大垣日大vs中京
センバツ帰りの大垣日大が、さらに底上げされたことを示して秋の王者中京に快勝
大垣日大・米津煌太君
<春季高校野球岐阜県大会:大垣日大6-1中京>◇29日◇準決勝◇岐阜長良川
昨年の秋季県大会決勝と同じ顔合わせとなった準決勝。昨秋は、4対3で岐阜中京が勝って優勝を果たした。しかし、その後の東海地区大会では、1回戦シードとなった岐阜中京だったが、初戦で加藤学園に大敗。一方、2位校で出場した大垣日大は愛工大名電、三重を下してベスト4進出。準決勝では東邦に敗れはしたものの、東海地区の3校目の枠でセンバツ出場を果たした。
岐阜中京は、秋季大会以降に、それまでチームを指揮してきた橋本哲也監督から、氏家雄亮監督が引き継ぐ形で就任している。
今春はここまで、大垣日大は海津明誠に7対0、多治見工に8対1。岐阜中京は加茂に13対6、益田清風には11対1といずれもコールドゲームで進出してきている。それだけ、この両校の力が他よりも抜けているということでもあろう。
3回、岐阜中京は1番からの好打順だったが、木村が左翼線に落とす二塁打で出ると、バントで進め、1死三塁の場面で、3番・林の一打は投ゴロとなったが、飛び出した三走を刺そうとした送球が悪送球となり、岐阜中京は労せずして先制点が転がり込んだ形になった。
これに対して大垣日大は4回、先頭の4番・髙橋が中前打すると、バントで進み、6番・権田の中前打でかえって同点。さらに日比野も右前打して一、三塁となる。ここで袴田の一打は、中犠飛かと思われたが、落球があったが二塁で刺して2死。しかし、三塁走者は生還して大垣日大は逆転する。なおも失策があって一、二塁となったところで、岐阜中京のマウンドには、3人目となる左腕宮内投手。しかし、大垣日大は1番・高川が右前打で二塁走者をかえす。さらに、送球がそれる間に一塁走者もかえって、この回4点が入った。岐阜中京としては、この回は守りのミスが相次いだ形になって、4点を献上してしまった。
7回にも大垣日大は、岐阜中京の4人目となった山本投手に対して、2死走者なしから、代打・山内の右前打に始まって米津、髙橋、山田と続いて4連打となり2点を追加する。いずれもセンターから右へコンパクトなスイングから鋭くはじき返した強い打球だった。
大垣日大は5回1死一塁から登板した矢野投手が、キレの鋭いスライダーなどで、代わってから5者連続三振などで、打者14人に対して被安打1。それも併殺として残塁なし。二塁を踏ませない投球だった。
矢野投手に関して、大垣日大の阪口慶三監督は、「入ってきたときは、何の特徴もない平凡な投手だったんだけれどもねえ。よその学校が練習していないようなタイプになりなさいということを言ったら、よく走って足腰も鍛えたからねえ。急激に成長した投手」と、その努力を評価していた。そして、エースの山田 渓太投手をこの日は投げさせないで、5番・右翼手としてだけで起用し、しかも山田も7回に適時打も放ったということで起用に応え、阪口監督としては納得のいく采配だったようだ。大垣日大は、センバツ後にも、確実にチームの底上げがされているなということを印象付けた試合でもあった。
3回に好打順を生かして先制することができた岐阜中京だったが、その後はいいところがなかった。昨秋の優勝校ではあるが、「完敗でした」と、負けを認めざるを終えない戦いとなってしまった。
(取材=手束 仁)