東北福祉大の優勝で幕を閉じた大学選手権。大会本塁打数33本は過去最高となった。150キロオーバーの大学生投手が増える中、打者のレベルも高まっている。その中でも特に顕著な活躍を見せ、ドラフト指名が近づいた野手を紹介していきたい。
今大会注目度NO.1野手は創価大の立石 正広内野手(高川学園)だった。下級生の時から全国舞台で活躍を収め、今春のリーグ戦では5本塁打を記録した。東亜大との初戦ではスカウトが集結したが、4打数1安打に終わり、その1安打も内野安打と満足行く内容ではなかった。ただ、スカウトたちの反応を見ると、これまでの実績もあり、評価はかなり高い。ドラフト1位候補としてリストアップした球団も出たという報道も出ている。今後は大学日本代表候補の試合で格の違いを見せることができるか。
この大会で大きくブレイクしたのが、東海大のショート・大塚 瑠晏内野手(東海大相模)だ。東海大相模時代にセンバツ優勝を経験。東海大でも順調に活躍を見せ、昨年12月に大学日本代表候補に選出された。当時から守備力の高さは今年の大学生ではNO.1。あとは打撃だけだった。
この春にその打撃が開花。リーグ戦で、43打数18安打、1本塁打10打点、打率.418と高打率を残し、大学選手権に臨んだ。大学選手権初戦の青森大戦、準決勝の福井工大戦で本塁打を放つなど、4試合で16打数8安打と打率5割と大当たり。打球に強烈なスピンをかけて強い打球を飛ばす姿は、ヤクルトのレジェンド・青木宣親選手を彷彿とさせた。打てて守れる即戦力型のショートはいつでも需要が高い。昨年、宗山 塁内野手(広陵-明治大-楽天)を取り逃した球団は獲得に動くのではないか。
中京大の秋山 俊外野手(仙台育英)は、外野手の中では一歩抜けた存在となった。
例年、左打ち外野手の評価は厳しい。昨年のドラフトではオリックス1位の麦谷 祐介外野手(大崎中央)が指名されたが、それ以外の左打ちの有力大学生外野手は指名漏れが続いた。秋山は大学選手権で、9打数5安打を放った。右投手、左投手関係なく、的確に捉えられる打撃技術の高さは秀逸で、走塁技術、守備力は一定レベルに達している。右投げ左打ちの外野手のドラフト候補では一番手に入ったのではないか。
近畿大では勝田 成内野手(関大北陽)、野間 翔一郎外野手(大阪桐蔭)、阪上 翔也外野手(神戸国際大付)の3人がプロ志望だが、それぞれアピールを見せた。勝田は大学選手権で7打数3安打を記録。突破口を切り開く安打を放ったり、粘りながらもタイムリーを打つなど、コンタクト力の高さに加えて、勝負勘が良いのが魅力。こういう選手はプロでも生き残りやすく、セカンドの守備力も高いので評価が高くなっている。将来的には阪神・中野 拓夢内野手(日大山形)のような選手に育つのではないか。センターラインの選手を獲得したい球団にとってはおすすめの選手だ。
野間は神奈川大戦で2打数2安打を記録。この試合では左中間を破る二塁打を打ったように、逆方向にも強い打球を打てる技術の高さがある。野間については昨夏の名城大戦とのオープン戦で逆方向の本塁打を打った姿を見たことがあるが、本来の能力の高さを公式戦でも発揮できるようになった。脚力の高さは秋山以上で、ベースランニングは非常に速い。このまま打ち続ければ、秋山以上の評価になる。
阪上は大学選手権で7打数2安打と大当たりとはいかなかったが、多くの打者が苦しむ中、中京大の大矢 琉晟投手(中京大中京)から食らいついて、左前安打を打つなど、どの試合でも必ず爪痕を残せるのは好印象。打球は非常に鋭く、高校時代は140キロ後半の速球を投げていた速球投手なだけに、強肩も光る。
この3人は秋のリーグ戦でも打ち続けることができるか注目だ。
北海学園大のショート・常谷 拓輝内野手(札幌清修)はこの大会で評価を高めた遊撃手だ。3月の西武との二軍戦では目立った当たりもなく、確実性が課題だったが、この3ヶ月間で大きく改善し、この大会で12打数6安打と結果を残した。厳しいコースを突かれても粘り強くヒットにできる技術力があり、ショートでも強肩や俊敏な動きを披露した。走攻守ともにフィジカルの強さが光った。強打の内野手へ育つ可能性があり、上位指名という選手ではないが、大きく化ける要素は感じる。
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