Column

強豪校を次々抑えて一躍プロ注目の存在に! 永見光太郎(東京)の将来性を分析する<高校野球ドットコム注目選手ファイル・ コム注>

2024.04.18


永見 光太郎(東京)

この春、一気に評価が上がった投手が東京高の永見 光太郎投手(3年)だ。4月2日の春季都大会1回戦で成立学園を2対0の完封で勝利すると、4日の2回戦でも、プロ注目の森井 翔太郎内野手(3年)を擁する桐朋を完封。6日の二松学舎大附戦でも1失点完投勝利を収めた。強豪校を次々抑え込み、一気にスカウトの注目を浴びるようになった。

身長は178センチ。投手らしい手足の長さ、肩、肘の動きを見ると可動域が広く、しなやかさを感じる。投球フォームも、上半身、下半身が連動していて、一連の流れが美しく、完成度が高い。体重は70キロでかなり細いが、スカウトからすれば逆に伸びしろとして映るだろう。現在の最速は140キロだが、身体ができていけば、どれだけ速くなるのか楽しみな素材である。

4回戦の日大豊山戦から永見の将来性を検証していきたい。
この日は本人も「調子が悪かった」と語るように、ストレートの球速は128キロ〜136キロ。130キロ前半がほとんどで、打者を差し込むような強さはなかった。ただ両サイドにしっかりと投げ分けができており、いつでもストライクが取れるコントロールの良さは魅力。球質を見ると“キレ”型。好調時は空振りを奪うことができる。こうしたボールを投げるためにキャッチボールからライナー性のボールを投げ続けることを心掛けているという。
こだわりが感じられたのは、イニング間の投球練習。この試合、永見は軽いキャッチボールで留めていた。悪い感覚で強いボールを投げるとフォームにも悪影響が出てしまうため、キャッチボールから自分の感覚を修正している。
ストレート以外の武器は120キロ後半のカットボール。右打者、左打者の膝元に決まっている。直球と同じ腕の振り、リズムで投げ込むため、打者からすれば、狙い球を絞りにくい。永見はカットボールを投げる際、手首の角度で曲がり幅を調整しているという。

今後、夏までに球速が増せば、ドラフト育成指名の可能性はあるだろう。しかし、無理に球速アップを求めたり、投球過多が続くと、故障のリスクは間違いなく上がってしまう。

本人も日大豊山戦の試合後に課題として体力面を挙げたように、まずは身体づくりだろう。
今後プロ入りしても、大学進学しても、高校卒業してからの1年間はみっちり体作りすることが必要だ。実際に球場でみると、線の細さに加えて、体の強さがあまり感じられない。体力面の強化は短期間で解決できるものではないので、時間をかけて伸ばしていく必要がある。

モデルケースとして挙げたいのは、中日育成4年目の松木平 優太投手(精華)。プロ入り時の身長178センチ、体重70キロと、永見とほぼ同じサイズながら最速145キロの速球を投げるセンスの良さを秘めていた。プロ入り後の3年間で78キロにサイズアップして、スピードも152キロまでアップした。どの試合でも140キロ後半の速球、多彩な変化球を投げ込んで、支配下登録も狙える位置にきている。

永見のコントロールの良さ、繊細な感覚は、他の投手がなかなか真似できない長所だ。長い時間をかけて、見ていく必要があるが、まず夏の大会でNPBのドラフト指名に値する成長を見せることができているか注目したい。

<永見光太郎>
右投げ右打ち
178センチ70キロ
伊藤学園中出身

<関連記事はこちら>
◆【トーナメント表】春季東京都大会結果
◆【一覧】東京都の主要大会スケジュール
◆25年ぶりの大転換期! 2024年東京の高校野球”3つの見どころ”
◆【一覧】全国各地区春季大会組み合わせ
◆【一覧】2024年 高校生ドラフト候補リスト

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.07.16

専大松戸が一挙6失点許してヒヤリ プロ注目の大型遊撃手の逆転本塁打で4回戦進出【2024夏の甲子園】

2024.07.16

元日ハム・飯山ジュニアの好投で修徳快勝! 双子の弟はセンバツ4強捕手、兄は元大学日本代表【24年夏・東東京大会】

2024.07.16

愛媛で宇和・渡部がノーヒットノーラン達成!帝京五を破る【2024夏の甲子園】

2024.07.16

茨城では土浦日大、水戸商、水城のシード3校が初戦突破!【2024夏の甲子園】

2024.07.16

富山中部が8回コールド勝ち、高岡南-魚津工戦は継続試合【2024年夏の甲子園・富山】

2024.07.14

甲子園通算19度出場・享栄が初戦敗退 1点差でまさかの敗戦【2024夏の甲子園】

2024.07.13

四国の夏を盛り上げる逸材20名! 全国注目の四国BIG3から「東大野球部か医者か」の秀才、名門・池田の小さな大エースまで【逸材選手リスト】

2024.07.15

ノーシード・二松学舎大附が2戦連続で延長戦を制す【2024夏の甲子園】

2024.07.13

モイセエフ擁する豊川、初の夏の甲子園へ戦力向上中! カギは超高校級スラッガーの前、投手陣は急成長 センバツの雪辱をはたすか!?【注目チーム紹介】

2024.07.15

プロ注目153キロ右腕が3回戦で姿消す 好リリーフ見せるもあと1点及ばず【2024夏の甲子園・兵庫】

2024.07.08

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

2024.06.30

明徳義塾・馬淵監督が閉校する母校のために記念試合を企画! 明徳フルメンバーが参加「いつかは母校の指導をしてみたかった」

2024.06.23

大阪桐蔭が名門・日体大に1勝1分け! スター選手たちが快投・豪快弾・猛打賞! スーパー1年生もスタメン出場 【交流試合】

2024.06.23

プロ注目の大阪桐蔭・徳丸が大学生相手に決勝アーチ!直近3週間5本塁打と量産態勢!2年ぶり夏甲子園へ強打者の勢い止まらず!

2024.06.28

元高校球児が動作解析アプリ「ForceSense」をリリース! 自分とプロ選手との比較も可能に!「データの”可視化”だけでなく”活用”を」