西尾東vs岡崎北
主力を欠く中、西尾東はことごとく1、2番が出塁し3番が帰す形で会心の勝利
8イニングを投げ切った西尾東・中山君
<高校野球秋季愛知県大会西三河地区:西尾東15-6岡崎北>◇18日◇Dゾーン3回戦◇刈谷
甲子園ではベスト8対決が行われていたこの日、全国の高校野球では既に新チームがスタートしている。愛知県では早くも秋季県大会出場を目指しての地区予選大会が始まっている。西三河地区では、まずはすんなりと一次予選を勝って行きたいという戦いのブロック3回戦となっている。
この夏は、初めてシード校として挑んだ西尾東。初戦では注目の大型内野手がいて、春の全尾張大会も制していた誉を下したものの、4回戦で東浦に屈した。改めて勝ち上がっていく難しさも思い知らされたが、そんな気持ちも新たに学習材料していきながら新チームはスタートしている。
岡崎北は、夏の初戦では実力校の大府を下し、3回戦でも知立東に勝利したが、4回戦では夏に旋風を巻き起こしていた富田の勢いに屈した。ともに夏は4回戦で屈した。実は、もしそこを勝っていたら組み合わせで5回戦では直接対決していたカードでもある。また、西尾東の野田圭佑監督と岡崎北の大西洋輔監督は同級生で、秋の全三河大会決勝で刈谷と成章で戦っている間柄でもある。そういう意味でも、ちょっと興味深い対戦となった。
朝方まで降った雨の影響で、グラウンド整備などで時間を費やして、試合開始は予定より大幅に遅れて10時46分プレーボールとなった。
西尾東は複数の部員に陽性反応が出てしまい、濃厚接触と判断された選手もいて主力も欠いて戦う苦しい布陣となった。それでも、これまで試合に出ている1番の野呂、3番の1年生柴田らが必死の思いで戦い、ことごとくいい形を作り、柴田などはチャンスに必ず長打するという形で8打点。大活躍で気を吐いて、チームも県大会出場と全三河大会出場を決めた。
初回、西尾東はいきなり連打でチャンスを作って、3番柴田が中越え二塁打して2人の走者が相次いでかえった。素晴らしい勢いのある先制攻撃だった。さらに1死後、松岡も一、二塁間を破るなどしてさらに畳みかけかかったが、大山の一打は遊直で併殺となって勢いが止まった。
その裏、岡崎北もすぐに反撃する。先頭の寺地は右越え三塁打で出る。寺地は内野ゴロで本塁アウトとなったが、2死一、二塁から相手失策で1点を返した。こうしてまずは点を取り合う形で試合は始まった。
3回にも西尾東は連続四球で一、二塁とした後に3番柴田が今度は右越え三塁打して2者を迎え入れた。なおも、四球後5番松岡も中前打で5点目を奪った。なおもバント失策などで無死満塁とビッグイニングのチャンスが続いたが、その後は下位打線が岡崎北の太田を攻略しきれなかった。
そして、取られたらすぐに岡崎北も反撃していく。2番左右田と3番太田の連打と暴投で、1死二、三塁としたところで、5番高橋が一塁線を破る二塁打で2者をかえす。
4回にも西尾東はボークで、岡崎北は2番左右田の三塁打で1点ずつを取り合う。こうして、西尾東が取ると岡崎北も追いすがるという展開で、6回も西尾東は1死後、野呂と野口の1、2番が出ると、続く柴田の二塁打で2者をかえす。その裏、岡崎北もまた森山の二塁打と寺地の適時打で1点を返す。こうして西尾東がリードし、岡崎北が何とか追いかけるという展開で、岡崎北もことごとく点を取られた直後の回に返していた。しかし、その流れは7回で途切れた。
この回は、太田が制球を乱して連続四球。さらにリリーフした2塁手の平野も4四球で、結局無安打で西尾東は3点を奪い、その裏を0に抑えたことで試合の流れを完全に呼び込んだ。
8回にも西尾東は3四球と、黒柳の二塁打などでさらに3点を追加。その裏を中山は1失点に抑えて、結果的にはコールドゲームということになった。
野田監督は、「この勝ちは大きいです。万全じゃない形の中で、出ている選手たちが必死になってやってくれて、県大会と全三河大会の出場も決めました。こうしたことがまた、選手たちの自信になっていくはずです」と、力強く思いを語っていた。夏の経験者がほとんどいない中で、スタンドで応援していた下級生たちが、試合を見ながら学習していくというスタイルも西尾東の伝統になってきている。それだから、こうして一つひとつ試合を積み重ねてチームが成長していくことに繋がっていくのは非常に大きいということである。
岡崎北の大西監督は、「今のチーム状態としてはいっぱいかもしれませんが、大田は少し四球が多かった。このあたりが、付け入られるスキにもなっていった」と、試合の流れの悪さを見直していた。
(取材=手束 仁)