作手vs成章
作手・山本日向君
11人の作手、力強さ見せて堂々と打ち勝つ
2008年の選抜に21世紀枠代表として出場を果たし、甲子園初勝利も記録した成章に対して、現在わずか11人の部員で活動している作手(つくで)が競り勝った。もっとも、今季の作手は、外野も兼務する3人の投手がおり、チーム力としては高いという評判だった。中継プレーなどでは多少ミスもあったが、その評価が確かだということを証明するような試合内容だった。
豊川で監督を務め2年連続で夏の愛知大会準優勝し、現ソフトバンクの森福投手などを育てた実績のある田口聖記監督が就任して、新城東作手から独立した作手は、チーム強化に取り組み3年目。愛知県でも、長野県に近い場所にある作手だけに、選手集めには苦労もしているようだが、公立校ながら寮も用意されているという。
その作手、初回には無死のまま二人で1点を失いなおも、無死一二塁だったが、ここで馬淵君が二塁走者を牽制で刺して、これで成章の勢いを止めた。
そして2回には、成章の先発前澤君に対して、5番加藤君が中前打で出ると、バントで進め、藤坂君、馬淵君、杉浦君と下位の3連打で逆転した。さらに1番矢野君につなぐと、中前タイムリーでこの回3点。成章ベンチは、早々に前澤君を諦め2人目の井口君を送り出すことになった。
作手は3回にも4番山本 修君が右中間三塁打すると、セーフティスクイズで加点。ソツのなさを示し、5回にも藤坂君の中前打で追加点をあげて主導権を握った。
初回、成章は兼子君が先制ホームを踏んだ
追いかけたい成章も、5回には1番からの好打順を生かし、兼子君、所君、上原君の三連打に、相手の中継ミスなどで追い上げ、宮下君の犠飛もあり1点差に迫った。しかし、作手もすぐに6回、一死満塁から加藤君の左犠飛で再びリードを広げた。
この日の作手は馬淵君と山本日向君という両左腕の継投となったが、6回から左翼手と投手とを入れ替えるという形でつないだ。山本日君はストレートも力強かった。
成章も9回に代打小久保君が二塁打して、ワイルドピッチなどで1点差とし、さらに一死一二塁でクリーンアップを迎えるという形になったが、上原君との力勝負は山本日君が投げ勝つ形で、投手への弱いライナーとなり、飛び出していた一塁走者も刺されて併殺でゲームセットとなった。
成章の河合邦宗監督は、「一次予選はリーグ戦なので、今日は(前日投げているエースナンバーの)浜口を使わないで何とかしようと思ったのですが…」と、残念そうだった。
それでも、右サイドの井口君に関しては、「ここで投げさせておかないと、結局公式戦で投げられる投手として育っていかなくなりますからね。見た目以上にボールの切れがありますし、スライダーもいいですから楽しみです」と、新2年生への期待も高いようだ。
(文=手束 仁)