沖縄を皮切りに、2025年も高校野球の季節がやってきた。8月5日に開幕予定の夏の甲子園を目指して、全国各地の球児たちがここまでの野球人生のすべてをぶつける。この夏の主役になろうとしている選手たちの「今」を各チームの指揮官に迫った。
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ドラフト候補と称される注目選手たちにとって、夏の大会の活躍は自身の将来に少なからず影響してくる。ドラフトからプロへ行く選手、有名大学へ進学する選手。事情はそれぞれだが、過去を振り返っても、ひと夏の活躍で大きく将来が変わった選手は数多くいる。
そんな岐路を迎えようとしている選手の1人が、佐賀県の嬉野・林龍之介だ。下級生の時からエースとしてチームをけん引。スカウトもチェックする逸材として、この夏も注目されている。
林を擁する嬉野は、初戦で唐津西と対戦する。初の甲子園へ、指揮官・植松幸嗣監督はどんな戦い方で挑戦を目指そうとしているのか。
プロ注目右腕を擁して甲子園へ
Q.春季大会でのチームの成果について教えてください。
今年は、昨年以上に力があると感じています。ですが、春の大会を含めて上位進出をすることが出来ませんでした。攻守がどうしてもうまく噛み合わないところがありました。2月に気温が下がって練習量が不足してしまったと思いますが、佐賀県の場合はどのチームも、夏の大会はチャンスがあると感じています。ですので、「夏が本当の勝負だからな」と言って、練習を積み重ねているところです。
Q.夏へ向けて、チームが取り組んでいることは?
夏の大会は2年連続ベスト8まで勝ち上がっていますが、「今年はもっと上を目指すぞ」と伝えて準備しています。そこで練習試合では、各選手の成績を踏まえていろんな打順を試しています。ランナー3塁の状況を作ることを意識して、小技なども使って1点を取る。そういったことを意識したり、調子は上がっているおかげもあり、得点力は高まっている手ごたえはあります。
ただ一番は守備を大切にしています。佐賀県は突き抜けた強豪私学はいないと思っています。ですので、守備さえしっかりしていれば公立校でも甲子園に行くチャンスはあると思います。そのためにもエラーは2つ続けない。送球ミスは避ける。カバーリングは徹底するといった当たり前かもしれませんが、基本をしっかりやろうとしています。
△古川大咲、宮﨑秀大(写真=チーム提供)
Q.夏の大会でのキープレーヤーを教えてください。
エース・林龍之介は、最速148キロを計測する右腕で、身長188センチと大きいですし、体重も82キロまで増えてきました。ストレートだけなら元ソフトバンクの古川侑利よりも断然上ではないかと思います。26年指導者をやって来てボールだけなら1番ではないでしょうか。ただ投球術やフィールディングなど、チームを勝たせる投手になるにはまだ課題がありますので、夏までに少しでも近づけるように日々指導しています。
その林を受けるキャッチャーの宮﨑秀大は、1年生の夏からベンチに入っています。ブロッキング含めてしっかり司令塔としての役割を担ってくれています。打席に立てば三振をあまりしないので、「得点圏に回せば何とかしてくれるだろう」ということで4番に起用しています。もはや攻守の要、柱ですので、期待しています。
またショート・古川大咲は出塁の高さと長打力、足の速さを兼ね備えており、守備でも強肩を生かしたプレーでチームに貢献してくれています。林、宮﨑とともに中心になってくれたら、夏は良い形でチームは戦えると思います。
Q.最後に夏の大会に向けての思いを教えてください。
今年のチームは縁があって、幼い頃から付き合いのある選手たちが多いです。そんな選手たちが「先生のところで甲子園に行かないと面白くない」ということで進学してきてくれた。物凄く意識が高い世代で、2013年に有田工で甲子園に出場した時と近いものを感じています。
当時はエースで主軸の古川に「俺も負けていられない」と切磋琢磨をしていました。その点で今年のチームも「林だけではないぞ」と思って頑張っていると思うので、重なる部分が多いです。
とはいえ、林はまだ古川のような勝てる投手にはなれていません。ですので、堅実な守備でリズムを作って、着実に1点ずつ、欲をいえば複数得点を積み重ねるようにしたいです。それで僅差の試合ばかりになってしまっても良いと思っています。最後の夏は結果が全てですので、とにかくバッテリー中心に守り切って、最終的に1点でも多く取って勝てればと思っています。
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