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山崎福也が話す高校・大学での成長とは!?

2023.12.07


6日、オリックスから日本ハムにFAで加入した山崎 福也投手(日大三-明治大)がエスコンフィールドで入団会見を行った。4年推定10億円(金額は推定)で背番号は18に決まった。

入団会見に同席していた新庄監督から本拠地のエスコンフィールドでの開幕戦先発に指名され「伏見くんと組んで思おうと思います」と宣言。オリックス時代にバッテリーを組んだ伏見 寅威捕手とのコンビ復活に話題となった。

山崎は日大三時代、2010年のセンバツでは準優勝に輝いている。卒業後は明治大に進み2年の春から先発ローテーションの一角を担い、3年時には2季連続でベストナインにも選ばれている。大学通算成績は61試合に登板、20勝10敗、防御率は2.20を記録している。大学4年時に取材した高校・大学での取り組みのインタビューを振り返ってみた。
(インタビュー初掲2014年4月1日)

***************

高校時代は第82回選抜高等学校野球大会で準優勝。投打とも大活躍を見せました。卒業後は明治大に進学し、3年春からエースとして6勝を挙げ、優勝に貢献しました。山崎 福也選手から高校時代に意識していたことを伺いました。

とにかく初戦勝利を目指した選抜
――2010年の選抜を振り返っていただきたいと思います。まず2010年は桐蔭学園と最後の枠で争っていましたが、あの時の心境はいかがでしたか?
山崎 福也選手(以下「山崎」) あの時は選ばれると思っていなかったので、夏へ向けてやっていこうとチームの中でありまして、特に意識せずに、普通にグラウンドに来て練習をしていました。だから選ばれたときはすごい驚きの気持ちとうれしい気持ちで、選ばれたからには切り替えていかなければならないなと思いました。
――秋の大会ではベスト4。冬はどんなことに取り組んでいたでしょうか?
山崎 まず冬の強化合宿がありまして、それに向けてチームのみんなで体を作って、次の年の夏へ向かってがんばっていこうと合宿に入りました。
――日大三といえば年末に行われる合宿ですよね。あの合宿の話を聞かせてください。
山崎 2週間ありますけど、朝の5時から夜の21時半~22時に終わるサイクルを2週間繰り返す感じですね。
――投手陣はどんなメニューをこなしてきたのでしょうか?
山崎 投手陣だけではなく、朝から全員一緒に走り込みを行います。下半身を鍛えるメニューを行うんですけど、午前中は投手も野手と同じメニューをこなします。午後は打撃、ポジション別ノック。とにかくノックが多かったですね。食事を挟んで、夜間の練習を22時までやっていました。夕食もどんぶり何杯食べるというのが決まっていました。
――選抜に選ばれた後、どんな目標を立てましたか?
山崎 もう一戦、一戦しっかりと戦って、まず初戦に勝つことを目標にして、優勝なんて考えていませんでした。
――どうでしたか? 甲子園の初マウンドは?
山崎 その前年の夏(2009年)に一塁手で、甲子園でプレーしているんですけど、いざマウンドに立ってみたら、圧倒されたといいますか、周りのファンの方の多さに驚かされました。
――初回の失点(2失点)はやはり甲子園から来る緊張でしょうか?
山崎 確かに失点したのですが、そこで緊張がほぐれた感じがして、そのあとは落ち着いて投げることが出来ました。

投手よりも野手として満足いく選抜だった
――初戦の山形中央戦(2010年3月21日)では14対4で勝利、向陽戦では2対1でした。
山崎 2回戦は1点に抑えられたので、自分の投球は出来たと思っています。ただ両チームとも21世紀枠からの出場ですけど、普通に強いチームでした。
――準々決勝(2010年3月31日)は敦賀気比と対戦。10対0の完封でした。
山崎 敦賀気比が打てるチームなのは、前の試合のビデオを見て感じていましたが、この試合はよく投げることができました。
――準決勝はエースの有原 航平投手がいた広島広陵に勝利し、決勝(2010年4月3日)では興南と対戦でした。興南といえばエースの島袋 洋奨投手と対戦してどんな印象を受けましたか?
山崎 まず真っ直ぐのキレが良いと思ったことですね。コントロールもすごい良かったですね。何より凄かったのは高校生なのに、左打者の膝元にしっかりとコントロールできること、同じ投手として見習いたいと思いました。
――選抜5試合を通じて、ご自身の投球はどうでしたか?
山崎 もう野手に助けられてばかりでしたね。投手としてはそんなに満足いく出来ではなかったです。むしろ打撃の方が良かったですね。大会記録を残すこともできました。
――山崎選手の打撃を見ていると、右、左に打ち分ける広角的な打ち分けていたのが印象的でしたが、左右に打ち分ける打撃ができるために技術的に工夫したことは何でしょうか。

山崎 自分は外角全般が得意で、苦手はインコースでした。練習中では苦手なインコースを克服するためにどんな打ち方をすればいいかを考えて取り組んだ結果が、大会記録を残すほどの打撃が出来たことだと思っています。
――卒業後、明治大に進学。その時から投手1本でやることを決めていたのでしょうか?

山崎 投手志望だったんですけど、自分は打撃にも自信があったので、2年まで野手を兼ねながら試合に出場をしていました。
――最初、大学に入ったとき、レベルの違いはどう感じましたか?
山崎 投手のメンバー見ても、野村 祐輔さん(現広島 独占インタビュー 明治大学 野村 祐輔選手)、難波 剛太さん(現東京ガス)、柴田 章吾さん(現巨人)と凄い人しかいなくて、このメンバーに入るのはキツイと思った時期もあるんですけど、なんとか入ることができました。

大学では右手の使い方を学んで、ブレイク
――3年になって投手に専念した理由を教えていただけますでしょうか?
山崎 3年春にアメリカキャンプがあったんです。アメリカのチームといろいろ試合をしたんですけど、そこでコツを掴みまして、球自体も一気に速くなりました。
――コツですか。技術的にどんなことを工夫されたのでしょうか?
山崎 投球動作に入るときに、グラブを持つ右手の使い方を改めました。右足を上げて、踏み出してから右腕を本塁方向に向かって伸ばす動作がありますよね。その動作が小さいことを監督から指摘をいただきまして、もっと大きく伸ばす使い方に改めました。その動作に変えてから、球が一気に速くなりました。
――グラブを持つ右手の使い方は大事ですよね。
山崎 アメリカキャンプの時に善波監督に右手の使い方の大事さを教えていただきました。そこからどんどん変わっていきました。右手の使い方に限らず、他の体の使い方も変わってきました。
――1つ良くなることで体全体も変わってくるものなのですね。
山崎 そうですね。今までグラブを持つ右手の使い方の意識が低かったのですが、投球動作に入るときに右手を大きく使うことで、体の使い方も良くなりました。右手を大きく使うことで、体全体で投げているイメージを掴んで、フォームにダイナミックさが生まれてきましたね。
――球速は149キロまで伸びたようですが、変化球の切れも良くなったんですよね。
山崎 変化球がだいぶ増えましたね。曲がり方、落ち方、キレ、制球力もアップしました。高校時代は大きく曲がるスライダー、カーブと2つぐらいしかなくて、それプラスカットボール、ツーシームも投げられるようになりました。
――変化球の曲げ方は、変えたりとかはしましたか?たとえばスライダーは横に曲げていたけど、縦に変えたりしたなど。何か変えたことを教えていただければと思います。
山崎 それはあります。カーブなんですけど、高校の時は球速が遅く、曲がりはじめるのが早くて、打者にとって見極めやすく、実戦的ではなかったと思います。打者にとって嫌な変化といえば、手元で急に曲がる変化だと思い、大学に入ってからはその変化がするカーブを投げられる練習に取り組み、ようやく投げられるようになりました。
――3年春は6勝、秋は5勝と年間11勝を挙げましたが、自分の思い通りの投球が出来たと感じていますか?
山崎 春は自分の力で6勝できたと思うのですけど、秋は野手陣に助けられました。そんな中でも5勝出来たのは良かったと思います。
――フォームの改良だけではなく、トレーニングで工夫していることはありますか?

山崎 股関節の柔軟性を大事にしています。そのため日々、ストレッチをして、柔らかくすることをやっています。トレーニングも下半身のスクワットメニューを中心にやっていました。そこまで難しいメニューはやっておらず、球速を高めるにやったということはなく、あくまで下半身のスクワットと股関節の柔軟性を広げるためのストレッチをやっていました。
―― パフォーマンスアップのためにアンダーシャツについてもこだわりはありますか?
山崎 試合用にはダボダボなアンダーシャツは絶対に着ないですね。試合ではピチピチしたアンダーシャツを必ず着用します。とはいっても、ピタッと付着したアンダーシャツは好きではなく、ゆるさがあるピチピチを好き好んで着用しています。昔はピチピチしただけのものしかありませんでしたが、少し緩くなったものがあるので、ありがたいですね。

今年こそ日本一を取りたい
――投球で一番課題にしていることはありますか?
山崎 ストライクを簡単にとるのではなく、ボール球を振らせるような投球を心掛けています。まだ1試合しか投げていないですけど、少しずつ感触をつかんでいきたいと思います。
――目指している投手像はありますか?
山崎 そうですね、任された試合はすべて勝つこと。そして調子が悪い中でも試合が作れる投手です。目標にしている投手はジャイアンツの内海投手です。内海投手は試合をしっかりと作りますし、いろんな変化球を切れ良く投げられますし、クイック、牽制も上手いですし、すべてを見習いたい。
――これまでの野球人生を振り返って、野球の取り組みで大事にしていることはありますか?
山崎 自分に自信がつくまで量をこなすことです。高校時代はしっかりとバットを振りましたし、投げ込みの時期をしっかり作ったりと、練習は多くやっていました。練習量を多くこなすことで、自信はつきました。
――大学ではプロに行かれた選手を間近で見られたと思いますが、そういう選手はどんな練習に取り組んでいましたか?
山崎 やっぱりプロに行った選手は質がいい練習をしていますね。短時間だけでも集中してやっている人がいました。
――大会で良い結果を残すためにここに気を付けてほしいということはありますか?
山崎 僕、最後の夏で甲子園に行けずに負けました。やっぱり投球において思ったのは失投をしてはいけないということ。高校野球は一発勝負なので、一球一球丁寧に投げてほしいですね。
負けた日大鶴ヶ丘戦は本当に調子が良くて、ポンポン行っていました。でもそこで丁寧に行かずに捕まって点が取られてしまって負けました。その時の敗戦の経験は、今の投球に活かしています。
――最後に今年の目標をよろしくお願いします。
山崎 去年はリーグ戦で春秋連覇したんですけど、大学選手権はベスト4、明治神宮大会は準優勝と日本一がとれませんでした。今年こそ日本一を取りたいと思います。まず全国へ行くにはリーグ戦を優勝しなければなりません。東京六大学にはライバルがとても多いですが、戦えることを楽しみにやっていきます。
――山崎選手、ありがとうございました。取り組み方について多くの高校球児が参考になる話ばかりでした。今年は明治大のエースとして、日本一に導く快投を見せてくれることを期待しています!
(インタビュー・河嶋 宗一)

この記事の執筆者: 鎌田 光津希

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