試合レポート

都立羽村vs都立桜修館

2018.03.19

都立羽村7点差を逆転!都立桜修館・持丸、5回まで被安打0、奪三振11が暗転

都立羽村vs都立桜修館 | 高校野球ドットコム
投打で活躍を見せる小林遼太(羽村)

 都立校同士の対戦は、試合の流れの怖さを実感させる試合となった。

 都立羽村は、秋は1次予選で敗れはしたものの、都大会準優勝の佼成学園に1-3と善戦している。

 立ち上がり都立羽村の先発・永島圭太は、都立桜修館に対して三振1個を含む三者凡退で切り抜け、力の片鱗をみせた。

 ところが2回表、都立桜修館の4番・高橋冬馬を四球で出し、5番・持丸航毅の犠打の処理が暴投となって、無死一、二塁となると、一気に崩れる。一死満塁になった後、内野ゴロで桜修館が1点を挙げると、9番・石橋翔一が三塁線を破る二塁打を放ち、2人が還る。さらに3番・岡田泰知の二塁打などで桜修館はこの回一挙6点を挙げる。

 都立桜修館の先発、左腕の持丸は、速球でグイグイ押してくるタイプの投手。1回裏こそ四球と二失でピンチを招いたものの各回2個ずつ三振を奪い、5回は三者連続三振で、5日までの奪三振は11。安打も許していない。「低めを狙わせたのですが……」と都立羽村の井上雅章監督。

 高めはボール球でも手が出てしまうための低め狙いであったが、2ストライクになると、思わず手が出てしまう。いかにも速球投手という球筋だ。

 6回表に都立桜修館は7番・田中智揮の中前適時打で1点追加。あと2回を抑えれば、コールドゲームが成立する点差になった。

 しかしながら、6回裏、この回先頭の9番・永島の右方向への当たりそこないの打球が安打になり、続く1番・高野吾宇がセンターに今度はクリーンヒットを打ってから、持丸の投球が完全におかしくなった。3番・藤原海斗が四球で満塁になった後、一失に四球2個の押し出しで羽村は3点を返す。

 ここで都立桜修館は5回まで快投をみせていた持丸をセンターに下げ、マウンドに赤木聡太を送った。

 しかし投手を代えても、羽村に傾いた流れを変えることができない。7番・佐々木塁生の左前安打、8番・栗原脩の二塁打で1点差となり、打者一巡の9番・永島の二ゴロで同点となった。

 都立羽村は4回途中から登板した小林遼太が、5回に1点を失ったものの粘りの投球で試合を作っていた。しかし8回に突如乱れ、四球5個に内野安打1本で都立桜修館が再び3点をリードする。

 自らの乱調でリードを許すことなった小林であるが、その裏、レフトオーバーフェンスの2ランを放ち、1点差に迫る。すると、四球2個と二塁走者の盗塁で一死一、三塁とし、一塁走者の高野が二盗。捕手の二塁送球がそれる間に、三塁から永島が還り同点。3番・藤原の右前安打で逆転に成功した。

 9回表は二死ながら、都立羽村の小林がこの回2個目の四球を出したところで、遊撃手の高野が登板。都立桜修館の2番・上原辰徳を三振に仕留めて、荒れた試合に終止符を打った。

 敗れた都立桜修館の先発・持丸は、球威があり、将来性を感じさせる投球をしただけに、6回の突然の乱調が惜しまれる。これをいい薬にして、さらなる成長を期待したいこの試合の投球であった。

 一方勝った都立羽村の井上監督は先発の永島について、「コントロールにばらつきがあって、向こうのタイミングに合ってしまいました。まさかの6失点でした」と語り、都立桜修館の持丸について、「いいピッチャーでした。よくつないでくれました」と語る。

 2回突如打ち込まれたエースの永島が、どこまで立て直すことができるか。次は本大会出場をかけて、都立小岩と対戦する。

 

(取材・写真=大島裕史

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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