<JERAセ・リーグ公式戦:阪神5ー1ヤクルト>◇15日◇3回戦◇坊っちゃんスタジアム(愛媛県松山市)

 2002年から24年連続となる坊っちゃんスタジアム(愛媛県松山市)・ヤクルト主催試合。かつ今年、四国地区で唯一のNPB一軍公式戦となるJERAセ・リーグ公式戦が4月15日(火)、今季から藤川 球児監督(高知商)が指揮を執る阪神を迎えナイトゲームで開催された。

 四国でも多くのファンを有する猛虎の6年ぶり坊っちゃんスタジアム来襲ということもあり、観客動員数は同球団主催試合ではなんと2003年以来、実数表記となった2005年以来では初の25,000人超(26,943人)。両軍を応援する声、熱気がグラウンドを包む中、光ったのは藤川監督いわく「ウチの坊っちゃんたち」であった。

 阪神はヤクルト先発・奥川 恭伸投手(星稜)から3番・森下 翔太東海大相模中央大)、佐藤 輝明仁川学院近畿大)ら、大学日本代表候補の合宿で坊っちゃんスタジアムを訪れた主力の適時打などで突き放し、最後は2013年の日米大学野球選手権では主将としてこのグラウンドで闘った梅野 隆太郎福岡工大城東福岡大)の二点適時二塁打でダメ押し。

 投げては「MLBドジャースを抑えた男」才木 浩人投手(須磨翔風)が最速152キロのストレートと多彩な変化球を操り6回表二死まで無安打の7回2安打無失点。「今日は3戦目にしてやっとゼロで終われたのはよかった」と本人も安堵の表情を見せた。

 そんな選手たちの躍動をサポートしたのが四国凱旋試合となった背番号「22」藤川監督のタクトである。2012年のオールスターゲームや、2015年、四国アイランドリーグplus・高知ファイティングドッグス時代にマウンドを経験し「自分の中ではゆかりのある球場。いいリズムで野球ができた」と坊っちゃんスタジアムを愛する虎の17代目指揮官は、この日クリーンナップの入れ替えで「いいつながり」を生み出したばかりでなく、ここまで未勝利だった才木に対しても「自分らしいピッチングを続けていく。それだけで十分」と投手出身監督らしいメンタル面での心遣いを発揮した。

 加えて中盤戦では梅野、森下のスチールでヤクルト・奥川にプレシャーをかけ、最終回には左腕・桐敷 拓馬投手(本庄東~新潟医療福祉大)に託しながら一死満塁のピンチを背負うと、守護神左腕・岩崎 優投手(清水東国士舘大)にリレーするなど、選手育成と今後対戦の両面を見据えた冷静な判断も光っていた。

 その他にも試合開始直前に全員がハイタッチで気持ちを共有する阪神ベンチ。1球ごとにホットコーナー付近のグラウンドを鳴らし状況を常に確認するヤクルト・茂木 栄五郎内野手(桐蔭学園早稲田大)。毎回自軍攻撃を終えても大山が来るまで一塁ベース付近のグラウンドを足で鳴らし続ける阪神・筒井 壮コーチ(上宮~明治大)など、今年も四国全ての野球関係者にとって学びの材料が詰まっていたNPB開催。2026年も熱戦と共に、新たな学びを得る機会を楽しみにしたい。