大谷 翔平選手 (花巻東)
大谷 翔平
都道府県:岩手
ポジション:外野手
投打:右 / 左
身長:193.0 cm
体重:86.0 kg
寸評
MLB行きを表明したが、一転して日本ハム入りを決断した
大谷 翔平。それでもメジャーで殿堂入り選手となる夢は変わりないという。その夢を実現するために、彼は他人のアドバイスを聞いて、それまでの過程をマイナーからではなく、NPBを経由してメジャーを目指すことにした。本人が納得して日本ハム入りを決断したのならば、その選択を尊重したいと思う。 (18歳以下ならば世界最高の逸材!) 大げさではなく、今年の9月に行われたU-18世界選手権で彼の投球を見て、素材という観点で見るならば、日本どころか、18歳以下ならば世界最高の逸材と確信させた。特に
U-18世界選手権の韓国戦が素晴らしかった。最速155キロ。しかもコンスタントに常時150キロ~155キロを投げ込み、アウトローにズバリと決めていく…。韓国、アメリカの投手と比べても大谷はそれを凌ぐ投手だ。おまけに彼は日本代表として4番打者として、木製バットに順応し、抜群のバットコントロールを披露する。メジャーのスカウトはそれだけ大谷の素材、商品価値の高さにほれ込んでいるからだろう。 (投球内容) ストレート 155キロ(最速160キロ) 常時150キロ~155キロ 縦スライダー
135キロ前後 スライダー 135キロ前後 最速160キロを計測した大谷。世界トップレベルのスピードボールを国際舞台でも証明して見せた。常時150キロ~155キロを計測。スピード表示も素晴らしいのだが、その中身自体も素晴らしかった。非常に回転数が高く、手元まで失速ない素晴らしいストレートを投げている。そのストレートが嵌った時はアウトローへズバリと決まるのだ。韓国戦ではピンチの場面で、154キロのアウトローを決めたが、あのストレートを決め球として確立することが出来れば、被安打率はぐっと下がることが出来るであろう。彼は素晴らしいストレートを持続出来ないのが課題。韓国戦ではコントロール自体はまずまず纏まっていたが、カナダ戦では不安定な投球で、早期で降板した。 変化球は縦スライダー、スライダーの2球種。いずれも曲がりが大きい落差のある変化球で、縦スライダーは決め球となるスライダーとなるものである。しかし彼には緩急がない。カーブ、フォークなど球種を増やして投球の幅を増やしていく必要があるだろう。メジャーを目指す大谷ならば、動く速球の習得も必要だ。急ぐ必要はない。時間をかけて球種を増やしていけばいい。 (クイックタイム・フィールディング・牽制) クイックタイムは1.30秒~1.40秒前後と遅い。それはなぜかというと彼は軸足にしっかりと体重を乗せて、いわゆる沈み込んで投げるため、難しい。体格上、身体全体を使って素早いクイックをするのは難しく、プロの基準である1.10秒~1.20秒前後のクイックは難しいだろう。そうなると当然、走られやすい投手になる。韓国戦でも盗塁を仕掛けられていた。これはどう割り切るかである。走られても自分の投球に専念するか。それでもクイックを縮める投球をするか。 個人的には今のクイックでもいいから自分の投球に専念するべきだ。というのも彼は器用に見えて、日によって不安定で、あまり相手の動きに警戒しすぎると自分の投球に専念できない弱さがあるから。牽制はしっかりと入れるし、二塁になった時も顔の動きからバリエーションを織り交ぜ、工夫を重ねているが、1.10秒のクイックはそれ以上に難しい。一朝一夕で出来ない技術を無理にやる必要はない。彼にはそういう割り切りが必要だろう。
(二刀流は本人のためにならない)
大谷 翔平に二刀流をやらせるプランがあるという。確かに160キロを投げて、さらには2度の全国大会、国際大会で見せた抜群のバットコントロールを披露したら、二刀流として試したいという日本ハムの気持ちもわからないまでもないが、私はそのプランに反対である。プロの世界ではそれをやって継続的に結果を残せるものではなく、一つのポジションに全精力を傾けてやっと人並みの成績を残せるものである。だから投手に専念するべきだ。 (投球フォーム) 以前の寸評でも述べたが、彼の投球フォームで非凡なのはこれほどの長身にして下半身主導のフォームの投球フォームであること。190センチ以上を超える投手は上半身主導、頭と左肩が突っ込むような投手が多いのだが、彼は軸足に体重を乗せて、一本足で立つことが出来ており、その姿勢がとても良いことだ。 重心を少しずつ下げつつ、着地する際に、左足の膝をぐっと伸ばして着地のタイミングを遅らすことが出来る。それが出来ているのも軸足を折り曲げて、股関節を上手く送り込んでいる。ただ選抜では着地のタイミングが合わず、体重移動が上手く出来ていなかったが、岩手大会の決勝、世界選手権では体重移動が改善されていた。
テークバックは体の近くで旋回して、しっかりと肘を上げる事が出来ており、胸の張りも良い。肩、ひじへかかる負担は少ないだろう。リリースは真上から振り下ろすオーバーハンドではなく、ややスリークォーター気味で振り抜く。抜群のリリースポイントで放る事が出来ており、手元まで失速しない「球質」が素晴らしいストレートを投げる土台は出来ている。 最後のフィニッシュでは踏み込んだ足がやや突っ張りが見えるが、しっかりと我慢することが出来ており、加速した腕の振りを最後まで体に絡ませる事が出来ており、しっかりとボールを伝える事が出来ている。 フォームに関しては申し分ない。この状態のまま投げられればいいのだが、偶にフォームのバランスが崩れるのが課題。調子が悪い時は踏み出し足の膝が開いた状態となり、開きが早くなり、胸が張れずにリリースポイントも乱れた状態となっている。彼は如何にして安定したフォームで投げられるかに尽きるだろう。
更新日時:
2012.12.10
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