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【ドラフト総括】投手育成能力の高さを生かしたオリックス。しっかりと育てれば黄金時代の可能性も

2022.10.27

【ドラフト総括】投手育成能力の高さを生かしたオリックス。しっかりと育てれば黄金時代の可能性も | 高校野球ドットコム
内藤 鵬(日本航空石川)、曽谷 龍平(白鷗大)、斎藤 響介(盛岡中央)

 10月20日、今年度のドラフト会議が行われた。果たして今年のドラフトはどうだったのかを総括していきたい。まずはパ・リーグ連覇のオリックスだ。

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【指名一覧】2022年ドラフト会議 特集サイト

【指名選手】

1位:曽谷 龍平投手(明桜ー白鷗大)

3年秋に最多勝、最優秀防御率、最多奪三振の投手3冠に輝いた最速151キロ左腕。強力な直球を投げられる。

2位:内藤 鵬内野手(日本航空石川

高校通算53本塁打を記録している大型スラッガー。西武・中村剛也内野手(大阪桐蔭出身)のようなスラッガーへ化けられるか。

3位:斎藤 響介投手(盛岡中央

最速152キロを誇る速球派右腕。高速球、中間球、遅い球を扱え、1球1球の引き出しは多い。

4位:杉澤 龍外野手(東北ー東北福祉大)

大型外野手として今年春季リーグで打率.550、4本塁打、14打点で三冠王。打撃技術は天下一品で、大学日本代表にも選出された。

5位:日高 暖己投手(富島

急浮上した148キロ右腕。速球の伸びは良く「地方の逸材」の言葉がふさわしい。

選択終了

育成1位:西濱 勇星投手(関東学園大附ー群馬ダイヤモンドペガサス)

最速154キロの速球で圧倒する逸材。荒削りであるが、阪神・湯浅京己投手(聖光学院出身)のような投手を一から育てたい球団にとってはピッタリの人材だ。

育成2位:才木 海翔投手(北海道栄ー大阪経済大)

「正統派エース」と呼びたくなるような右腕。ワインドアップ投法から最速153キロの糸を引くような直球を投げる。

育成3位:入山 海斗投手(日高中津ー東北福祉大)

最速151キロ右腕。故障もあり実績は少ないが将来性は抜群。

育成4位:茶野 篤政外野手(岐阜中京ー徳島インディゴソックス)

四国アイランドリーグを代表する俊足巧打の外野手。首位打者を獲得したバットコントロールと、37盗塁を記録した俊足が持ち味。

育成5位:村上 喬一朗捕手(東福岡ー法政大)

ガッツ溢れるプレーで、投手陣をもり立てる好捕手。パンチ力もある打撃も魅力。

選択終了

【指名総括】

 1位の曽谷は単独指名に成功。近年、NPBで活躍する先発左腕と比較すると緩急や縦変化を使える投手ではなく、現時点では短いイニングで強い直球で押す中継ぎが向いている。能見 篤史投手(鳥取城北出身)の引退や、左腕の中継ぎで活躍した富山 凌雅投手(九州国際大付出身)が育成契約打診へ。そして、長く活躍した左腕・海田 智行投手(賀茂出身)も戦力外となったこともあり、曽谷は1年目の中盤〜後半から持ち味を発揮するのではないか。1年目は20試合〜30試合登板の可能性があるが、もし中継ぎでいく場合、2年目から50試合登板は期待できる。

 2位の内藤はオリックスにとっては久しぶりの打撃重視のスラッガー。他球団の監督、スカウトが欲しがるほどの逸材で、どう育て上げるか注目される。3位の斎藤はいわゆる中背の速球タイプ。最近、長身速球派右腕が多いが、オリックスは阿部 翔太投手(酒田南出身)をしっかりと育て上げ、強力な中継ぎに育て上げた実績がある。果たして、どんな役割で成長させるか注目していきたい。

 4位の杉澤は打撃技術については大学生1、2を争う左打者。スカウトによっては一番好みの左打者と思わせるほどの完成度の高さがある。守備も一定以上のレベルにあり、オリックス外野手陣に割って入るのではないか。

 5位の日高については出力を高めつつ、投手としての完成度が高いチームに入ったら、どんな進化を辿るのか、楽しみにしていたが、多くの本格派右腕を剛速球右腕へ育て上げたオリックスから指名を受けた。日高こそエース候補として期待しており、オリックスにはピンズドの指名だった。

 西濱は独立リーグで屈指の速球派。短いイニングでは常に150キロを連発しており、スピード能力はオリックスの中でも上位に入る。まだ20歳で、同期の大学生投手がプロ入りするまで1軍で登板できる実戦力をどう身につけるか。

 2位の才木は、好調時に投げ込む140キロ後半の速球は威力があり、能力的には今年の本指名、また例年の本指名に負けていないものがある。育成枠からセットアッパーへ成長した宇田川 優希投手(八潮南出身)のような活躍が期待される。3位の入山も潜在能力が非常に高い速球派右腕であり、育成枠であればという指名。

 また4位の茶野は今年、オリックス2軍との交流戦で大きな活躍を見せた。本塁打を打てるパンチ力の高さがあり、抜群の脚力の高さに注目だ。オリックスの左打ち外野陣の競争は熾烈であるが、安定して結果を残していけば、支配下登録のチャンスはある。

 5位の村上は、とにかく明るくて、ノリが良い。また、野球に対する探究心もあり、自主練習でも深く議論している姿が印象的。打者として、しぶとい打撃でチャンスを作り、守備では安定感の高いスローイングで走者を刺すことができる。もちろん支配下登録を目指す立場であるが、村上の貪欲な姿勢、キャラの良さをしっかりと表現できることを祈る。

 荒削りな投手は多いが、オリックスの育成環境、育成力の高さを信じた指名だ。現在の育成システムが続けば、投手のほとんどの球速は上がるだろう。あとは1軍、2軍で圧倒できる投球を表現できるか。また、大砲タイプの内藤を一人前に育て上げることができるか。内藤を育て上げることができると、球団のスケールはより大きくなる。

 育成枠は俊足・茶野、強肩捕手・村上の持ち味を発揮させることができるか。

 さらに黄金時代を築き上げる可能性を持ったドラフトであり、それを実現させてほしい。

評価 90点

(記事=河嶋 宗一

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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