試合レポート

創価vs立教池袋

2023.04.01

創価に現れた180センチの逸材2年生 好投手の系譜に指揮官も期待

創価vs立教池袋 | 高校野球ドットコム
土居 賢士郎(創価)

<春季東京都大会:創価10ー1立教池袋>◇1回戦◇1日◇多摩一本杉

 1日に春季東京都大会が開幕し、初日から西東京の強豪・創価が登場。立教池袋を10対1の7回コールドで下し、幸先よくスタートを切った。

 先発はエース・土居 賢士郎投手(2年)を抜擢。「馬力と勢いがある」と片桐監督が評価する180センチの長身右腕は、高さを生かした角度のある直球が光り、初回を三者凡退に抑えて守備からリズムを作る。すると、4回、無死二塁から8番・藤岡 圭太外野手(2年)のヒットと相手のエラーで先制に成功。その後も3番・鈴木 太蔵捕手(3年)も、立教池袋先発・林 京乃佑投手(2年)の高めの変化球を捉えて、打点を記録するなど、一挙4点で主導権を握る。

 リードを受けたマウンドの土居は3回以降も危なげない投球。立教池袋打線に5回まで三塁を踏ませないピッチングを見せる。6回に立教池袋2番・飯田 尚孝捕手(2年)に一発を浴びたが、その後の失点は許さずに6対1で迎えた7回に創価打線が再び火を噴き、10対1と試合を決定づけた。

 秋からエースナンバーを任されている期待の2年生右腕が、大事な初戦で結果を残した。セットポジションからバランスよく立つと、スムーズに体重移動を行い、最後は鋭く右腕を振り下ろす。最速は130キロ中盤だが、ネット裏から見ていても、球速以上に球の勢いを感じた。土居本人も「球速以上に球質を大事にしている」と、いかに球に力を伝えられるか考え抜いた末に、現在のような上から振り下ろすような、縦回転の投球フォームに至ったという。

 元々はもう少し腕の位置は低く、球速で勝負する投球スタイルだった。だが、「高校野球では通じない」と入学してすぐに今のままでは、自信を持っていた直球が通じないことを痛感した。「球質で勝負しよう」と回転にこだわりを持って、考え続け、現在のフォームにたどり着いた。

 ポイントは軸足1本で立った時のバランスだ。秋の時点では、「球質を意識し過ぎた」と腕を振り下ろすために、腰をそり過ぎてしまい、フォームのバランスが悪かった。身体への負担も大きかったことを反省して、冬場はシャドーピッチングを通じて、フォームの改善に努めた。

 「軸足で立った時に、まずは腹圧をしっかり入れた状態で股関節に体重を乗せます。ここができないと、股関節を立てることができず、寝る状態になってしまうため、全身のバランスが崩れて、制球が乱れます。そのために冬場はマウンドを使ってシャドーピッチングをして、実戦に近い形でフォームを見直しました」

 まだ2年生で、今年のみならず来年も創価の投手陣の中心にいることは間違いないだろう。過去には森畑 侑大投手(現創価大)や菊地 郁也投手(現鷺宮製作所)という右の本格派投手を輩出しているが、片桐監督もその系譜をたどることができるか期待を寄せている。

 野手でも、鈴木捕手を中心に振れる選手が多く、今年の創価も仕上がっている。それでも片桐監督はあくまで「守る野球で一戦一戦丁寧に戦いたい」と地に足付けて上位進出を目指すことを誓った。次戦以降も守備の創価から目が離せない。

[page_break:進学校に現れた140キロ右腕 伸びしろ満点の2年生右腕は要注目]

進学校に現れた140キロ右腕 伸びしろ満点の2年生右腕は要注目

創価vs立教池袋 | 高校野球ドットコム
林 京乃佑(立教池袋)

<春季東京都大会:創価10-1立教池袋>◇1回戦◇1日◇多摩一本杉

 進学校として知られる立教池袋創価相手に3回まで食らいついたが、4回から苦しい試合となった。「林を中心に守りは安定してきた」と冬場の手ごたえをつかんだようだが、得点力には課題を感じて、春を終えた。

 エース・林 京乃佑投手(2年)は最速140キロ近くをマークする速球派投手で、夏は警戒すべき投手になるだろう。直球の伸び、変化球の切れには自信をもっていると話していたが、実際にスライダーの切れ味は鋭く、創価の各打者も2巡目までは苦戦をしているようだった。また直球も「コースを狙う時と思い切り投げる時で使い分けた」とメリハリを付ける工夫もして、緩急を付けるクレバーさも光った。

 ノーワインドアップから、左腕を真っすぐ捕手へ伸ばしてリードさせると、小さなテークバックでトップを作った右腕が、勢いよく振り抜かれる。上半身は脱力して、下半身を意識したフォームはまとまっていて、古賀監督が「チームの軸です」と話すのもうなずける。

 一方でストライクとボールがはっきりしていたことも課題に挙げ、「どの球種も精度を高めて、緩急を使える投手になりたい」と今後の課題を語った。東東京を沸かせてくれそうな逸材の今後に注目だ。

(取材=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.27

【京都】龍谷大平安、京都成章、北嵯峨などが2次戦進出戦に挑む<春季大会>

2024.04.27

【広島】広陵は瀬戸内と、広島商は崇徳と夏のシードをかけて激突<春季県大会>

2024.04.27

【大阪】3回戦は28日に大阪桐蔭、履正社が登場、29日には上宮-関西創価など<春季大会>

2024.04.27

【三重】津田学園-菰野、5年ぶりの決勝対決<春季県大会>

2024.04.27

横浜に入学した「スーパー1年生5人衆」に注目せよ! 佐々木朗希二世、中学日本代表の二刀流など明日の慶應戦で活躍なるか!?

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!