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「2015年の高校野球を占う」【南北海道編】 選抜出場の東海大四を中心に強豪揃いの南北海道

2015.02.27

 駒大苫小牧東海大四など全国大会でも実績を残す学校が多い南北海道。今年の南北海道の状況を追う。

センバツ出場の東海大四が南北海道をリード

大澤 志意也 (東海大四)

 今春のセンバツ甲子園に出場する東海大四を中心に、私立強豪校がしのぎを削る激戦になりそうだ。

 一歩リードしているのは、昨秋の北海道大会を14年ぶりに制した東海大四秋季大会開幕まで時間が少なく、夏秋連続優勝は難しいと言われる中、1試合毎にチーム力をつけて頂点を勝ち取った。昨夏甲子園出場時のベンチ入りメンバーは4人だけ。「個々の能力は前のチームが上です。チームプレーで上を目指したい」と宮崎 隼斗主将(2年)が言うように、突出した選手はいないものの、どこからでもチャンスメイクできる打線がウリだ。

 超スローボールで甲子園を沸かせた西嶋 亮太投手の後を受けてエース番号を背負った右腕・大澤 志意也(2年)は、粘り強い投球を信条とする。174センチ、64キロと細身だった体はひと冬越えて、体重70キロの大台に乗せた。MAX139キロの直球に加え、縦と横のスライダー、カーブ、チェンジアップ、スプリットと球種も豊富。昨秋の明治神宮大会では、宇部鴻城に1失点完投勝ちした後(試合レポート)、浦和学院に10失点コールド負け(試合レポート)と天国と地獄を味わった。この後のセンバツも含め、全国での経験をこの春と夏にどう生かすか。エースの成長が連覇の鍵を握る。

 東海大四の強力なライバルとなるのは、札幌日大北海の札幌勢と駒大苫小牧だろう。昨秋の北海道大会で前評判の一番手は、札幌日大だった。エースの山本 龍之介(2年)は身長182センチの本格派右腕。打線も核弾頭の片岡 奨人中堅手(2年)ら強打者が揃う。個々の能力の高さが光ったが、準決勝北海戦では終盤守りのミスで失点し、1点差で敗れた。選抜選考委員である北海道野球協議会の柳 俊之理事長は「力のあるチーム。試合運びに若さがあったが、経験を積めば面白い。一つ壁を越えると、一気にいく可能性がある」と高く評価している。

 この札幌日大を破った北海は、伝統の守りが健在だ。背番号1の渡辺 幹理(2年)と背番号8の北海山本 樹(2年)、右の2枚看板を中心に固い守りと試合巧者ぶりで決勝まで勝ち上がった。決勝東海大四に2対3と惜敗。あと一歩でセンバツ出場を逃したものの、夏の甲子園出場争いに絡んでくることは間違いない。

 駒大苫小牧も総合力の高いチームだ。中でも、投手陣の顔ぶれは心強い。エースの岡崎 遼太朗(2年)、背番号7の桑田 大輔(1年)、背番号8の伊藤 大海(2年)と3本柱を誇る。岡崎は昨秋の室蘭支部予選代表決定戦で鵡川を相手に7回参考ながら無安打無得点の快投。伊藤は、昨年のセンバツ1回戦創成館戦で3安打完封勝利を挙げた。桑田は身長184センチ、期待の大型右腕だ。昨秋の北海道大会準決勝では、守りのミスから崩れて東海大四にまさかのコールド負けしたが、実力差はそれほど大きくない。

2015年度 春季高校野球大会 特設ページ
【ひとまとめ】2015年の全国各地の高校野球を占う!

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[page_break:4支部の強豪校をピックアップ]

4支部の強豪校をピックアップ

川端 翔(北照)

 ここまで札幌支部と室蘭支部の強豪校を取り上げてきたが、ここからは支部毎に情勢を見ていこう。

【札幌支部】
昨秋の北海道大会で4強入りした東海大四札幌日大北海のほかには、札幌第一も甲子園を狙える位置にある。北海道大会1回戦では劣勢を跳ね返すことができなかったが、投打ともに能力の高い選手が多い。

 98年創部の札幌龍谷、09年創部の札幌大谷ら新興私学勢も着実に力をつけている。札幌大谷は、一昨年秋の北海道大会準Vメンバーが残っており、2年ぶりの快進撃に期待がかかる。また、札幌支部は毎年公立校のダークホースが出てきており、強豪校といえども、予選突破は容易ではない。

【函館支部】
中心となるのは、昨秋支部予選を勝ち上がった函館大有斗函館工函館大有斗試合レポート函館工試合レポート)。いずれも北海道大会では2回戦敗退と物足りない結果に終わった。
2校に続くのは、知内函館大柏稜。函館支部は97年夏に函館大有斗が出場して以来、甲子園出場校を輩出していないだけに、意地を見せて欲しい。

【室蘭支部】
駒大苫小牧に続くのは、北海道栄だ。昨秋の北海道大会では緒戦で北海に6対10で敗れたが、支部では駒大苫小牧とともに頭一つ抜けている。この2校に、苫小牧中央鵡川静内苫小牧工あたりがどこまで食い下がるか。支部のレベルが高いだけに、支部予選を突破すれば、北海道大会でも勝ち進む可能性が高い。

【小樽支部】
過去5年間で春夏合わせて5度甲子園に出場している北照が圧倒的な力を誇る。昨秋の北海道大会では準々決勝北海に2対5で敗れたものの、安定感が光った。そこに、小樽潮陵双葉が続く。

 南北海道は札幌地区を中心に強豪校が多く、まさに北海道を牽引しているともいっていいだろう。他の3地区も強豪校が多く、見所が多い。この春、夏ともに激戦が展開されることになりそうだ。次は北北海道の状況を占っていく。

(文・石川 加奈子

今回のコラムに登場した高校の野球部訪問はこちらから!
北照高等学校(2011年02月14日公開)
鵡川高等学校(2011年02月10日公開)

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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