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落ちる球を決め球にできる投手と変則がカギ?侍ジャパン投手の傾向

2023.02.21

落ちる球を決め球にできる投手と変則がカギ?侍ジャパン投手の傾向 | 高校野球ドットコム
ソフトバンク時代の千賀滉大投手 (C)SoftBank HAWKS

落ちる球を決め球にできる投手と変則が活躍

 これまでの国際大会では、2006年の上原 浩治(元レッドソックスなど)や2009年の岩隈 久志(元マリナーズなど)や、2017年のメッツ・千賀 滉大投手(蒲郡高出身)やオリックス・平野 佳寿投手(京都鳥羽出身)、増井浩俊(元オリックスなど)といった水準以上のスピードボールにフォークを駆使した投手が活躍している。

 日本人投手は昔から決め球として、フォークやスプリットを投げることが多い。肘への負担が比較的少ないチェンジアップなどがメジャーリーグでも主流となっているとはいえ、スプリットをこれだけ扱えるのは世界で日本のみだろう。落ちる球を投げられる投手としては、野茂 英雄(元ドジャースなど)や佐々木 主浩(元マリナーズなど)、上原、黒田 博樹(元ヤンキースなど)、岩隈、楽天・田中 将大投手(駒大苫小牧出身)、エンゼルス・大谷 翔平投手(花巻東出身)、平野がMLBで活躍した。さらに、パドレス・ダルビッシュ 有投手(東北高出身)やツインズ・前田 健太投手(PL学園出身)も縦の変化球を渡米後に強化した。

 活躍できているのは、これが効果的な変化球だからだ。そのため、オリックス・山本 由伸投手(都城高出身)、広島・栗林 良吏投手(愛知黎明出身)、ロッテ・佐々木 朗希投手(大船渡高出身)などは、メジャーリーガー相手でも対応できる可能性は高いと考えられる。

 このように本格派を揃える中で、これまでの大会の傾向を見ると、牧田 和久(元パドレスなど)や秋吉 亮投手(都立足立新田出身)、日本ハム・宮西 尚生投手(市立尼崎出身)といった左右での変則投手や初見殺しの投手を用意していたことが勝利の一因にもなっている。

 今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた2023年現在であれば、ソフトバンク・嘉弥真 新也投手(八重山農林出身)やヤクルト・田口 麗斗投手(広島新庄出身)、巨人・高梨 雄平投手(川越東出身)といった左殺しの選手を選出していても面白かった。

メジャーリーガーへの登竜門でもあるWBCのマウンド

 これまでのWBCを振り返っても、当時NPBに在籍していながら大会で活躍する投手は、メジャーリーガーになっている。

 2006年では松坂 大輔投手(元レッドソックス)や上原。2009年ではダルビッシュや岩隈。2013年は前田。2017年は千賀が活躍を見せたが、今年からメジャーリーガーとなった。

下記が6投手の成績である。

2006年:松坂 大輔 3登板 3勝0敗 13回 10奪三振 防御率1.38

2006年:上原 浩治 3登板 2勝0敗 17回 16奪三振 防御率1.59

2009年:岩隈 久志 4登板 1勝1敗 20回 15奪三振 防御率1.35

2009年:ダルビッシュ 有 5登板 2勝1敗 13回 20奪三振 防御率2.08

2013年:前田 健太 3登板 2勝1敗 15回 18奪三振 防御率0.60

2017年:千賀 滉大 4登板 1勝1敗 11回 16奪三振 防御率0.82

 この投手のほとんどに共通する点は、水準以上の直球とフォークを武器にするところだ。具体的には上原や岩隈、千賀といった投手はフォークを武器にして、このWBCの舞台で大きく活躍した。

 このフォークを武器にすることに関しては、2013年のWBCで苦しんだものの、翌年からはメジャーで活躍した田中も多用していた。

 さらに松坂やダルビッシュに関しては、フォークを武器にしていなかったが、松坂は大会を通して圧倒的なピッチングを見せ、ダルビッシュは高い奪三振率を誇った。

 このような点を見ても、今大会は山本や佐々木朗といったNPBでもトップクラスの投手が、WBCの舞台で大きな活躍をして、数年後にメジャーでも活躍するのではないかと期待される。

(記事=ゴジキ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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