プロでは二段モーションに変更し、安定感が向上!

 初戦で九州の強豪・明豊と対戦し、先発した及川投手はフォームを崩し、制球も乱れて4回5四球、4失点という結果に終わり、初戦敗退に終わります。

 それでも及川投手は潜在能力の高さを評価され、高校日本代表候補に選出。悩む及川投手をなんとかしようと、横浜の渡辺元智元監督も合宿に足を運び、及川投手に熱心なアドバイスをしていました。フォームが嵌まった時のストレート、スライダーの威力は誰もが認めるところ。あとは制球が突如と悪くならないように、及川投手、横浜首脳陣も試行錯誤しているのが見えました。

 センバツ後の招待試合、公式戦を見ると、一進一退の投球が続き、最後の夏も思うような投球ができず、準々決勝の相模原戦で1,1回を投げて3失点と悔しい幕切れで夏を終えます。

 課題だった制球力は克服できませんでしたが、左腕から150キロ台の速球を投げる潜在能力の高さを評価され、19年のドラフトでは3位指名を受けます。

 プロ入り後の及川投手は良い形で矯正できています。プロ2年目では39試合で2勝3敗10ホールド、4年目の23年は33試合と1年おきの活躍となっています。24年はわずか9試合登板に終わりましたが、今シーズンはすでに8試合に登板しています。高校時代と比べると見違えるほどの投手となっています。

 常時140キロ後半のストレートは高確率でストライク先行ができるようになり、スライダーに加え、140キロ前半のカットボール、ツーシームを低めに集めることができています。好調の理由は、二段モーションとなって、自分のリズムで投げることができることではないでしょうか。及川投手の時代はまだ二段モーションが解禁されていなかったので、フォームのメカニズムがよくありませんでした。

 プロ6年目の今年はずっと積み重ねてきた二段モーションがだいぶ形になっていると思います。

 及川投手は中学時代からU-15代表に入るほどの才能を発揮していますが、高校、プロとここまで試行錯誤しながら、結果を積み上げているのを見ると大器晩成タイプだと思います。この1年は本人の努力とそれを支えてきたスタッフのサポートが実りつつあります。

 横浜史上最強パワーピッチャーとして、この1年はキャリアハイの成績を収めることを期待しています。