試合レポート

大学準硬式・東日本選抜vs西日本選抜

2022.11.12

いざ決戦へ!史上初の甲子園開催となる大学準硬式東西対抗戦を前に両軍が練習試合で最終調整

大学準硬式・東日本選抜vs西日本選抜 | 高校野球ドットコム
東日本選抜先発・藤中 壮太

<東日本選抜2-2西日本選抜>◇12日◇練習試合◇淡路球場

 13日に開催される大学準硬式にとって初めての甲子園での大会となる、全日本大学準硬式野球東西対抗日本一決定戦甲子園大会を前に、11日から兵庫に入った選手たちは、淡路球場で練習試合を行った。引き締まった投手戦となり2対2で引き分けた。

 東日本選抜の先発は、法政大・藤中 壮太投手(鳴門出身)。コンパクトな投球フォームから快速球を投げ込み、西日本選抜から三振を1つ奪うなど三者凡退という結果で、甲子園に向けて調子の良さをアピールした。

 2番手で登板した北海学園大・松屋 駿汰投手(岩内出身)は自信を持っているというスライダーを効果的に交ぜて、走者を背負いながら無失点にまとめた。「オリックス・宮城大弥投手(興南出身)を意識した」というスライダーと投球モーションを披露し、ワンポイントで結果を残した。

 会場を沸かせたのは、5番手で登板した中京大・道﨑 亮太投手(東邦出身)。最速147キロを計測するという直球で西日本選抜の打者を圧倒。左腕を斜め上につきだす形でリードしながら、反動をつけて一気に縦回転で振り下ろす投球フォーム。東邦時代、ベンチ入りメンバーとしてセンバツ優勝を経験した実力は伊達ではなかった。

 その他、筑波大・橋本 剛石投手(市立浦和出身)、中央大・石井 竜弥投手(浦和学院出身)、帝京大・山崎 陽平投手(横浜隼人出身)は、やや制球に苦しだように見えたが、大舞台・甲子園の力も借りて本番では好投してほしい。

 西日本選抜は、先発に関西学院大の水 渉夢投手(岐阜中京出身)を抜擢した。高校時代は軟式で日本一を経験したという、大学準硬式でも数少ない逸材がマウンドに上がり、1回を無失点。サイドスローに近い左スリークオーターの投手で、軸足の股関節にタメを作りながら左足を高々とひねりながら上げて、鋭く腕を振り抜く。右打者のひざ元に曲がる切れ味鋭いスライダーも光り、西日本選抜に選ばれるのも納得の逸材だ。

 打たれたものの、大阪商業大・松室 歳唯投手(高取国際出身)も腕をしっかりと上からたたきつつ、重心を前へ運べるフォームが印象的で、調子が良ければ、伸びる球を投げられるポテンシャルを感じさせた。6番手で登板した春木 奎吾投手(大野出身)は今回の選抜チームでは異例の1年生だが、スリークオーター気味のフォームから、キレのある直球を投げ込んでいた。

 東日本選抜は快速投手が揃っている印象だが、西日本選抜は投球術が巧く、要所をしっかりと抑えた。甲子園の舞台でベストパフォーマンスを発揮できるか注目したい。


大学準硬式・東日本選抜vs西日本選抜 | 高校野球ドットコム
西日本選抜先発・水 渉夢

 初めて甲子園で開催される全日本大学準硬式野球東西対抗日本一決定戦甲子園大会に向けて、練習試合で調整した大学準硬式の選手たち。2対2の引き分けで、各打者が好投手に苦戦を強いられながらも、来る本番に向けた貴重な実戦の場として有効に活用した。

 先攻だった東日本選抜は、上位陣の各打者がレベルの高さを見せた。

 1番の東海大・東 海新捕手(平塚学園出身)は、軸回転で豪快なフルスイングを見せたと思えば、追い込まれてからカットできる打撃技術の幅を感じさせた。2番に入った早稲田大・新井 健太内野手(早大学院出身)は清瀬杯でも日本一になったが、2安打と好調。シャープなスイングで無駄が少ない分、コンタクトがしっかりできていた。

 名城大の3番・山形 祐介内野手(栄徳出身)もスイングがシャープではあるもののパンチ力も兼ね備えており、この試合でも犠牲フライで先制点をもたらした。明治大の4番・永井 克樹外野手は広島広陵出身とあってか、風格があり、各投手も警戒している様子が見受けられた。

 途中出場した大原 健我捕手(柴田出身)がパンチ力を見せるなど重量打線かと思えば、6番・吉野 剛史内野手(出身)は相手バッテリーの隙をつく走塁を見せるなど、足を使える選手もいる。エンドランを仕掛けたりと、攻撃の幅は広そうだ。

 西日本選抜も負けていない。2番に入った九州産業大の松井 晴希内野手(星琳出身)はヒットこそ出なかったが、早めにタイミングを取って、下半身主導からバットを振りだせる下半身主導の打撃技術がある。

 後ろを打つ福岡大の3番・小国 優真内野手も宇部鴻城時代にセンバツに代打で出場した逸材で、股関節にきっちり体重を乗せて力強くスイングすることができる。4番に抜擢された熊本学園大・宅島 祥矢捕手(長崎南出身)もフルスイングが気持ちいい打者。3打席で快音は響かなかったが、パワーあふれるスラッガー気質の選手だった。

 9番に入った同志社大・向久保 怜央外野手。花巻東出身の実力は伊達ではなかった。1打席だけだったが、低めへの難しい変化球へも上手く反応して、ヒットを記録。バットコントロールが上手く、対応力の高さを示した。高校時代に経験した甲子園の舞台で、再び快音を響かせるのか。

 東西ともに、投打にわたり戦力が充実していた。やはり選ばれしメンバーという印象を受けた。東日本選抜の米崎監督は「改めて色んな地区の素晴らしい選手が集まってくれた」と選手たちのレベルの高さを話せば、西日本選抜の中野監督は「好投手ばかりでヒットが多く出ないと思うので、四球やエラーからチャンスを作らないといけない」と課題を話しつつ、レベルの高さを痛感していた。

 グラウンドに立つ選手たちにとって大一番は13日の甲子園。この練習試合を経て、それぞれがどんなことを感じて、夢舞台でパフォーマンスを発揮してくれるか。

(取材=田中 裕毅

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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