試合レポート

早稲田実vs都立日野

2023.07.18

早稲田実業の先発・荒川が7回を1安打無失点の好投で都立の強豪・日野を破る

<第105回全国高校野球選手権西東京大会:早稲田実業5ー0都立日野>◇17日◇4回戦◇府中市民

 第1シードの早稲田実業は全国区の人気がある。対する都立日野は、「都立の星」として根強いファンがおり、今大会はノーシードながら、シード校と遜色ない力がある。人気と実力のある強豪対決とあって、球場は猛暑の中、大勢の観客が詰めかけた。

 早稲田実業は身長190センチの長身・荒川 稟治郎投手(2年)、都立日野は背番号10の平林 悠投手(3年)が先発した。

 1回、早稲田実業は1番・宇野 真仁朗内野手(2年)と3番・高崎 亘弘内野手(2年)が四球、2番・山本 蒼空外野手(3年)が中前安打で出塁したが、宇野と山本は牽制で刺され、高崎は二盗に失敗し、走者を二塁に進めるこ
とができなかった。「相手がうまかったですが、ふわふわしているところがありました」と主将の箭原 裕太郎内野手(3年)は語る。

 普通ならこういう展開は先行き不安になるものだが、早稲田実業の先発・荒川の安定した投球が安定感をもたらした。春は2回戦の東海大高輪台戦の後、わき腹を痛め登板しなかったが、今大会では、投手陣の柱の1人になっている。この試合でも、序盤3回は、四球の走者を1人出しただけで、安打は1本も打たれていない。逆に早稲田実業は、相手のミスに乗じて先取点を挙げる。

 3回、早稲田実業はこの回先頭の8番、1年生の山中 晴翔内野手が四球で出塁し、暴投で二塁に進んだ後、9番・箭原の内野安打に送球ミスが重なり、早稲田実業が1点を先制する。さらに1番・宇野、2番・山本と安打が続き、さらに1点を追加する。

 4回、都立日野は2番・長谷川 太智内野手(2年)が右前安打で出塁したが、二盗に失敗しチャンスを広げられない。都立日野は4回裏の途中から投手を平林悠からエースの池内 英人投手(3年)に交代する。

 早稲田実業は5回、この回先頭の1番・宇野が左前安打で出塁し、暴投で二塁に進み、2番・山本の内野安打で生還する。その後2つの四球などで2死満塁となり、7番・荒川の内野安打で1点を追加する。荒川は、7回まで投げて打たれた安打は長谷川の1本だけ。四死球も1個だけというほぼ完璧な投球内容だ。「公式戦の先発は初めてです。今日は真っ直ぐで押せました。球数を考え、打たせて取ることを意識しました」と荒川は言う。

 早稲田実業は7回には、四球の4番・江崎 大耀捕手(3年)が捕逸で二塁に進み、7番・荒川の代打・高木 悠捕手(3年)の左前安打に失策が重なり、1点を追加した。春は中心打者の1人であった高木だが、夏は「代打の切り札です」と和泉実監督は言う。それだけ選手の層が厚くなったことを示している。

 早稲田実業は8回、9回を齋藤 士龍投手(3年)が内野安打1本に抑え5対0で勝利した。都立日野としては、「これだけミスがでてしまっては……。力負けです」と嶋田雅之監督が言うように、点に絡むミスが出たことが致命的だった。

 春季都大会4強で第1シードの早稲田実業であるが、「春と夏の大会は全く違う大会」と和泉監督は言う。それでも逆転勝ちで勝ち上がった春に対し、投手陣に荒川が加わったことで、先行型の試合もできるようになった。こうした経験値から、どんな展開にも対応できるチームになりつつある。

この記事の執筆者: 田中 裕毅

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