海津明誠vs横須賀
海津明誠が自信の猛打爆発するも、横須賀にも収穫
河口 善光投手
対外試合解禁第1週目の週末。まずは春季大会を目指す各校は、積極的に実戦を組んでいきながら、調整に余念がないという時期である。
昨年の秋季岐阜県大会でベスト8に進出した実績のある海津明誠は前日、大阪の強豪・金光大阪と対戦し、この日は静岡県の静岡横須賀を迎えての試合となった。
この日は当初、愛知県の木曽川も加わっての変則ダブルという形で予定していたものだったが、都合で海津明誠と静岡横須賀のみとなった。しかも、春先の気まぐれな天気の影響もあって、午後からは東海地区全体が雨の予報となっていた。この試合でも、5回頃からポツリポツリと降り始めてきて、7回頃からはかなり厳しい状況にもなってきた。結局1試合のみしか行えなかったものの、何とか9回まで試合が出来たことは、お互いに有意義だったのではないだろうか。
静岡横須賀は、前日は近年の甲子園実績もある滋賀学園と対戦して、その足で、海津明誠に寄ったという形になって組まれた試合である。昨年に母校・掛川西から異動してきた静岡横須賀の木村幸靖監督は、「ボコボコにされてきました」と言うが、やはり、質の高い相手と戦ったことでの収穫は大きいという。
そして、この日は岐阜県8強の海津明誠だ。横須賀は、1年生と2年生ともに7人という小世帯。一昨年は不祥事で対外試合禁止という時期もあって、その明けとともに赴任してきたのが木村監督だった。「チームの雰囲気と体質を変えていきたい」という思いで取り組んできたというが、生まれ変わった今のチームは少人数ながら、「練習好きで、熱心な子たちが多いので、最後まで付き合うと早くは帰れないし、働き方改革どころではない」と、教員として嬉しい悲鳴を上げているという状況だという。
横須賀、左の二塁手與座廣君
そんな静岡横須賀だが、「点を取られ出したら止まらなくなってしまう。それを何とかしていかないといけない」というのも切実なテーマとなっている。この日の試合でも、立ち上がりに海津明誠の勢いに押されて3点ずつ失った井口君。その後の3イニングは抑えたものの立ち上がりはやや単調だった。逆に、リリーフした左の変則サイドの木村将大君は一巡は何とか抑えていたが、二巡目となった9回は打者12人で7安打で3本の長打に2四死球で、大量8点を失ってしまった。ほとんどの球が真ん中に集まっていってしまった。このあたりの制球を磨いていくことが今後への課題でもあろうか。ここをどう修正していくのかということは、試合をしていく中で見出していくということでもあろう。
3人の投手をつないだ海津明誠は、エース格の河口善光君が6回から投げたが、「えいっ!」と、気合いもろともの掛け声をかけながらの力投だった。8回に静岡横須賀では最も鋭く打球を捉えていた4番・藤田君の三塁打などで3点を失ったものの、雨も降っていたという状況の中で内容的には悪いものではなかった。
海津明誠は各打者、思い切って振ってきていた。だから、しっかりと捉えた打球は鋭かった。それに、ここと言うときに集中していって打線が繋がっていくのも強味となっている。岩橋浩二監督は、「全然能力が高くない中で、それでも練習はよくするので、それが少しずつ形になってきている」と、チーム作りの実感を得ているようだ。
海津明誠は学校としては前身校から継続して100年という歴史を担っている。特に目立った実績があったという存在ではなかったが、岩橋監督が就任して関西の有力校などとも試合を重ねていきながら、徐々に力をつけてきている。そして、一昨年夏に2回戦で県内1の名門校・県岐阜商にコールド勝ちしてベスト8まで進出したことで一気に知られる存在となった。昨秋もベスト8に進出して安定したチーム力を示しているとも言える。そのエースだった岩橋球斗君が捕手になるなど、チーム事情でこの冬に大幅コンバートもしている。果たしてその結果がどうなっていくのか、今年の戦いぶりも、大いに注目される存在となっている。
(取材=手束仁)