【愛知大会展望】享栄ブロックに東邦、星城、中部大一に愛工大名電と、各ブロックに実力校集まる!
平成最後の甲子園となった、今春のセンバツ大会を制したのは東邦だった。東邦は平成最初のセンバツも制しており、東邦で始まり東邦で締めた平成の甲子園ということになった。
その東邦が中心となっていくと思われる令和最初の甲子園を目指す愛知の戦いだ。ただ、その前哨戦となる春季大会では東邦が初戦で中部大一に敗れノーシードとなっている。昨夏の東西愛知大会の代表校、愛工大名電と愛産大三河もノーシードとなり、波乱含みの大会となりそうだ。組み合わせから、展望してみた。
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第101回 全国高等学校野球選手権 愛知大会
実力ある学校がひしめく混沌模様
中京大中京・高橋 宏斗
昨秋の県大会、東海大会進出を賭けた3位決定戦で23対20という、史上稀に見る大乱戦を演じた中部大春日丘と西尾東。その再戦が実現しそうだ。シード校の春日丘の初戦の相手が、西尾東と豊田西の西三河の公立の雄同士の対戦の勝者となった。
西尾東は山田紘太郎君と加藤健輔君のバッテリーが安定している。この勝者が5回戦まで進出しそうだが、その相手としては昨年の東愛知代表愛産大三河が有力だ。とはいえ豊橋商と豊橋東、半田工と日本福祉大附という初戦カードを制したチームが勢いづいていれば一波乱も十分にあり得る。
トリッキーな野球で様々な形で仕掛けてきて相手を混乱させていく「思考破壊」を持ち味として近年躍進、春夏に甲子園出場を果たしているのがBブロックの至学館だ。この夏はシード校として菊華、西春あたりを迎え撃つ戦いとなりそうだ。
5回戦の相手としては、三重で全国準優勝を果たしているベテラン中村好夫監督が今春に就任した愛知啓成と刈谷という初戦の好カードがあるが、これを制したところが有力。ただ、西三河の曲者として注目されている安城もいるし、さらには大同大大同、豊田大谷といった中堅私学勢も手ぐすねを引いて待っている。
東三河のシード校が今年は愛知桜丘と豊川の2校だが、どちらも比較的戦いやすいブロックに入ったのではないだろうか。とは言え、Cブロックの愛知桜丘は5回戦では同じ豊橋市のライバル豊橋中央と当りそうだが、激しい試合が予想される。そこまでに愛知桜丘には渥美農、豊橋中央には津島、名南工、岡崎城西あたりが壁となってきそうだ。
悲願の夏初出場を果たしたい豊川は豊富な投手陣を上手に使い分けながら5回戦までの戦いになりそうだが、夏に強い大府、名城大附や杜若といったところが食い下がってきそうだ。このDブロックの初戦カードとしては名市工芸と鶴城丘はともに投打にまとまっており好カードとなりそうだ。
一昨年の代表校で今春はベスト4、昨秋も準優勝で今大会もシード校となっている名門中京大中京は比較的恵まれたEブロックに入った。4回戦までの難敵と考えられるのは名市工と刈谷工の勝者だろうか。どちらも熱心な指導者が毎年まとまりのあるチームを作ってきている。勢いづいてきていたら、足元をすくわれかねない。
5回戦の相手としては田川誠監督がいろいろ仕掛けてくる野球を展開する西尾が有力だが犬山、国府、小牧工あたりが出てくる可能性もある。
[page_break:東邦の春夏連覇への挑戦は厳しい船出]東邦の春夏連覇への挑戦は厳しい船出
東邦・石川昂弥(写真=共同通信)
もっとも激戦になりそうなのがシード校としては享栄が入っているFブロックだ。ここには、センバツでは全国優勝したが春季県大会で初戦敗退した東邦が入っている。しかも、初戦は公立勢では曲者と評判の天白。さらには好投手石黒佑弥君がいて、ダークホースとしてひと暴れしそうだという評価も高い星城が2回戦で待っている形になる。
4回戦で東邦と享栄が当たったとして、その勝者と5回戦でぶつかりそうなのが今春の全尾張大会を制した東浦だ。近年、知多地区では進境著しい存在である。このように、春夏連続出場を目指す東邦にとっては、8強進出までにも一山もふた山もある組み合わせとなった。
沖縄尚学や長崎日大で実績を挙げたベテラン金城孝夫監督が旧弥富時代以来、愛知黎明に復帰し久しぶりに愛知大会を戦うことになる。就任直後に県大会準優勝した愛知黎明は「この大会では、こちらに風が吹いていた」と語っていたが、その追い風はまだ吹き続けているかのように、Gブロックの4回戦までの組み合わせとしてはそれほどの難敵はいないようだ。
そんな中で、安城東と投手のいい小牧南あたりが最初の壁となりそうだ。5回戦では、初戦でまみえる好カードの成章と栄徳の勝者か全三河大会で初優勝を飾ってムードが盛り上がっている科技豊田あたりが挑んでくるという展開になりそうだ。
春季県大会を制した中部大一のいるHブロックもFブロックに並ぶ激戦ゾーンになった。シードの中部大一の初戦となる3回戦が昨夏の西愛知代表の愛工大名電となりそうだ。この勝者が5回戦に進出はするだろうが、4回戦では愛知や誉と言った強豪私学が待っていそうなのでわからない。さらには、反対ゾーンからは愛産大工や毎年夏には勝負強さをさらに発揮して強豪校を手こずらせる伝統の時習館、さらには攻守にまとまりのある岡崎工などもおり、厳しい戦いになることは否めない。
愛知大会はベスト8が決まった段階で再抽選となる。だから、よく言われるのは「愛知大会は、ここからもう一つの大会が始まる」という意識だ。いずれにしても、まずはそのステージに立つまでにそれぞれ一つの山があるのだ。
ことに東邦、愛工大名電、愛産大三河、栄徳、愛知、昨夏の東愛知準優勝で秋もベスト4の西尾東といったところがノーシードとなっているため、シード校としても厳しいゾーンに入ったところもある。
全国でも有数の参加校188校が参加する愛知大会。日程も前倒しで6月の最終週土日から大会が始まり、6月中に50校が姿を消すことになる。さらには、7月1週目の週末までに約半分の学校が姿を消すことになる。
そんな厳しい戦いが1カ月ほど続いていく愛知大会。東邦が春夏連覇を目指すステージに立つことが出来るのか、それをどこかが阻止するのか、それが最大の見どころになる。投打に注目の逸材で春の優勝投手の石川昂弥君が果たして、どんな起用をされていくのかというところもまた見どころの一つである。
文=手束 仁
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