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恩師にウイニングボールを捧げる!京都翔英が目指す聖地での初勝利!【後編】

2018.12.22

 甲子園2度の出場経験を持つ京都翔英。この秋はベスト8まで勝ち上がるも、目標の甲子園には手が届かなかった。

 そんな京都翔英が甲子園出場に強くこだわるのにはある理由があった。後編の今回はそのわけを見ていきながら、冬の取り組みと夏に向けた意気込みについて伺った。

 前編:打力に優れたチームで3度目の全国への切符を掴む!京都翔英(京都)

課題克服のためトレーニング強化

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ティー打撃の様子

 12月からは実戦から離れる時期となる。この冬は「とにかく体を大きく、強く、尚且つ瞬発力を付ける」ということを目標に掲げた。練習を見に来ているトレーナーがチームの特徴を分析。その結果、「体力はあるけど、瞬発力とウエイトの力がない」という指摘を受けたからだ。

 これらの課題を克服するためにまずアップから工夫を凝らしている。アップではアジリティなど瞬発力を高めるメニューを取り入れた。さらにまっすぐ走る意識を持たせるために走るコースにラインを引いている。正しい体の使い方を意識することで、パフォーマンス向上を目指す。

 筋力強化という点ではウエイトトレーニングに力を入れた。これまでよりウエイトトレーニングの量を増やし、現在は週3回のペースで行っている。一冬超えてその成果はどれだけ表れるだろうか。

 打撃力向上にもこの冬は力を入れて取り組んでいる。特に意識しているのがスイング数だ。取材に伺った日はフリー打撃、ティー打撃、筋力トレーニング、守備の4班に分かれて練習した後に全員で500スイングを行っていた。ティー打撃では最低でも300スイングをするため、1日で約1000スイングができる計算となる。

 秋でチームの課題が明確となったことでこの冬は思い切った強化を進めている。春までに課題を克服することができれば、春以降は京都の頂点も見えてくるだろう。

 同じ京都府でライバルとなるのが夏の代表校で甲子園通算101勝を挙げている龍谷大平安だ。この秋は京都大会3位から近畿大会を制し、勢いに乗っている。山下監督は龍谷大平安の試合を見て「気合や平安のプライドが見られた」と感じたという。

 秋の自分たちは「身構えていた部分があった」という実感があったからこそそう感じたのだろう。「挑戦者のつもりで夏に向けてガムシャラに行きたいですね。何が何でもという気持ちで」と打倒・龍谷大平安に向けて闘志を燃やしている。

[page_break:恩師への思いを胸に甲子園で優勝目指す]

恩師への思いを胸に甲子園で優勝目指す

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京都翔英

 京都翔英にとって何としても勝ちたい理由がある。それは現在の2年生が、3年前に急逝した浅井敬由元監督が勧誘してきた最初で最後の学年だからだ。エースの遠藤も「ウチで甲子園を目指してみないか」と誘われた一人。入学前の10月に浅井元監督が亡くなっても「迷いはなかった」と意を決して入学してきた。

 公式戦では浅井元監督のノックバットを持ち込み、それを握ってから打席に入る選手もいるという。岡本は「浅井先生と想いを継いで甲子園で勝ちたい」と意気込んでおり、夏に懸ける思いは強い。

 そして誰よりも恩師への想いが強いのが山下監督だ。山下監督は中京(現・中京学院大中京)で城所龍磨(元ソフトバンク)や榊原諒(元日本ハムなど)らと2003年春の甲子園に出場。卒業後に進学したのが当時、浅井元監督が率いていた名古屋産業大学だったのだ。

 山下監督は大学を卒業後、教員として京都翔英に赴任。コーチとして主に内野守備の指導を行ってきた。その後、浅井元監督が京都翔英で指揮を執ることになり、恩師と再び野球をすることになった。選手としても指導者としても浅井元監督の下で学んできたからこそ甲子園で勝ちたいという想いは人一倍強い。

 恩師の遺影の前に甲子園でのウイニングボールを飾るのが、大きな目標だ。そのためにもチーム一丸となって京都の頂点を目指して、鍛錬を続けていく。

(文・写真=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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