試合レポート

関東一vs駿台学園

2023.04.09

関東一が先発も好投し、ソツのない攻撃で駿台学園に快勝

関東一vs駿台学園 | 高校野球ドットコム
関東一・菊地

<春季高校野球東京都大会:関東一8-3駿台学園>◇9日◇3回戦◇江戸川区球場

 昨年と一昨年、春季大会は連続優勝を果たしている関東一。3連覇を目指しての戦いである。もっとも昨年秋は、世田谷学園に2回戦で1点差負けを喫しており、このチームとしてはそこからの立て直しとしてこの大会に挑んでいる。その関東一に対して、安田学園多摩大目黒を下してきた駿台学園がどういう戦いをしていくのか、興味深いところでもある。

 5回を終わった段階でわずか48分。前半は非常にスピーディーな試合だった。両チームの投手が制球よく、テンポのいい投球だったことも大きな要素だった。5回までは、関東一の先発左腕・菊地喬介投手(3年)は無安打に抑えていて、駿台学園の走者は2回の四死球による二人のみだった。菊地投手は、公式戦初先発ということだが、192cmの長身左腕は、米澤貴光監督の期待以上の内容だった。「身長もある大型投手なので、これから先で伸びる可能性のある選手だと思います。おそらく今がピークではないでしょうから、潰さないようにじっくりと育てていってあげたい」という思いも強い。それだけに、無理はさせないという起用法のようだ。このあたりは、米澤監督の、今の勝負ということだけではなく、選手の将来も見据えて育てていくという姿勢の表れでもある。

 そして、菊地投手が好投している間に、関東一は2回に高橋 徹平君(2年)が左翼へのソロアーチで先制。さらに4回にも3番衛藤冴仁君(3年)が三塁打すると、続く佐々木迅君(3年)の左前打で返して2点目。6回にも、関東一は二死一、二塁となったところで、またしても高橋君が左翼フェンス直撃の二塁打で二人を返してリードを広げた。高橋君は、「一番得意な内側の高めに張っていたので、そこへ来たから迷わず叩いた」という一打で、2回の本塁打とほとんど同じようなコースを同じようなタイミングで叩いた一打だった。

 こうして、関東一の流れで試合は進んでいくかと思われた。ところが8回、この回から関東一は2人目として栗原黎門投手(3年)が投げていたが制球に苦しんで2死球。ここで、米澤監督はすぐに3人目の坂井遼投手(2年)を投入。しかし、いささか準備ができていなかったのか、二死満塁となったところで4番相吉澤櫂君(3年)が左翼線へ二塁打して3人が返って、たちまち1点差。試合そのものの行方も分からなくなってきた。

 しかしその裏、関東一駿台学園の3人目、堀尾享生投手(3年)を攻めて四死球で満塁とする。さらに、内野ゴロの送球ミスなどもあってこの回4点が入って、これで試合の流れそのものも再び関東一のものとなった。

 米澤監督は、「本当は、4対0となっていた場面で、そのまますんなりといかないといけないのですけれども、そうはいかないあたりがまだ、このチームは完全ではないというところですね。8回の失点も守りのミスからですから…。しかも、チームとしても前のチームから試合に出ていて、引っ張っていかなくてはいけない立場の選手ですからね」と、チームとしてのメンタル面の強化は、もっとしていかなくてはいけないということを語りながら、反省点としていた。

 駿台学園の三角裕監督は、「春の大会ということもあって、経験を積ませてあげたいというところもあって、いろいろな投手を起用しようと思っていたのですけども、私の継投のミスもありましたね」と、自身の失敗も認めていた。それでも、「夏へ向けての収穫はあった。新入生も今のところは19人、さらに入ってくれる可能性もあるかもしれません。ここへきて3年生たちが伸びてきてくれたのも頼もしい」と、夏へ向けてのプラス材料も多くありそうだということも述べていた。

(取材=手束 仁)

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.23

【春季埼玉県大会】地区大会屈指の好カードは川口市立が浦和実を8回逆転で下し県大会へ!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!