間もなくアジア選手権!代表18選手のここまでの状況を振り返る
8月30日から始まる第11回 BFA U-18 アジア選手権から開幕する。侍ジャパンU-18代表は練習試合・壮行試合を含めて3試合を行ったが、選手たちのここまでの仕上がり状況を振り返っていきたい。
投手陣の仕上がりは上々
■投手 8名
今井達也(作新学院)
・今井達也(作新学院)
・寺島成輝(履正社) ※関連記事
・藤平尚真(横浜) ※関連記事
・高橋昂也(花咲徳栄)※関連記事
・早川隆久(木更津総合) ※関連記事
・堀瑞輝(広島新庄)※関連記事
・藤嶋健人(東邦) ※関連記事
・島 孝明(東海大市原望洋)
まず投手陣の仕上がりはかなり良い。史上最強の投手陣に相応しいパフォーマンスをここまで見せてきているといっていいだろう。
今井は壮行試合で2イニング5奪三振。150キロ超えのストレートは大学生でも圧倒するものがあり、勝負所でもしっかりと力を出せるところを証明した。そうすれば、今井は台湾、韓国などの強豪国相手に登板をさせたいところ。激闘の甲子園を投げ抜いた疲労の状態も懸念されるので、起用法は限定的に、一番大事な試合で一番力を発揮できる起用が望ましいだろう。
左腕のエース格として期待される寺島は計2試合に登板し、4イニングで2失点。寺島はまだ絶好調とはいえないが、寺島の魅力はどんな状況でも8割のボールが投げられて、80点のピッチングができること。調子が悪いと0点のピッチングになってしまう投手がいるが、寺島の魅力はそれがない。好不調関係なくゲームメイクできる寺島は頼りになるだろう。
藤平は球速がだいぶ戻ってきた。フォーク、スライダーのキレは抜群なだけに、パワーピッチングが期待できる。先発で任せられるだろう。
早川は壮行試合で5失点を喫したが、ストレートのキレ、変化球の切れはまずまずで、早川自体に不安要素はない。配球を間違えれば打たれるという経験を下だけでもよかっただろう。先発・リリーフでフル回転をしていきたい。
高橋は甲子園に比べてストレートのコマンド能力が戻ってきた。フォークのキレ味も鋭く、三振が奪える。奪三振を取れる投手で、小枝守監督も、リリーフでの起用も考えているようで、フル回転する投手になりそうだ。
堀は自慢のスライダーが切れており、左打者殺しに最適。堀も中継ぎの起用が考えられそうだ。
島は、合流後の練習を見ていても、淡々と自分のメニューをこなす。自分の準備ができる。そのため、どの試合でも、普段通りの力を発揮できるのが強み。140キロ後半のストレートとキレのあるスライダーは脅威。東海大市原望洋の時からリリーフとして投げていたのでリリーフで登板したほうが島の持ち味は引き出せるはず。
藤嶋は野手専念で、今大会の登板はない可能性が高い。どちらかというとタイブレークの練習で、キレの良い速球を投げ込んでいた入江を起用する可能性もあり、一次ラウンドから経験を積ませることができるか、注目をしていきたい。
■捕手 2名
九鬼は早稲田大戦で3ランを放ったように最も長打を期待出来る選手。投手陣と上手くコミュニケーションを取ることができており、投手の持ち味をしっかりと発揮している。自慢の強肩も素晴らしく、たびたび走者を刺してピンチを救っているだけに頼もしい。まだワンバウンドの処理能力に課題を残す場面はあるが、九鬼は勝負を急がずにじっくりとリードすることを心掛けてほしい。
渡辺はこういう経験は初めてということもあるだろう。まだまだ攻守ともになじめていない様子。パンチ力ある打者で、強肩も光る選手。徐々に自分の持ち味を発揮できるか。また渡辺はいなべ総合の取り組みである野球ノートを代表入りしてからも実践していて、投手の情報把握に努めている。
打線は九鬼、鈴木、松尾以外で打てる野手が現れるか?
主軸打者として引っ張る九鬼隆平(秀岳館)
■内野手 6名
小池航貴(木更津総合)
伊藤優平(八戸学院光星)
入江大生(作新学院)
佐藤勇基(中京大中京)
松尾大河(秀岳館) ※関連記事
林中勇輝(敦賀気比)
内野手は三塁を守る松尾が、攻守ともに内容が良い。本来は1番、2番打者タイプだが、壮行試合では5番を打ったようにポイントゲッターとしての活躍が期待されている。ただチームとしては松尾が1,2番を打った方が良いだろう。スピードのある伊藤が2番打者としてどれだけかき回せるか。
林中、伊藤、小池、入江はまだまだ木製バットに慣れ切れていない様子。首脳陣が技術面でうまく修正ができるか。やはり内野手は守りのミスをしないように、グラウンドの状況、打球判断、野手の走力をすべて予測して守ることが求められるだろう。今大会の布陣では打撃面ではなかなか点が取れない。それだけに守備のミスからの失点はなくしていきたいところ。
■外野手 2名
※関連記事
外野手は、鈴木は走攻守ともに前評判通りの力を見せており、やはりこの男がキーマンとなるだろう。納はガッツあるプレーが光っているが、なかなか奮わないところが苦しい。
そして投手登録ながら野手でスタメン出場している藤嶋が木製バットの対応に苦しんでいる。飛ばす力は代表選手の中でも一番。あとはどれだけ狙い球に対してしっかりとコンタクトできる技術を身に付けられるかである。打線充実には藤嶋のバットがカギを握っている。
大会前の分析でも、打線は例年より弱く、あまり得点は期待できないと記載したが、ここまでの3試合はそういう展開となっている。ここまで松尾、鈴木、九鬼の3人は3試合通して当たっているが、他の打者が奮わない状況のため、かなり苦しいやりくりとなっている。去年のU-18のように下位打線からも勝負強い打撃ができる打者がいれば心強いが、これほど不安を抱えたまま、本戦に臨むのも初めてかもしれない。
ただ打撃は水物で、状態がガラッと変わることはある。まずは30日の香港戦では、打って点を取った成功体験をどんどん積んでほしい。そうやって自信をつけることで、アジア制覇は一歩ずつつながっていく。
ぜひ30日は過去3試合以上のパフォーマンスを発揮し、まず1勝をもたらすことを期待したい。
注目記事
・【第11回 BFA U-18 アジア選手権特設サイト】
・観戦レポート:侍ジャパンU-18代表vs立教大
・観戦レポート:壮行試合 侍ジャパン大学代表vs侍ジャパンU-18代表
(文・河嶋 宗一)