最高の文武両道へ

他の学校から見れば、文武両道や短時間の練習はデメリットになってしまうように感じるが、川越東にとってはどちらも強みになっていると自信を持っている。とはいえ、結果を残さなければ、証明することが出来ないのが厳しい現実だ。

川越東は甲子園に出場した実績はない。悲願達成のために、柳主将は「8連勝して甲子園に行くのは凄く難しいので、生半可な気持ちではできない」と茨の道であることは覚悟している。

ではどこがポイントなのか。柳主将の答えは明確だった。

「部員数が多いので、全員がしっかりと目標を共有して、同じ方向を向いて戦うことが出来るか。ここが鍵になると思っています。
実際、今年のチームはリーダーシップを取れる選手が多い分、様々な意見が飛び交います。そこをいかにまとめられるかが課題なので、話し合いながらチームを作れるようにしたいと思っています」

野中監督は「今年は競争が出来る世代です」と話し、強みになると感じていたようだ。実際、取材日の練習は活気に満ち溢れており、非常にいい雰囲気で練習が進んでいるように見えた。チームをまとめる難しさは大所帯ならではだが、それをクリアできれば、埼玉でも上位に勝ち上がれるチーム力に仕上がるだろう。

春、そして夏の大会へ。吉田は「大会を通じて試合を作り、勝ちに繋げていきたい」と主力投手としての覚悟を示せば、柳主将は甲子園出場へ意欲を見せる。

「秋は凄く悔しい負け方をしました。だからこそ春こそシード権を獲得。もっといえば関東大会まで勝ち上がって注目される高校になる。そして夏は甲子園出場を達成できるようにしっかり練習をしたいと思っています」

柳主将が言ったようなことが実現すれば、最高の文武両道の形だろう。甲子園出場、そして東京大へ現役合格生を輩出。そんな文武両道を実現させるべく、川越東はこれからも戦い続ける。