プロ野球のゴールデンウィーク9連戦、DeNAの「苦労人二人」が一軍昇格を果たしました。九鬼 隆平捕手(秀岳館)と勝又 温史外野手(日大鶴ケ丘)です。九鬼選手は秀岳館時代の16年に春夏甲子園で二季連続ベスト4、勝又投手は常時140キロ後半の速球を投げる速球派右腕として、18年の西東京大会で準優勝しました。高校時代に輝かしい実績を残した九鬼選手はソフトバンク3位、勝又選手はDeNA4位でドラフト指名されました。九鬼選手はプロ9年目、勝又選手は7年目。遅咲きの活躍を目指す2人の高校時代を振り返っていきます。

甲子園のスターが9年目でようやく開花か!?

 九鬼選手は中学硬式の名門・枚方ボーイズ出身。13年には中学全ての全国大会で優勝する「中学五冠」を達成したメンバーで、14年4月から就任した鍛治舎巧監督とともに秀岳館へ入学しました。

九鬼選手は着々と実績を重ねていき、2年秋は圧倒的な勝ち上がりで九州大会優勝を収め、神宮大会に出場します。ここで初めて九鬼選手のプレーを初めてみました。

 初戦では4打数1安打1打点の活躍。体も頑丈で、肩も非常に強く、やや癖のある打撃フォームでしたが、打球も速く、16年のドラフト候補に相応しい選手だと感じました。

 15年11月に秀岳館を訪問し、練習のから伝わる鍛治舎監督と選手たちのエネルギーの強さに圧倒されました。勢いに乗れば、甲子園の躍進もできるかもしれないと感じもしました。当時は主将として秀岳館を引っ張る立場だった九鬼選手はチームの課題を語り、センバツへ向けてどうすればいいかハキハキと答えていました。鍛治舎監督も九鬼選手を深く信頼している様子でした。

 秀岳館はセンバツ、夏の甲子園ともにベスト4入り。九鬼選手は甲子園8試合で32打数9安打でしたが、複数の投手の持ち味を引き出すリードと強肩をアピールして、プロのスカウトから評価される存在となりました。高校日本代表にも選出され、早稲田大とのオープン戦では木製バットで3ランを放ち、アジア大会でも本塁打を記録。正捕手としてアジア大会優勝に貢献しました。16年度の高校生NO.1捕手としてプロ志望届を提出し、ソフトバンクから3位指名を受けました。

 将来の正捕手候補として期待されましたが、ソフトバンクでの7年間は一軍通算10試合出場で2安打に終わり、23年オフに戦力外となりました。24年、DeNAに育成選手として入団。九鬼選手はこの1年間で打撃面が成長し、55試合で打率.264、3本塁打、10打点と結果を残しました。

 キャンプから活躍を見せ、3月13日に2年ぶりの支配下登録選手となりました。開幕してからの二軍戦では26試合、1本塁打、9打点、打率.307と好成績を残し、一軍昇格を決めました。3日の巨人戦では4年ぶりの一軍出場を飾っています。

二軍での打撃内容を見ると、高校時代と比べるとスイング軌道がスムーズになり、甘い球を見逃さず、的確に長打にできる打者になりました。一軍では厳しい攻めが予想されますが、それを乗り越えて、9年目でキャリアハイの成績を残すことを期待しています。

不器用な努力家・勝又 温史

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