北信越王者・星稜の主力4人に訊く!手探りの中で勝ち上がった秋季大会「山瀬 慎之介、東海林 航介、内山 壮真、知田 爽汰」
3月23日から開幕する第91回選抜高等学校野球大会。優勝候補として期待されているのが昨秋の北信越大会王者の星稜である。エース・奥川恭伸を中心に投打に逸材が揃い、優勝候補として期待されている。そんな星稜の主力選手からここまでのチームの歩み、今後の意気込みを聞いていく。1回目はスタート直後・神宮大会準決勝までの歩みを聞いていく。
<メンバー>
山瀬慎之助(2年)・捕手・右投右打
東海林航介(2年)・外野手・右投左打
内山壮真(1年)・遊撃手・右投右打
知田爽汰(1年)・三塁手・右投左打
手探りの中、戦った県大会と北信越大会
山瀬慎之介主将(左)と内山壮真選手(右)
―― 今日は皆さん宜しくお願いします。今回登場していただいた選手は昨夏の甲子園を経験している選手が多いですが、まず夏の甲子園で感じたこと、反省していることをお話ください。
山瀬慎之助(以下、山瀬) 状態の良いピッチャーをマウンドに上げられなかったことです。済美戦(試合レポート)を振り返れば、3年生の竹谷(理央)さんは状態が悪かったんですが、マウンドに上げてしまったので、自分がキャッチャーという目線で投手の状態を監督に伝えることができれば防ぐことができたと思いますし、早めに竹谷さんを替えることもできたと思います。
内山壮真(以下、内山) 初めて立って、甲子園はいい球場だと思いました。広くも感じたんですが、甲子園でプレーして、いつも以上の力を発揮できた部分もあり、思い通りプレーができなかったところもあり、すごくいいい経験になりました。
―― では新チームがスタートして、どのようなスローガンを立てたんですか?
山瀬 監督さんから「狙って全国制覇する」という話があったんですが、チームのスローガンとしては『一味同心』というのを立てて、50人全員で全国制覇を目指していこうという話をしました。
―― しばらく奥川くんがU18に選ばれ、不在期間がありましたが、その間はどういうふうにチームをまとめていったんですか?
山瀬 実をいうと、まったくまとまらなかったんです。不安しかなかったんですが、石川県大会初戦から一試合一試合勝っていく中で足りないところを見つけられたので、良かったです。
本当に奥川が居ない間はダメでしたね。居なかったから自分たちが自覚を持ったとか、そういうのは無かったです。
―― やはり奥川君が帰ってきてくれたことは大きかったんですね。
山瀬 確かに奥川は日本代表となって良いと感じたことをチームに伝えてくれたことはプラスにはなりました。それが一番ではなくて、今年のチームは公式戦を1試合1試合勝っていくことで成長できたと思います。
―― 奥川くんはU-18から戻ってきて、どんなことを伝えてくれたんですか
山瀬 いやチーム全体で話したというより、個人個人で奥川に連絡を取って聞くこともありました。根尾さんの話であったり、日本トップレベルの意識の高さなどをチームに伝えてくれました。
―― そういえば内山くんは小園海斗くん(報徳学園―広島)のスプリットステップ(関連記事)を取り入れたと聞いたんですが、それは大会中に聞いたんですか?
内山 大会が終わってからです。実際にやってみて、守備の向上にはすごく繋がると思いました。
[page_break:相手の強さを感じながらも勝ち進めた明治神宮大会]相手の強さを感じながらも勝ち進めた明治神宮大会
東海林航介選手(左)と知田爽汰選手(右)
―― 話は戻しますが、2年生の東海林くんから見ても、チームは苦しい感じだったんですか?
東海林航介(以下、東海林) そうですね。北信越の決勝戦(対啓新)で、延長15回で引き分けになった時は、そこで奥川に頼ってはいけないという感じで、みんなが一つになれたので、その日から成長できたと思います。
―― とはいえ、試合を振り返ってみると、2回戦、松本第一戦(試合レポート)では11対0とか、当たっている感じも受けるんですが。山瀬くんもヒットを打ってます。
山瀬 いえ、そんなヒットらしいヒットは打ってないです(笑)
内山 チームとしても個人としても、反省することが多かったと思います。
東海林 打撃陣に関しては、簡単に終わってしまう打席が多かったり、フライアウトが多かったので、工夫が無かったと思います。
知田爽汰(以下、知田) 決勝の啓新との戦いで勝ちきれなかったので、チームとしてはまだまだだと思いました。
―― 試合を観ると大差で勝っていますが、選手たちの皆さんはまだまだと感じていたんですね。
山瀬 正直、神宮大会の時も良くなくて、自分としてはぜんぜん納得できるチームではなかったです。
ただ大差で勝ったというのは、元々このチームが甲子園に出ているメンバーが多かったので、スタートラインが元々高かったから勝てただけで、新チームからこれだけ伸びたというのは感じていなくて、まだまだです。
―― 北信越大会で優勝して神宮大会まで、どんな準備をして臨んだんですか
山瀬 “全部優勝する”というのが新チーム当初からの目標だったので、やっと神宮大会に出られるということで、初戦が広島広陵さんというのが決まっていたので、まず初戦を勝つためにということで、決勝で上がった打撃力というのはもちろん話し合いはされましたし、そこは意識して臨みました。
明治神宮大会での星稜ベンチの様子
―― やはり広陵はかなり警戒していましたか?
山瀬 そうですね。あんなゲームになるとは思ってなかったです。
―― 大差になりましたが、広陵さんの強さというのは感じましたか
山瀬 そうですね。もう一回やって同じような展開にはならないと思いますし、打撃陣のスイングもそんなに悪くは無かったですし、ピッチャーもあと3人良い選手がいたので、春は上がってくると思います。
内山 相手先発の石原さんは左ピッチャーで140km/h越えていたし、インコースもいいコントロールをしていたので、良いと思いました。
―― 口火を切る二塁打。打った球は何だったんですか
内山 インコース真っ直ぐです。インコースは強い方だと思います。
―― あれを打った瞬間、チームが乗ってきたという感じはありましたか
内山 その後、奥川さんがライトオーバーを打って、それが一番大きなきっかけになっていると思います。
―― 次の高松商業戦(試合レポート)では、東海林くんがホームランを打ちました。打撃フォームが崩れていたのを修正したおかげ(関連記事)と聞きました
東海林 おっしゃる通り、コーチの方に教えていただいて打てるようになったので、そのおかげだと思います。あの試合前はコーチに下半身の体重移動が下手くそと言われたので、そこを意識的に教えてもらって、その結果がホームランに繋がったと思います。
―― 大会を観ていて、知田くんのバッティングは広角に打てる印象があったんですが、自分自身どうですか。
知田 北信越といい、神宮の初戦といい、なかなか芯に当たらないバッティングが続いたので、準決勝では強く振ることを意識しました。
vol.1はここまで。次回は札幌大谷との決勝戦を振り返ってもらいました。あの試合を選手はどう振り返るのか。そして敗戦から見つかった課題についても伺いました。お楽しみに!
(文・河嶋宗一)