広島 2位の躍進を支えたのは、「2016年ドラフト組」
坂倉 将吾
毎年行われるドラフト会議で指名した全員が、1軍で華々しい活躍をすることはない。複数人の主力が出てくることもそう多くはない。レギュラーや先発ローテーション投手、勝ちパターンといった主力が、同一のドラフト会議から生まれたら、それは”大当たりドラフト”と言っても過言ではない。
近年、各球団に大当たりドラフトはあったのだろうか。高校生と大学生社会人の分離ドラフトが終わった2008年以降のドラフトで振り返ってみたい。
今シーズンから新井貴浩監督に率いられた広島は、昨シーズンの5位から一気に2位へと躍進した。そのなかでエース格の働きを見せたのが、2016年ドラフト3位の床田 寛樹投手(箕面学園出身)だった。
床田はルーキーイヤーから開幕ローテーションに入るも3試合の登板で離脱。トミー・ジョン手術を受けたことで1軍に復帰したのは2019年のことだった。そこから先発ローテーションに定着したが、故障もありなかなか殻を破れない。しかし今年は自身初の規定投球回と2ケタ勝利(11勝)を達成。先発ローテーションの柱となった。
この2016年のドラフト会議で指名した選手たちで主力となっているのは床田だけじゃない。ドラフト1位の加藤 拓也投手(慶應義塾出身=現・矢崎 拓也)も開花した。ルーキーイヤーに迎えたプロ初登板では9回1死までノーヒットノーランの好投。最終的には8.1回を投げ1失点の内容でプロ初登板、初勝利と華々しいスタートを切った。
しかし以降は思うように結果を残せない。5年目を終えた時点での登板数は22試合。勝ち星もプロ初登板で挙げたのみと苦しんでいた。そんな中、昨シーズンはキャリアハイとなる47試合に登板し、17ホールドをマーク。今シーズンはシーズン途中から守護神も任されるなど54試合の登板で4勝2敗、24セーブ、10ホールド、防御率2.81と立派な戦力となった。
野手ではドラフト4位の坂倉 将吾捕手(日大三出身)が確固たる主力となった。3年目の2019年に51試合の出場を果たすと、4年目の2020年には81試合、2021年には132試合と着実に出場機会を増やしていく。初めて規定打席に到達した2021年は打率.315(422打数133安打)とハイアベレージをマークした。以降も捕手としての出場だけでなく一塁手や三塁手での出場もありながら、3年連続で規定打席に到達し2ケタ本塁打を放つなど、チームの躍進に大きく貢献した。
ドラフト2位の高橋 昂也投手(花咲徳栄出身)と同5位のアドゥワ 誠投手(松山聖陵出身)は故障もあり思うような成績を残せていない。しかし高橋は2021年に5勝を挙げており、アドゥワも2018年に53試合に登板するなど片鱗は見せている。高卒入団ということもあってまだ若い。来シーズン以降の奮起が期待される存在だ。
<2016年ドラフトにおける広島の指名選手一覧>
1位:加藤 拓也(慶應義塾ー慶應義塾大)
2位:高橋 昂也(花咲徳栄)
3位:床田 寛樹(箕面学園ー中部学院大)
4位:坂倉 将吾(日大三)
5位:アドゥワ 誠(松山聖陵)
6位:長井 良太(つくば秀英)
文=勝田 聡