Column

明徳・馬淵監督、春夏50勝まであと2つ!夏は歴代2位タイで前田監督に並ぶ!

2016.08.19

 明徳義塾が準々決勝で鳴門との四国対決を制し、4年ぶりの4強入りを決めた。明徳義塾を率いる馬淵史郎監督は、あと2勝で春夏通算50勝に到達する!さらに今大会準々決勝に勝利し3勝目をあげ、歴代2位タイの夏通算30勝目となった。そんな明徳義塾の勝ち上がりにも注目したいが、今回は歴代の夏の監督勝利数ランキングに迫った!トップ3の名将は?

第1位!選手と心のつながりを作り常勝軍団を築き上げた高嶋 仁監督

今夏はまさかの予選敗退で終わった高嶋 仁監督(智辯和歌山)

 第1位はこの夏、まさかの予選敗退に終わってしまった智辯和歌山を率いる高嶋 仁監督で、その勝利数37。選抜合わせての63勝は歴代最多である。高嶋監督は1963年夏に選手として甲子園に出場。そこで味わった感動が、指導者になるきっかけとなる。そして日体大卒業後に智辯学園のコーチに。

 1972年に監督に就任するも、なかなか甲子園に行けなかった。3年間甲子園に行けず、辞表を出して長崎に戻ろうと考えていた高嶋監督だが、当時の理事長に辞表を破り捨てられた。ちょうどそのころ、あまりの厳しさに選手が練習をボイコットする事件もあり、辞めるにはちょうど良いと考えていた高嶋監督だったが、当時の部長に選手たちになぜ厳しい練習を課しているのか、その思いを話した方が良いんじゃないかと言われて、選手を集めて話すことを決めた。

 高嶋監督は選手として甲子園に行ったときの感動、天理の様に毎年甲子園出場して、プロにいくような選手が何人も現れるようなチームに勝つには、そのチームの数倍もやらないといけないんだと話したところ、主将が「わかった、じゃあ監督についていく」と答えたという。この時、高嶋監督は指導が一方的になっていたことを反省し、選手と心を通じ合うことが大事なのだと実感した。

 そして1976年選抜で初の甲子園出場を決める。ここから智辯学園は、天理とともに奈良を代表する強豪校と呼ばれるようになっていく。高嶋監督はその道筋を作った第一人者といっても過言ではないだろう。

 そして1980年に智辯和歌山に赴任すると、同好会状態から一気に叩き上げ、チームを強化していった。今では猛練習が有名な智辯和歌山だが、最初は逃げ出す有り様だったという。選手が本気で取り組めるよう、強豪校と練習試合を組んで、大敗して悔しい体験をさせながら練習に向かわせるなど、選手の気持ちを動かす指導が多かった。

 そうやって実績を積み上げながら、全国でも結果を残すようになったのは、1993年夏から。それまで選抜と選手権を合わせて5連敗していたが、1回戦で強豪・東北に延長12回裏にサヨナラ勝ちを決め、智弁和歌山として初勝利を決めると、その夏はベスト16を果たし、そして1994年選抜で初優勝を果たす。1996年選抜も準優勝を決めるなど春に強さを示していたが、1997年夏に甲子園優勝を決めてからは、2000年夏優勝2002年夏の選手権準優勝、2006年夏の選手権ベスト4と夏でも実績を残すようになる。

 智辯和歌山は猛練習で知られるチームだが、その中でも選手と心を通わすことを常に忘れない。高嶋監督は2008年~2009年の間に四国遍路を行ったが、そこで励ましの声をいただいたことで、肉体的にも、精神的にもきつい四国遍路を乗り越えたという経験を活かして、それからは選手にかける声にも工夫を凝らした。

このペ-ジのトップへ

[page_break:第2位!独自のトレーニング理論から多くのプロ選手を輩出した前田監督&馬淵監督!]

第2位!独自のトレーニング理論から多くのプロ選手を輩出した前田監督&馬淵監督!

 明徳義塾の馬淵監督が、今年の夏の甲子園で一気に監督勝利数を伸ばし、歴代2位タイに並んだ。その2位の夏30勝をマークしているのが帝京の前田監督だ。木更津中央高校出身(現・木更津総合)の前田監督。木更津など内房といえば、気性が荒っぽいところはあるがなぜか憎めない人の良さを感じさせる男性が多い地域だが、前田監督はまさに「瞬間湯沸かし器」。選手を叱咤激励しながら、チームを引っ張ってきた。その前田監督が大事にするのは土台固め。

 1978年選抜に初の甲子園出場を果たすと、1980年選抜では準優勝を収め、着実に全国を代表する強豪校へステップアップしていった。またこの年のエースは、のちにプロで活躍した伊東 昭光投手(元ヤクルト)もいた。そんな中、前田監督にとっての転機が訪れたのは、1983年選抜に、徳島池田に0対11で敗れたこと。この試合を見て、体格、パワーも何もかも違うと実感した前田監督。一つの大敗が3合飯と筋力トレーニング、水泳と徹底的な土台固めを行うきっかけとなった。現在も、前田監督はトレーニングについてとても勉強熱心で、専門のトレーナーが付き添いながらも、いかに高いパフォーマンスを発揮できるかに重点をおいて、メニューを考案して選手に取り組ませている。 

トレーニング理論に長けた前田 三夫監督(帝京)

 これらの取り組みが実を結び、1985年選抜では小林 昭則(元千葉ロッテ)を擁し、選抜準優勝。1987年選手権では2回戦の東北戦で芝草 宇宙(元福岡ソフトバンク)がノーヒット・ノーランを達成するなど、甲子園ベスト4を決める。1989年夏吉岡 雄二(元東北楽天)が投打で圧倒的なパフォーマンスを見せ、ついに初の甲子園優勝を決めると、その後も、1992年選抜優勝、1995年夏にも優勝するなど、実に夏優勝2回、選抜優勝1回、準優勝2回と栄光を味わった。

 その後も、甲子園で勝ち星を重ね、帝京の夏の30勝、春の21勝は前田監督がもたらしたものである。近年、横浜DeNAでクローザーで活躍する山崎康晃関連記事など毎年140キロ以上を投げる投手を揃える帝京。今も次のステージで活躍する選手を輩出する帝京ではあるが、そろそろ2011年夏以来の甲子園出場を願っているファンも多い。昭和~平成で名をはせてきた名将が勇退を決めている中、再び大型チームで甲子園に乗り込むことを期待している。

このペ-ジのトップへ

[page_break:第3位!春夏連覇1回、昭和~平成の高校野球をリードした渡辺元智監督]

第3位!春夏連覇1回、昭和~平成の高校野球をリードした渡辺 元智監督

昨年惜しまれながら勇退した渡辺 元智監督(横浜)

 甲子園での監督勝利数3位は、昨年惜しまれながら勇退した渡辺監督(関連記事)。夏の通算28勝。

 渡辺監督のすごさは、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代とそれぞれ全国優勝を果たしていること。1973年選抜では、永川 英植(元ヤクルト)投手を擁し優勝を決めると、1980年選手権では愛甲猛投手(元中日)の投打にわたる活躍で、優勝を収める。しかし、そこから不遇の時期が続いた。1981年以降も甲子園出場をするが、ベスト8が一度もなかった。

 だが1998年、松坂大輔投手(福岡ソフトバンク)を擁し、連覇。2000年以降もベスト4が2回、ベスト8が2回、選抜でも優勝1回、準優勝1回と1990年以降から安定して勝ち星を収めるようになったのだ。

 横浜といえば、多くのプロ入り選手を輩出している高校だ。素質ある選手の能力を引き出す指導は、高嶋監督同様、選手と心を通わせることを重要視し、人間味あふれる選手を育て上げ、大学、社会人、プロでも活躍する選手を輩出し続けている。


注目記事
・30日から開幕!U-18 アジア選手権の代表メンバーを発表前に大胆予想!!

・北海の記録がスゴイ!甲子園に歴代最多出場中の北海、頂点まであと3つ!

・最速152キロがMAXの今夏の甲子園!歴代最速の男は一体誰だ!?

このペ-ジのトップへ

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.09

【熊本】九州学院は城北と文徳の勝者と対戦<NHK旗組み合わせ>

2024.05.09

プロスカウトは190センチ超の大型投手、遊撃手、150キロ超右腕に熱視線!この春、浮上した逸材は?【ドラフト候補リスト・春季大会最新版】

2024.05.09

「指導者はどこにいる?」九里学園(山形)が 選手主体の”考える野球”で成果着々

2024.05.09

【新潟】日本文理、開志学園、帝京長岡、関根学園が4強<春季県大会>

2024.05.09

【北海道】駒大苫小牧がコールド発進、立命館慶祥、知内も勝利<春季全道大会支部予選>

2024.05.08

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.06

【2024年夏 全国地方大会シード校一覧】現在27地区が決定!

2024.05.06

センバツV・健大高崎は夏も強い! Wエース抜きで県大会優勝、投打に新戦力が台頭中!

2024.05.06

【関東】山梨学院と常総学院がそれぞれ優勝、出場校の対戦が確定<春季大会>

2024.05.06

【春季埼玉県大会】花咲徳栄4回に一挙10得点!20得点を奪った花咲徳栄が昌平を破り優勝!

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>