【東京春季大会一次予選】都立城東が追い上げる海城を何とか振り切って本大会進出を果たす
城東・松尾颯祇
<春季東京都高校野球1次予選:都立城東9-5海城>◇20日◇代表決定戦◇成蹊学園
都立城東は過去、1999年と2001年夏に甲子園出場を果たしているが、2001年の甲子園出場の際に4番打者として活躍していたのが内田稔監督だ。その後も、ベスト4に進出するなど、東東京では21世紀枠でセンバツ出場を果たしている都立小山台や、03年夏に甲子園出場した都立雪谷などと並んで、都立の強豪として定着している存在だ。もっとも、昨秋は八王子実践に敗れて本大会進出を逃している。それだけに、今春の大会では、まずは本大会進出を果たしたいところであろう。1次予選の初戦では会場校の成蹊に9対2でコールド勝ちして、この代表決定戦に進出している。
その都立城東に挑む形になったのが、かつての海軍兵学校を目指す生徒たちの予備校として設立されたという歴史を汲む海城である。創立以来130年以上の歴史を有する男子校であり、難関大を目指す生徒たちからは人気の進学校でもある。新大久保駅からほど近い都心にある学校は、グラウンドも広くなく野球部活動という点からすれば、必ずしも恵まれた環境ではない。それでも、今大会では1回戦では都立五商を12対2のコールドゲームで下して代表決定戦へ進出してきた。
天気予報では、午後からは天気が崩れるようだということも告げられていたので、1試合目が早く終わったということもあって、予定よりかなり早くプレーボールとなった。途中、雨による10分ほどの中断はあったが、結果的には、本部のその判断は正解だったということになった。
この試合前の都立城東は、チーム状態としては、必ずしも万全ではない状態だということだった。それでも、初回には1番・田村が安打すると、すかさず盗塁を決め、さらに三塁まで進めて、4番・小関の左前打で先制。2回にも松尾、藤代が三塁打、二塁打と長打を連ねて、相手のバント処理ミスやバント安打に犠飛や相手失策も絡んで4点が入る。守っても3回には無死満塁から投手からの本塁併殺プレーで交わした。その回に1点は失ったものの、都立城東としては、いい形の前半だった。
先発した柳瀬投手は3回で外野へ回り、4回からはここまでマスクを被っていた松尾捕手がマウンドに立った。内田監督は「柳瀬も、もっと投げられていいはずなんですけれども、安定感があるので松尾に任せた形になった」というつもりで送り出した。
6回にも都立城東は1死から、松尾の安打に、二盗、三盗とかき回して、犠飛に9番・伊東陸の安打などで、さらにリードを広げた。このままいけば、コールドゲームの可能性もあるかなというところだったのだが、海城は7回に反撃する。この回先頭の6番・星が二塁打。暴投で三塁へ進むと、代打・山本が適時打。なおも一宮の左前打に失策なども重なって、この回に海城は3点を返した。海城の各打者は、思い切りよくスイングしてきているので、都立城東としても、安心はしていられないであろうという雰囲気になってきた。
それでも都立城東は、8回にも伊東ら下位打線がしぶとく打っていき、相手失策もあって2点を追加した。
しかし、海城も粘る。9回にはこの回先頭の、8番・一宮が懐に入ってきた松尾投手の球を思い切りよくスイングすると、右翼ポールを巻くようにして柵越え本塁打となった。飛ばないと言われている新基準バットでも、こういう形で本塁打になるんだ、と思わせてくれる一打だった。こうして、海城はリードされてもくい下がっていったが、都立城東バッテリーも、何とか粘る海城打線を交わして逃げ切った。
内田監督としては、「あまりいい状態ではない中で、それなりに良かったといっていいのではないかと思う。とにかく、本大会へ進めてよかった。多少は時間もあるので、次までには、いい状態にしておきます」と、2週間の間には、しっかりとチームを整えていくという心積もりを語っていた。
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