パ・リーグの新人王争いを、今年も西武が引っ張っている。

 というのも、西武は源田 壮亮(2017年/大分商)、平良 海馬(2020年/八重山商工)、水上 由伸(2022年/帝京三)、武内 夏暉(2024年/八幡南)と、過去8年で4人の新人王を輩出しているのだ。

 今年はドラフト2位ルーキーの渡部 聖弥(広陵→大商大)、高卒4年目の菅井 信也(山本学園)、そして高卒3年目の右腕・山田 陽翔(近江)が開幕から躍進している。

 渡部は「5番・左翼」で開幕スタメンを勝ち取ると、いきなり2安打を記録。そこから6試合連続安打と勢いは止まらない。4月中旬に足首を痛めて登録を抹消されるも、4月下旬には復帰。その後も安打を量産し、5月28日終了時点で打率.331、4本塁打、17打点と頼もしい限りだ。

 打撃型の選手ではあるが、レーザービームで補殺を記録するなど、左翼の守備も無難以上にこなしており、ルーキーながら攻守に欠かせない存在となりつつある。心配なのは少し故障がちという部分だろうか。

 投手では育成ドラフト出身の菅井が、先発ローテーション入りの一歩手前まで迫ってきた。ここまで6試合に先発し、4勝2敗、31回を投げて防御率2.03と好成績を残している。6回以上を投げたのは2回だけだが、登板した6試合のうち5試合で2失点以下と安定感を見せている。隅田 知一郎(波佐見)、武内に次ぐ先発左腕としての期待は大きい。

 一方、中継ぎの山田は開幕一軍入りこそ逃したが、開幕直後に一軍昇格を果たすと15試合連続無失点と快進撃を続けている。僅差の試合終盤に起用されることも多く、4月27日にはプロ初ホールド、5月17日にはプロ初勝利をマークした。

 ゴロを打たせるグラウンドボールピッチャーで、ばったばったと三振を奪うタイプではない。しかし、それでも15回1/3を投げ、奪った三振は11個と三振を奪う力も兼ね備えている。

 ウィンゲンターと平良の勝ちパターンに繋ぐ役割をシーズン通して全うできれば、新人王候補に名を連ねてもおかしくはない。

 もちろん、新人王は他の選手との兼ね合いになる。パ・リーグの野手では、楽天の宗山 塁(広陵)や寺地 隆成(明徳義塾)が結果を出している。現時点では打撃成績で渡部のほうが優れているが、宗山は遊撃手、寺地は捕手と、渡部より守備負担の大きいポジションだ。そのため渡部は、打撃成績で2人を大きく上回る必要がある。

 投手でもロッテの田中 晴也(日本文理)やソフトバンクの左腕コンビ、前田 純(中部商)と松本 晴(樟南)など、新人王資格を有しながら主力へ飛躍を遂げようとしている選手は多い。

 パ・リーグの新人王争いを制するのは、はたして誰だろうか。その行方に注目だ。