昨季優勝の巨人は戦力を立て直しながら、5月25日終了時点で勝率.553の2位だ。

 振り返ってみると、開幕カードを3連勝で駆け抜け、浮き沈みがありながらも5月4日時点で貯金5の首位に立っていた。しかし、わずか2週間ほどで勝率5割になることもあったが、依然として綱渡りの戦いが続いている。

 その大きな要因が、岡本 和真智弁学園)の不在だろう。岡本は5月6日の阪神戦で負傷し、離脱した。開幕から32試合連続で4番に座り、打率.308、8本塁打、25打点、OPS.979の成績を残していた主砲がいなくなれば、打線の迫力は大きく変わる。

 岡本が離脱して以降、4番には吉川 尚輝、キャベッジ、大城 卓三が座り、5月14日からはキャベッジで固定されている。最初は1割台の時期もあったが、先週5試合では、19打数5安打と奮闘している。

 簡単に岡本クラスの穴が埋まるものではない。4番に限らず、チーム全体でその穴を埋めていかねばならない。そんななか、アピールを続けている若手が増田 陸明秀日立)だ。増田はここまで26試合に出場し、打率.303、2本塁打、6打点、OPS.763、得点圏打率.333と猛烈にアピールしている。下位打線での起用が主だったが、5月16日からの中日との3連戦では5番で起用されるなど、阿部慎之助監督の信頼も厚く一塁の定位置を掴みつつある。今年がプロ7年目のシーズンだが、高卒入団ということもありまだ24歳。チームのピンチをチャンスに変え、ブレイクするか注目される。

 ファンからはトレードで加入したリチャード(沖縄尚学)と浅野 翔吾高松商)の台頭が期待されている。

 リチャードはソフトバンク時代、5年連続ウエスタン本塁打王に輝き、何度もブレイクが期待された。浅野は高松商時代、夏の甲子園3本塁打を放ち、高校通算68本塁打を記録した。阪神との競合の末、獲得し、将来の4番候補として育てられている。

 2人とも一発の魅力を十分に秘めており、少ない出場試合ながら2本塁打を記録している。浅野は打率.200まで上げ、スタメン出場の機会も増えてきた。打率をもう少し上げることができれば、レギュラーに定着してもおかしくない。

チーム全体の状況を見ると、開幕前の故障で離脱していたベテラン・丸 佳浩千葉経大付)も、すでに二軍で試合に出場しており、一軍復帰は目前だ。直接ポジション争いに巻き込まれるのはこの中では浅野だけだが、ベテランの力を借りずとも、岡本不在の打線を若手で活性化させてほしい。それが今年だけでなく、来年以降のジャイアンツ打線をつくる源となるはずだ。