今年の大学選手権に4年ぶりの出場を決めた北海学園大(札幌学生野球連盟)。下級生時から公式戦に出場していた選手が多く、勝負年といわれた今年は、春のリーグ戦で9勝1敗。全国に駒を進めた。

 今年は例年以上にスカウトから注目を集めており、3月中旬からの関東遠征では多くのスカウトたちが集結していた。北海学園大を率いる島崎 圭介監督によると4人の4年生がプロ、社会人から注目を集めているという。全国での躍進を狙う北海学園大に迫りたい。

159キロ右腕は12球団から注目される剛腕へ成長

 まず全12球団のスカウトから注目を集めているのが工藤 泰己投手(北海)だ。北海時代は木村 大成投手(ソフトバンク)の控え投手で、二度甲子園に出場したものの、登板はなかった。北海学園大に入るとメキメキと球速を伸ばし、安定して150キロを出せるまでに成長。スカウトから注目を浴びる存在となった。

 3月、関東遠征の際に行われた巨人とのオープン戦では158キロをマークし、その後、最速159キロまで伸ばした。同西武戦では変化球の精度が不安定だったが、春のリーグ戦では17回を投げ、30奪三振。フォーク、スライダーのコントロールも安定していた。工藤はドラフト1位を目指すと語っている。初戦の相手である巧打者が多い上武大相手に快投を見せれば、評価は高まりそうだ。

 最速146キロ左腕・木村 駿太投手(札幌国際情報)も注目されている。どの試合でも安定してストライクが取れて試合が作れる投手で、首脳陣からの評価も高い。西武戦では常時130キロ後半程度だったが、大崩れしない投球が持ち味だ。

 また、153キロ右腕の高谷 舟投手(札幌日大)も逸材の一人。3月の関東遠征では体調不良などもあり、登板は出来なかった。春のリーグ戦では2試合登板にとどまったが、潜在能力は非常に高く、登板できる状況になれば、スカウトから熱心にチェックされるのではないか。

 野手では常谷 拓輝内野手(札幌清修)の評価が高い。2年春からレギュラーとなり、3度の打率3割以上を記録している強肩巧打のショート。3年春までは登板実績があり、最速144キロをマークしている。関東遠征では打撃の結果を残せなかったが、パワフルなスイングが目についた。春のリーグ戦では2本塁打を記録し、バックスクリーンへの本塁打もあった。貴重な強肩ショートとしてアピールをしていきたい。

 北海学園大はスポーツ推薦、特待生もいないチームだ。選手たちは自己投資への意識も高く、外部トレーナーと積極的に意見を交わしながら、レベルアップをしてきた。3月の関東遠征も年末に選手たちがアルバイトを行って遠征資金を貯めて、実現したという。島崎監督は全国で勝つために大学選手権のような試合スケジュールで関東遠征のオープン戦スケジュールを組み、遠征時のホテルの過ごし方、調整の仕方を工夫しながら行ったという。

 星槎道都大など強豪が揃う札幌学生リーグで、圧倒した戦いで優勝しても満足することはない。初戦は全国上位に入る強豪・上武大。苦戦が強いられるが、それを乗り越え、飛躍の大会にすることができるか注目だ。

<北海学園大 主な出場選手一覧>

【投手】

木村 駿太(4年=札幌国際情報

堀川 怜央(4年=札幌第一

坪田 瑠衣登(4年=滝川西

高谷 舟(4年=札幌日大

工藤 泰己(4年=北海

【捕手】

新谷 盛飛(4年=北海学園札幌

鈴木 恋斗(3年=旭川実

【内野手】

常谷 拓輝(4年=札幌清修)

郡山 遥翔(3年=札幌大谷

火ノ川 優作(4年=帯広大谷

杉林 蒼太(4年=北海

森 順哉(4年=札幌日大

【外野手】

中島 柊(4年=札幌日大

下向 航(4年=浦河

柏原 翔太(3年=旭川実