<令和7年 春季愛知県優勝大会:豊川3―2至学館>◇3日◇準決勝◇岡崎レッドダイヤモンド球場

 今春のセンバツ出場校・至学館と、昨春のセンバツ出場校・豊川との対戦となった。

 至学館は、甲子園での勝利は得られなかったが、今大会ではその経験を糧として、着実に勝ち進んでいる。

 豊川は、甲子園を経験した中西 浩平投手(3年)、平野 将馬投手(3年)に北田 真心内野手(3年)や林 優翔外野手(3年)らが核となってチームを引っ張っており、力は安定している。長谷川 裕記監督も、「チームの総合力としては、投手力がいいだけに、去年のチームよりは上だと思います」と、自信を持っている。それだけに、「これから、すべての大会の優勝を目標にしていきたい」と大きな目標を掲げている。

 背番号15ながらチームをまとめる竹内 雄惺主将(3年)は、「県大会優勝を目標としていて、次は東海大会優勝を目指しています。まずは、東海大会進出を決められたことにホッとしている。自分としては、試合に入る前の準備を大事にしています。チームとして、リラックスして試合に臨める雰囲気を作っていくことを心がけています。伝令の時は、笑顔を大事にして、明るくしていくことを目指しています」と語る。縁の下の力持ち的存在だが、チームを下支えしていくことに徹している。そんな、竹内主将の役割もチームにとって大きい。

 この試合では、中西投手が先発して9回一死まで被安打4の2失点で堪えていた。しかし1点リードの「本来は完投して欲しい」という状況に意識しすぎたのか、連続死四球を与えてしまい、平野投手にマウンドを譲ることになった。平野投手も、力みがあったのか、1番の武藤 駿輝選手(2年)に右前出されて一死満塁。一打同点、逆転もありうるという厳しい局面になった。そこで、至学館の最も頼れる打者で、鈴木 健介監督があえて2番に置いているという船橋 幸多主将(3年)との勝負となったが、ここを平野投手が投げ勝った。そして、3番の長屋 瑛大選手(2年)も内野ゴロで抑え、豊川が辛くも逃げ切った。

 豊川は、1点リードされた5回に二死二、三塁から、8番に入っている中西投手の右前打で二者を還して逆転。直後の6回に追いつかれるものの、8回に9番・近藤 慎之介選手の右前だからバントなどでチャンスメイクして、長谷川監督の信頼も高い、3番・上江洲 由誠選手(2年)が左越二塁打。走者を還して、結果的にこれが決勝点となった。

 長谷川監督は、「前半は『打ちたい、打ちたい』という気持ちが空回りして打ち急いでいた」と言うが、中盤以降に修正し、しっかり至学館の尾崎 陽真投手(2年)を攻略したのはさすがだった。

 至学館の鈴木監督は「今日は勝つとしたら4対3とイメージしていた。9回はまさにそうなる場面を迎えたが、そこで一本出なかったのは、夏への課題になる」と話し、「尾崎はよく踏ん張って投げたと思う。収穫と課題、両方が見えた大会でもあった」と、この春季大会を振り返っていた。