第131回 【小関順二のドラフト指名予想】広島東洋カープ編 「黄金時代へ 需要に合ったドラフト戦略を」2017年10月22日
【目次】
[1] 脇役は揃った、今年はスラッガータイプの指名を
[2] 投手は先発タイプの獲得も視野に
広島東洋カープ 今季戦績
143試合 88勝 51敗 4分 勝率.633 セ・リーグ1位(10月10日現在)
次世代正捕手候補・坂倉がいるのに、中村をなぜ単独1位指名するのか?

左から中村奨成、坂倉将吾
中村 奨成(広陵・捕手)を1位で入札すると表明した。清宮の指名合戦からはいち早く離脱し、投手でいくか中村でいくかで悩んだのはファームに次代の正捕手候補、坂倉 将吾がいたからだろう。高校卒1年目・坂倉のファームでの打撃成績は打率.298(ウエスタンリーグ2位)、安打85、盗塁13という見事なもので、私が重視する打数は285と多く、長打率.400も今後の飛躍を予感させる。この坂倉がいても中村を1位で入札するというのは、それだけ中村の評価が高いということである。
FA制度がなかった頃、期待の若手が成長すると監督は「これでショートは向こう10年心配ない」などと言った。FA制度の導入やポスティングシステムの広がりで一流選手ほど流出を心配する時代になったが、93年以前なら中村を獲得した監督は「向こう10年キャッチャーは補強しなくていい」と言っただろう。
次代のレギュラーキャッチャーを懸けた戦いが坂倉と中村の間で展開されるわけだが、中村を外野あるいはショートにコンバートするという憶測記事がマスコミを賑わせている。あるスカウトに「広島が中村を獲得したら坂倉はどうしたらいいんでしょうか」と聞くと、そのスカウト(広島以外の球団)は「日大三では2年まで外野を守っていたんだから、外野に戻せばいいんじゃないですか」と答えてくれた。中村のキャッチャーとしての素質に疑いを持っているスカウトは少ないということである。
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- 小関 順二
- 出身地:神奈川県横須賀市生まれ。
- ■ プロ野球のドラフト(新人補強)戦略の重要性に初めて着目し、野球メディアに「ドラフト」というカテゴリーを確立した。ストップウオッチを使った打者走者の各塁走塁、捕手の二塁スローイングなど各種タイムを紹介したのも初めてで、現在は当たり前のように各種メディアで「1.8秒台の強肩捕手」、「一塁到達3.9秒台の俊足」という表現が使われている。
- ■ 主な著書に『プロ野球問題だらけの12球団』(年度版・草思社)、『プロ野球スカウティング・レポート』(年度版・廣済堂あかつき)、『ドラフト物語』(廣済堂あかつき)、『野球力』(講談社+α新書)、『プロ野球サムライたち』(文春新書)などがある。
- ベースボールファン(有料コラム)では、「野球を歩く」を寄稿、野球ファン必見の野球歴史コラムを配信している。
- ■ 小関順二公式ブログ
