聖パウロ学園vs大東学園
17失点でも今後の可能性を感じさせた大東学園・愛澤達也
愛澤達也(大東学園)
聖パウロ学園の初戦。初回から連打で一死一、三塁のチャンスを作り、4番清水の内野ゴロで1点を先制。その後は押し出し四球や敵失で一挙7点を先制。その後も打線がつながり、相手のミスなどが重なり、4回まで17点を挙げた。聖パウロ学園が5回コールド勝ちで代表決定戦に進出した。
今回、ピックアップしたいのは敗れた大東学園の先発右腕・愛澤達也だ。17失点を喫したが、それほど悪い投手には見えなかった。
182センチ85キロと恵まれた体格をしていて、ステップ幅が狭い投球フォームから角度良く振り下ろすフォームから繰り出す直球は常時120キロ~125キロ前後で、この日行われた2試合4チームの中でも球速は上位で、何よりボールに角度がある。大きく武器にしているのは2種類のスライダーだ。まずカウントをとるための100キロ台の縦スライダー、そして三振を狙う110キロ近いスライダーがある。子のスライダーは聖パウロ学園の打者はボール球とわかっていても空振りをしてしまい、3回までに7奪三振を記録。もしフライが上がったときの打球判断のミスなどがなければ、失点は抑えられたかもしれない。
大東学園の小林監督は「確かに守備のミスが多く、愛澤にとっては苦しいマウンドでした。それでも腐らずに投げ続けていましたし、それが5回表の無失点につながったと思います」と評価する。だが、愛澤は「全然カバーできていないと思います。ストレートが走らなかったですし、高めに浮くことが多く反省点が多かった試合でした」
ただ5回を投げて8奪三振を記録したのは大きな自信となった。
「聖パウロ学園打線相手に三振が奪えたのは自信になりますし、今日の課題をいかしていきたい」
そして夏では1勝と9回まで試合をすることを目標としている。
「もちろん1勝を挙げたいのですが、それよりも僕はこれまでの試合で9回まで試合をした経験がありません。本当に夏では9回まで試合をしたいんです」
責任感が強く、上昇志向が強い愛澤にナインは応えることができるか。
チーム全体のレベルが上がれば、注目度が上がる投手になるだろう。
(取材=河嶋 宗一)