮南が川越東に5回コールド13対2で勝利し、初戦を突破した。
まずは大宮南だが、エース高山が安定した投球を披露すれば、「エンドランはチームカラー。とにかく攻め続ける。どうせアウトになるなら走ってアウトになるのも、打ってアウトになるのも同じ」(蓜島監督)
攻撃では主に足で掻き回し、この試合14安打7盗塁13得点を奪うなど完璧な試合運びであった。次の相手は好投手・橋本 海里投手(3年)を擁する滑川総合だが、この勢いをぶつけたいところであろう。
一方の川越東だが、公立高校相手に5回コールド負けというのは久しく記憶にない。もちろん、エース名取が不在というエクスキューズはある。だが、これまで言ってきた高いレベルでの競争とは一体なんだったのであろうか。この試合、何よりいただけなかったのは、二塁牽制や二遊間、一、二塁間のポジショニングが曖昧で、何度もそこをつけ込まれ、相手にやりたい放題の状況を作ってしまったことだ。
「守備からゲームが作れなかった。投手陣は投げてみないとわからないところが出た。今日は牽制のところで動揺してしまった。一つアウトにできれば乗れたが修正できず最後までチグハグだった。夏までにまずは全員が一人も抜けることなく夏を臨めるように。まずはメンタル。大きなリスクを背負ってしまったが夏は大きな結果が出るように」(野中監督)
川越東は私学だ。それだけに何も3年生に限らず、場合によっては1、2年生を積極起用するなど思い切った変化が必要になりそうだ。それだけショッキングな敗戦であった。夏まで時間がないだけに大きく何かを変えなければならない。
(取材=南 英博)