安堵・愛顔・そして涙、愛媛マンダリンパイレーツ・チーム史上初の3人がNPBへの扉開く!
愛媛マンダリンパイレーツでドラフト指名を受けた3選手
26日に都内ホテルで開催されたプロ野球ドラフト会議で、独立リーグ四国アイランドリーグplus所属の愛媛マンダリンパイレーツからは、チーム創設19年目で初となる3人が同時に育成ドラフト指名を受けた。
愛媛マンダリンパイレーツでは、8人の指名候補選手たちが、弓岡 敬二郎監督をはじめとする首脳陣、薬師神 績代表取締役らフロントスタッフ、チームメート、家族、ファン30人らとともに、松山市内の会見場で「その瞬間」を待ちわびた。
中日の育成2位指名として最初に名前を呼ばれたのは、菊田 翔友投手(享栄)。中日の地元・享栄(愛知)高卒2年目で、最速150キロの重量感ある直球と、落差の大きいフォークを駆使し、後期はクローザーも務めた。菊田は「周りもざわついていて頭が真っ白になりながら」心から安堵の表情を浮かべた。
続いて名前を呼ばれたのは、巨人育成3位指名の宇都宮 葵星内野手(松山工)。「自分でも自信を持っている」という50メートル走5秒9の圧倒的スピードが武器だ。後期から三塁手、遊撃手のレギュラーを奪い取った松山工高卒1年目の宇都宮は、チーム創設時に投手だった父・勝平さんとの親子二代で愛媛県から成し遂げた夢実現に、思わず「愛顔(えがお)」がこぼれた。
そして最終盤、育成ドラフト5位でオリックスから指名を受けたのは、河野 聡太内野手(九産大九産ー西日本工業大)だ。宇都宮とともに愛媛マンダリンパイレーツの三遊間を形成してきた大卒1年目。「ここ一番で頼りになれる選手」を目指し、レギュラーシーズン68試合中65試合に出場し、打率.301、12盗塁と安定して成績を残してきた。リーグ屈指の巧打者・河野は、指名を知ると同時に目頭を押さえ、続いて机に突っ伏し号泣した。「大学卒業後のプレーする場が見つからない中、1年間プレーする場を与えてもらった」愛媛の地に喜びの涙が舞った。
ここから先に待ち受けるのは激しい競争のシビアな世界。「様々な縁があっていい形になった」(薬師神代表取締役)今ドラフトをさらなる歓喜に変えるために、3人はNPBの大海原へ力強く漕ぎ出していく。
取材・文=寺下友徳