タイ代表として戦う日本の高校球児。良藤 有泰と田畑大地の歩みに注目!
台湾で戦っている高校球児は侍ジャパンU-18代表だけではない。タイに、2人の高校球児がプレーしている。良藤 有泰と田畑 大地の2人だ。良藤は明徳義塾、田畑は土浦日大とともに名門でプレーしている。
2人とも母親がタイ国籍を持っている。タイ代表のために戦いたいという思いでこの大会に出場している。そんな2人のストーリーを追ってみた。
U-15からタイ代表の良藤、チームトップの4安打を放ち、奮闘した田畑
左から田畑大地、良藤有泰
タイはサッカーが盛んな国だが、小学校時代、タイに住んでいた良藤もサッカーをやっていた時期があった。良藤の父親がタイのU-18代表監督の青山 功氏と知り合いだったことで、あるとき息子に野球をやらせたい父親が青山氏に頼み込んで、良藤は野球を始めた。そして良藤は小学校4年生の時に、甲子園で見た明徳義塾ナインの姿に惹かれて、さらに野球にのめりこみ、やがて明徳義塾中に進むことになる。明徳義塾中ではメキメキと実力を付けて、主将を務め、昨年の第8回 BFA U-15アジア選手権に出場を果たし、中学校から国際舞台を知っている野球人である。
そしてそのまま明徳義塾に進んだ良藤。1年夏はベンチ入りすることができなかったが、この夏、タイ代表として出てくれないかという誘いがあった。だがこの大会に出場することになれば、甲子園応援はできない。良藤は「応援しているより自分はプレーをしたかったですし、何より結果を残したかったので」と代表入りを決めた。この決断に馬淵史郎監督は、「ケガだけはするなよ」と送り出してくれた。
今大会は主に1番ショートとして出場。シュアな打撃、フットワークの良い守備でチームを引っ張った。
大会を振り返って良藤は、「タイ代表としてプレーさせてもらって、ノビノビと野球を出来ているのでとても楽しいです。普通の高校野球と世界大会は、同じ野球でも色々な意味で違うので、そういった経験を活かして今後は甲子園に向けて頑張っていきたいです」と大会の総括と今後へ向けての決意を語ってくれた。
ちなみに明徳義塾では、正捕手として活躍した古賀 優大(関連記事)と仲が良く、「古賀さんは知識が豊富でいろいろなことを教えてくれる素晴らしい先輩です」と慕っている。タイ、明徳義塾では、素晴らしい指導者、仲間、先輩に恵まれた良藤。この経験を活かし、レギュラー争いを勝ち取る。それが今まで育ててくれた方への恩返しとなるはずだ。
そして田畑 大地も、小学校時代、タイの強豪リトルリーグチーム『バンコクサンダース』で活躍。中学では松戸中央ボーイズに所属し、土浦日大に進学した。土浦日大では、投手としてプレーし、田畑もタイのために代表入りすることを決意。同校の小菅勲監督には、「とりあえず自分が出来ることを精一杯やってこい」と送り出された。日頃から木製バットで練習をしてきたが、なかなか打てずに苦しんでいた田畑。それでもチームトップの4安打を記録。できる力は全て発揮した。
大会を振り返って田畑は「チームメイトや周りの人は日本の野球しか知らないと思います。海外の野球はこういうもの、また文化を伝えていければなと思います。そして僕自身、2年後、アジア選手権に出場して、もっと上に勝ち上がっていけるようにしたいと思います」と語った。
今回の5試合の経験は2人にとって大きなものとなった。今後、この経験がどう生かされるのか。今後の歩みに注目をしていきたい。
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