元プロら知的障がい者への指導で甲子園目指す
「甲子園 夢 プロジェクト」のメンバーの方々
3月6日より練習試合が解禁となり、各地で練習試合を通じて冬場に取り組んできた成果を試しながら、春季大会への準備に入った。そんななかで全国でも初の知的障がい者を対象に新たな取り組みが始まろうとしている。それは知的障がいを持つ新1年から新3年生を対象に硬式野球の指導をする「甲子園 夢 プロジェクト」という取り組みだ。
このプロジェクトの発起人は33年間、知的障がい者への指導してきた久保田 浩司氏。現役時代は都立調布南、日体大でプレーをしていた実績を持っており、教員になってからは特別支援学校や社会人野球のクラブチーム・YBC柏などを中心に指導してきた。その中で「出来た瞬間の喜びなど、健常者とは変わらない」ということや、知的障がいがあってもやれば出来ることがわかり、これまで情熱をもって指導を続けてきた。
ただどうして硬式野球の指導を始めるまでに至ったのか。それについて久保田氏は発表の場でこんなエピソードを語った。
「都の特別支援学校のソフトボール大会で優勝をするようになって、『次のステップに行こう』と思うようになって健常者のソフトボールチームとも試合をするようになったんです。最初は勝てない時期もありましたが、その都度敗因を考えて練習をするにつれて勝てるようになって。それがきっかけで『高校野球も出来るんじゃないか』と思い始めたんです」
「甲子園 夢 プロジェクト」のメンバーの方々
元々、高校野球の指導者となって甲子園を目指すことを目標に教員になった久保田さん。長年の想いを実現させるため、さらに周りからの強い後押しも受けて今回のプロジェクトを立ち上げてきたのだ。
そんな久保田さんを中心に、「甲子園 夢 プロジェクト」は3月27日に第1回を予定している。コーチ陣は元プロ野球選手・荻野 忠寛氏や、発表の場に出席し社会人野球まで経験された小笠原 大騎氏など7名で指導する予定。荻野氏は「力になれればと思います」とコメントをすれば、小笠原氏は「こういった機会をいただけたのは嬉しいです」と語った。
現在の新型コロナウイルスの影響で、場所によってはリモートでの指導も検討しているとのことだが「知的障がいを持っていても伸びしろがある子はたくさんいますので、可能性は無限大です。だから今回のプロジェクトがそのきっかけになればと思います」と久保田氏はコメントした。
最終ゴールは健常者と変わらず、甲子園を目指して大会に出場すること。その夢への第一歩が歩み出したのだ。
(記事:田中 裕毅)
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