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愛知私学4強を破ることを目指してきた星城 今年こそ下剋上実現へ

2019.07.14

 7月13日、星城が選抜優勝の東邦を破り、話題を集めた。豊明市に構える星城はどんなチームなのか?

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我慢・辛抱、そして気配りで私学4強の壁を崩す準備を進めてきた

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石黒 佑弥 (星城)

 星城といえば、男子バレーボール部、女子バスケット部が全国を代表する強豪校だが、野球部もそれに続こうと2015年、4月から平林宏監督が就任した。平林監督は豊田西高校の監督として、1998年春の選抜で同校初の甲子園出場に導き、その後も愛知大会決勝へ勝ち進むなど進学校・豊田西を強豪校に育て上げた。

 そんな平林監督の指導理念は「当たり前のことをしっかりこなす。気配り、目配り」だ。だが、最初はなかなか浸透しなかったが、それでも辛抱強く指導しつづけた。
 「野球で我慢、辛抱のできる子供たちが試合で競ったときにやはり勝てると思います。
 もう一つは挨拶や気配り、当たり前の気づきなどをできる子供たちが結果、試合に勝つ。それは相手の出方に気づくとか、相手の配球に気づくとか相手より先に気づいて行動するということですから、そういうことが普段の生活の中でできてくると。必然的に勝つようになる。それが少し星城に来た時は欠けていた部分があったと思いますね」

 その考えは能力が劣る公立校が強豪私学に勝つためにはどうすればいいか導き出した答えではあるが、この考えは公立でも、私立でも関係がない。スポーツの世界では大事な考えである。平林監督の方針が浸透したと実感できたのは2018年のチーム。藤田健太朗(東海学園大)、木村翔(東海学園大)など好選手をそろえ、夏に臨み、2回戦で愛工大名電に10対11で敗れたものの、愛知を代表する私学4強に対抗できる戦力は身に着けつつあった。

 今年は最速146キロ右腕・石黒佑弥が急成長。下級生の時から平林監督が目をかけていた選手で、愛知代表になるなどいろいろな経験を積み、今年の活躍につなげた。他では1年生から活躍する2年生スラッガー・坂井田悠真、副主将の河田隆博が成長。今年は県内、県外の強豪校と練習試合を重ねながら、夏へ向けての準備を行った。

 そんな今年のチームについて平林監督はこう語る。
 「新チーム結成時は打撃のチームでしたが、春以降は投手を中心とした守り勝つチームを目指してきました。攻撃は特にバントの精度にこだわって、確実に進塁させることを重点課題として取り組んできました。投手力を含めて、走攻守とバランスの取れたチームに仕上がりました」

 夏の戦いでは投打ともに機能した戦いを見せている。豊橋南に10対0で圧勝。エース・石黒が本塁打、さらに4番で副主将の河田も二塁打、三塁打を放つ活躍を見せ、東邦戦では石黒、河田、稲吉興太が本塁打を放ち、石黒は140キロ台の速球で強打の東邦打線を3失点に抑え、主砲・石川昂弥も4打数1安打に抑えた。

 ついに東邦を破り、3回戦進出を決めた星城。しかしこのブロックには私学4強の一角・享栄がひしめいており、まだタイトな戦いが続く。

 平林監督は「私学4強といわれるところを叩かないと甲子園には行けないと思ってますから」とこれから厳しい戦いが続くことを理解している。そのためにはこれまでの積み重ねを発揮するしかない。

 東邦を破った勢いを持続できるか。令和初の王者へ。星城の挑戦は続く。

 文=河嶋 宗一

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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