<京滋大学野球連盟 2025年度春季リーグ戦 第6節1回戦:明治国際医療大4-2滋賀大>13日◇わかさスタジアム京都

明治国際医療大が逆転勝ちで1部残留を確定させた。

このチームにはエースで4番という大学野球では珍しい肩書を持つ選手がいる。それが杉本 琉成投手(3年=京都成章)だ。

彼のフル回転ぶりは尋常ではない。今季はこの試合も含めて9試合中8試合で先発登板。花園大戦との2回戦では自ら逆転3ラン本塁打を放ち、2失点完投勝利を収めている。まさにチームの大黒柱だ。

その杉本は経歴も異色である。高校卒業後は天理大に進学するも2年生の前期で中退。「なんかかっこいいなと思って」と救急救命士の道を志し、救急救命学科のある明治国際医療大に入り直した。

そのため、3年生であるが、現在は22歳。6月で23歳になる。2歳年下の同級生は「タメ口のやつもいれば、敬語のやつもいて、仲良くやっています」と微笑む。

2022年に準硬式野球部から硬式野球部に移ったばかりのチームにおいて、杉本は即戦力として活躍。2023年秋に入れ替え戦を制して、1部昇格に導く原動力となった。

日本学生野球憲章の規定では4年を超えての登録は認められない。杉本と同じように1年生で駒澤大を中退して苫小牧駒澤大(現北洋大)に入り直した伊藤 大海投手(日本ハム)は2年生から選手登録されていた。

天理大で1年半を過ごしたため、杉本が明治国際医療大でプレーできるのは今季が最後。「1部残留は絶対。他の強いチームとも戦い合えるというのを最後に見せたい」とラストシーズンに向けて意気込んでいた。

前節の試合後に右手首の疲労骨折が発覚したが、「怪我は付き物」と意に介さない。この日も元気にマウンドに上がり、2失点完投。意地の熱投で1部残留を決めた。

「野球はまだ続けるかわからないですけど、監督と相談します」と今後について言及した杉本。昨年の時点では今春のシーズン終了後に学生コーチ転身を示唆していたが、もしかすると、違うステージで野球を続けることがあるかもしれない。

ひとまず、今節で大学野球は一区切り。「勝って今回のリーグ戦を終われたらと思います」と最後まで全力を尽くすつもりだ。