9日から第74回全日本大学野球選手権大会が開幕する。今年のドラフトはプロ志望の高校生が少ないため、大学生が主役になる。現在スカウトから注目を集めている選手やプロ志望の選手たちをピックアップした。

指名有望な投手がずらり

 投手では、大学選手権3連覇を狙う青山学院大のエース・中西 聖輝投手(智弁和歌山)がドラ1候補として期待されている。昨年から主戦投手として活躍していたが、ドラフト候補としては球威が物足りなかった。今年は安定して140キロ後半の速球を投げ込んでおり、130キロ後半のスライダー、フォークの精度も大きくレベルアップした。好投手タイプからパワーピッチャーに変貌している。

 今春のリーグ戦では70.1回を投げ、87奪三振、防御率1.41の好成績で、リーグ優勝に貢献。MVPも受賞した。今大会でリーグ戦通りの投球ができればドラフト1位も現実的になるのではないか。

 早稲田大の伊藤 樹投手(仙台育英)は中西同様、球威面で物足りなさはあったが、この春は常時140キロ後半の速球、スライダー、フォーク、チェンジアップをテンポよく投げ分け、かなり力強さが出てきた。またノーヒットノーランを達成するなど、6勝0敗、防御率2.44と好成績を残している。大学選手権でも出力の高いストレートを披露し、安定感のある投球を披露すれば、上位指名の可能性も高まりそうだ。

 北海学園大の工藤 泰己投手(北海)は最速159キロを誇る速球派右腕。140キロ台の高速フォークで圧倒する。3月の西武二軍との試合では、ボール先行になったり、変化球も抜けたりしていたが、この春のリーグ戦の模様を見ると、だいぶ変化球の精度が高まっている。153キロ右腕・高谷 舟投手(札幌日大)はコンディション不良で出遅れ、公式戦登板は5月にずれ込んでしまったが、リーグ戦登板は2試合を投げ、5回無失点の好投と内容は上々。選手権でしっかりとアピールしていきたい。

 東北福祉大は速球投手を揃える。158キロ右腕・堀越 啓太投手(花咲徳栄)はリーグ戦では中継ぎの起用になり、思うような内容を残せなかったが、選手権で全快の投球を見せれば、1位指名が近づきそうだ。この春は櫻井 頼之介投手(聖カタリナ)がエースとして活躍し、優勝候補・仙台大に完封勝利を挙げるなど、3勝を記録した。常時140キロ後半の速球は伸びがあり、変化球も多彩。制球力も非常に高く、球質の良さ、実戦力の高いフォームともに評価されている。また、リリーバーながら150キロ前後の速球で押す剛腕・滝口 琉偉投手(日大山形)も将来のセットアッパー候補として注目されている。

 中京大の髙木 快大投手(栄徳)は春に42回を投げ、防御率1.71の好投を見せた。怪我の出遅れもあったが伸びのある快速球は他の大学生投手と比較しても突出したものがあり、阪神・村上 頌樹投手(智弁学園)のような高回転のストレートで圧倒する先発型投手を求める球団にとっては絶好の素材だ。中京大では髙木のほかにも未完成ながら150キロ中盤の速球を投げ込む大矢 琉晟投手(中京大中京)、140キロ台後半の速球を投げ込む192センチ左腕・沢田 涼太投手(享栄)も注目だ。

 創価大の山崎 太陽投手(帝京五)はこの春に浮上した149キロ右腕。190センチ86キロのガッシリとした体格から重量感のある速球が魅力だ。大学日本代表候補にも選出され、この大会でブレイクを狙う。

 全国常連の佛教大の190センチの大型右腕・赤木 晴哉投手(天理)の評価も高い。この春のリーグ戦では安定した投球を続け、NPB11球団が視察するほどの逸材となった。最速149キロの速球、切れのあるスライダーを器用に投げ分け、バランスの良い長身投手として全国でも実力を発揮できるか。

 九州共立大には1年生からエースとして活躍してきた151キロ右腕・稲川 竜汰投手(折尾愛真)がいる。また、大学日本代表候補に選出された小中 稜太投手(香椎)も140キロ中盤の速球で勝負する好右腕だ。

ドライチ必至・創価大のスラッガー

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