今年の全日本大学野球選手権は東北福祉大が7年ぶりの優勝を収めた。大学生のドラフト候補にとって指名に直結する重要な大会。多くのドラフト候補がアピールに成功した。
今大会のドラフト候補の特徴は、高校時代は控えだった投手が多いことだ。そしてエースだった投手たちは高卒プロ入りしているという共通点がある。
高校時代、エースではなかった5人のドラフト候補たち
まずドラフト1位候補として注目されている東北福祉大の堀越 啓太投手は、花咲徳栄時代から140キロ中盤の速球を投げ込む投手として活躍したが、制球力が不安定で、背番号10だった。プロ志望届を提出したが、かなり厳しい評価だったと聞く。
指名漏れとなり、東北福祉大に進み、大学を代表する剛腕へ成長。今大会も常時150キロ前半の速球、130キロ後半のフォークで打者を圧倒した。
中京大の大矢 琉晟投手(享栄)は高校時代、畔柳 亨丞投手(現日本ハム)の控えで、21年のセンバツでは未登板だった。中京大入学後は肘の手術などもあり、リーグ戦登板は3年春からとなったが、球速は10キロ以上速くなり、最速155キロに達した。大学選手権では近畿大戦で、7回8奪三振、1失点の好投を見せた。右サイド気味のフォームから繰り出す常時140キロ後半の速球は強さがあり、簡単に前に飛ばせない威力がある。140キロ近い高速フォークの精度も抜群で、ヤクルトで活躍した館山 昌平投手を彷彿とさせる投球スタイルだ。大矢の課題は再現性。中京大のエース・高木快大投手のように、リーグ戦で目立った成績を収めていない。この春のリーグ戦では4試合登板で、すべてリリーフだった。常に近畿大戦に近い投球ができれば、指名の可能性は高くなるだろう。
中京大では大矢のほかに、190センチの大型左腕・沢田涼太投手(享栄)がアピールした。高校時代は竹山 日向投手(現ヤクルト)など速球投手の影に隠れ、当時の立ち位置では4、5番手ぐらいだった。中京大の4年間では最速148キロ左腕へ成長。大学選手権では3試合に登板し、無失点の好リリーフだった。緊迫した場面でも粘り強い投球を見せており、評価を高めた。リリーフではあるが、クセ球を投げる大型左腕は需要が高く、秋でもアピールしていきたい。
佛教大のエース・赤木 晴哉投手(天理)も高校時代、日本ハムの若手エース・達孝太投手の控え投手で、21年のセンバツでベンチ外だった。3年夏にはベンチ入りしたが、出番は少なかった。佛教大では昨年の明治神宮大会を経験するなど、順調にレベルアップを見せた。今年の大学選手権の東農大オホーツク北海道戦では最速153キロを計測し、スピードアップ。ただ、投球内容は満足するものではなく、2試合を投げて、9回5失点、2四球、4死球と制球面で課題を残した。
190センチの長身、フォームのバランスもよく、将来性を高く評価する球団もあるだろう。現在のNPBは長身投手がプロ入り後に大きく化けてスケールアップする例が多いので、赤木も大化けする可能性もある。立教大から楽天に1位指名を受けた荘司 康誠投手(新潟明訓)に似た投手で、荘司も大学時代は未完成だったが、1年目から109.1回を投げ、期待の先発投手に育った。赤木もそんな投手に育ちそうだ。
北海学園大の工藤 泰己投手(北海)は高校時代、左腕・木村 大成投手(ソフトバンク)がエースで、登板はほとんどなかった。大学4年間で最速159キロを計測するまでの剛腕へ成長した。ただ、大学選手権2試合は思い通りの投球ができなかった。初戦の上武大戦では、4回途中で降板して、4失点。佛教大戦でも5回1失点だったが、3四球。最速156キロの速球を投げ込んだが、ボール球先行の投球が続き、140キロ近い高速変化球もうまくいかせなかった。能力的には上位指名に挙がる可能性を持っているが、秋まで視察が続きそうだ。
青山学院大、東北福祉大のエースも指名へ向けてアピール
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