【埼玉大会総括】花咲徳栄5連覇達成!2019年夏を熱くした埼玉の強豪たち
今年の埼玉大会を制したのは花咲徳栄だった。実力校が多く登場し、熾烈を極めた埼玉大会を振り返っていく。
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第101回 全国高等学校野球選手権 埼玉大会
花咲徳栄ら、4強に勝ち残ったチームを総括
韮澤雄也(花咲徳栄) ※春の埼玉県大会・伊奈学園戦で撮影
全7試合で92得点。1試合平均得点13.14得点と圧巻の攻撃力を発揮した花咲徳栄。主砲・ 井上 朋也 、U-18代表候補・韮澤 雄也、羽佐田 光希 、橋本 吏功 を中心とした打線の破壊力は全国トップクラス。課題となった投手力も埼玉大会でノーヒットノーランを達成したエース左腕・中津原 隼太 、和田 慶悟 、岩崎 海斗 、高森 陽生 、岡崎 孝太の5投手が登板し、安定した投球を披露。プロ注目の力量があるわけではないが、どの投手も試合が作れるので、試合展開に応じて継投ができる。内外野の堅い守備、次の塁を果敢に狙う走塁と隙の無いチームへ成長した。激戦区の埼玉でも花咲徳栄は長くリードすることになりそうだ。
準優勝の山村学園は、立教新座、熊谷商など強豪校が続々とぶつかるブロックに入ったが、それでも地力の高さを発揮して準優勝。投手陣では左腕・和田朋也、1年生左腕・小泉裕貴も台頭したことで、戦い方に幅が出てきた。打者では強打の捕手・橋本大樹、強打の三塁手・小林匠を中心に打線のレベルも県内上位。この1,2年ですっかりと地位を高めた山村学園。新チームでは小泉、スラッガーの平野裕亮が残る。秋も実力校として注目されそうだ。
島村大樹(大宮東) ※春の埼玉県大会・東農大三戦で撮影
ベスト4の春日部共栄は投打の大黒柱・村田賢一を援護しようと、打線のレベルアップが著しい。初戦の所沢戦から3本塁打が飛び出すなど計5本塁打。石崎聖太郎、平尾 柊翔を中心とした打線の破壊力は県内屈指。村田は6試合中、4試合が完投。改めて鉄腕ぶりを発揮した。今年の主力はほぼ3年生。残る不動のレギュラーは平尾のみになるが、そこからどうチーム作りをしていくのか、注目をしていきたい。
ノーシードから勝ち上がった大宮東は4回戦でエースの島村大樹が史上2人目となる1試合2本の満塁打を達成。また島村は5回戦の上尾戦でも逆転サヨナラのきっかけとなる適時二塁打を放った。島村は打撃のメカニズムを見ても無駄がなく、対応力の高さを誇り、さらに投手として140キロ前後の速球を低めに投げ分ける制球力の高さが光る。古豪の上尾を破った勢いで市立川越を下し、ベスト4進出。高い守備力を誇り、メカニズムを見てもしっかりと腰を使ってフルスイングできる打者が多く、佐藤亮太、増田晟也の二遊間、2年スラッガー・小河原凱など逸材が残るだけに楽しみだ。
[page_break:埼玉を勝ち抜くことの難しさを感じさせる大会だった]埼玉を勝ち抜くことの難しさを感じさせる大会だった
豆田泰士(浦和実) ※春季関東大会 山梨学院戦で撮影
ベスト8では県内屈指の強力打線で勝ち上がった山村国際、堅実な試合運びで勝ち進んだ市立川越、プロ注目左腕・米山魁乙を中心に投打に逸材を揃える昌平、春の地区予選敗退から戦力を立て直した川越工と総合力が高いチームが勝ち上がった。
今大会は浦和実の2年生右腕・豆田泰志が浦和学院打線を完封勝ちした一戦もあった。豆田の伸びあがるようなストレートは吉田輝星を彷彿とさせる声もある。そのストレートは浦和学院打線を沈黙させた。140キロ前後ながらそのストレートの球質だけで来年のドラフト候補として注目してよいものがある。
ただ豆田擁する浦和実でさえもベスト16止まりという夏の厳しさ、またタレント揃い埼玉栄、好投手・飯島一徹擁する東農大三も4回戦は敗退と夏の厳しさを実感する。
今年の埼玉を1年間通してきてみてきて、浦和学院、花咲徳栄、春日部共栄といったお馴染みの私学以外にも強いチームが出てきた。山村国際のように秋、春であまり実績を残せなかったノーシードのチームが急浮上して、ベスト8まで勝ち上がったケースがあったが、山村国際は練習試合を見ても県内上位と思わせる打撃力があった。それがなかなか発揮できない期間が続いたが、ようやく夏の大会に爆発させることができた。
この8月から来年へ向けた戦いが始まり、非公式ながら新人戦が開催される。そういう中でどんなチームが埼玉上位をつかんでいくのか、見逃せない。
文=河嶋 宗一
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