第115回 【小関順二のドラフト指名予想】北海道日本ハムファイターズ編 「次の大谷・中田の獲得が課題」2017年10月09日
【目次】
[1] 大谷・中田の穴をいかに埋めるか
[2] 本田・清水・山本など本格派右腕の獲得
北海道日本ハムファイターズ 今季戦績
142試合 59勝 83敗 勝率.415 パ・リーグ5位(10月6日現在)
大谷・中田の穴をいかに埋めるか

大谷翔平(北海道日本ハムファイターズ)
■清宮よりも安田の獲得が適切か
来季の日本ハムは顔ぶれが一変しそうだ。大谷 翔平がポスティングシステムでメジャー移籍、中田 翔がFA制度で国内球団移籍、さらに大野 奨太のFA移籍も噂されている。大谷、中田に代わるチームの顔を獲得するために今年のドラフトでは清宮 幸太郎(早稲田実業・一塁手)を1位入札すると思っていたが、10月2日の清宮家との面談に参加していないのは意外だった。清宮争奪戦からの撤退と言ってよさそうだ。
ポジション別に見れば現在、三塁を守っているレアード(30歳)の後釜は必要だろう。3、4年後のレギュラー交代を見据えた安田 尚憲(履正社)の1位入札は十分考えられる。清宮と安田のバッティングの違いは一言で言えば「柔らかさ」。打席でいい具合に脱力している清宮に対して安田は構えたときから力感がある。力が抜けた分、清宮のほうがボールをキャッチャー寄りに呼び込める。つまり確実性は現時点では清宮のほうが上。力感溢れる安田を戦力にするには失敗を恐れず一軍の試合に出し続けることが重要で、巨人や阪神に入団すれば失敗の確率がグンと跳ね上がるが、そういう部分では12球団の中で日本ハムが最も信頼できる。安田の1位入札は十分考えられる。
■投手層の補強が最重要
投手陣はどうだろう。大谷、中田の大砲2門が抜けそうな攻撃陣の補強が重要と思い清宮、安田の指名を真っ先に考えたが、投手陣の補強も急務である。過去5年、高橋 純平、小笠原 慎之介(外れ1位)、田中 正義を抽選で外していることもあるが、大物感を漂わす投手の獲得は14年1位の有原 航平しかない。
12年以降の5年間、有原以外に獲得した主な投手は鍵谷 陽平、浦野 博司、高梨 裕亮、白村 明弘、加藤 貴之、井口 和朋、堀 瑞輝などリリーフタイプが多く、その大半が大学生、社会人だった。反対に14年以降、高校生ばかり指名してきたのがライバルのソフトバンク。まだ結果は出ていないが、ドラフト1、2位で指名した高校生投手は3年間で4人。同時期で比較すれば日本ハムは堀しか指名していない。

- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ
