5月上旬、海の向こうから衝撃的なニュースが舞い込んできた。前田 健太(PL学園)が、デトロイト・タイガースからDFA(事実上の戦力外)されたのだ。その後、ウェーバーを経てシカゴ・カブスとマイナー契約を締結し、現在はメジャー昇格へ向けて汗を流している。
2010年代のプロ野球を牽引してきた存在である前田の苦境は、決して海の向こうの話だけではない。日本球界でも、かつて一時代を築いたスター選手たちが、今シーズンは思うような結果を残せずに苦しんでいる姿が目立っている。
同じ1988年生まれ世代では、田中 将大(巨人/駒大苫小牧)と坂本 勇人(巨人/光星学院)が心配だ。楽天から巨人へと活躍の場を移した田中は、移籍後初登板で日米通算198勝目をマークした。しかし、その後の2試合では振るわず、現在は二軍調整中。坂本も不振にあえぎ、4月に入ってから登録を抹消された。岡本 和真(智弁学園)のアクシデントにより5月に一軍へ復帰したものの、すぐに二軍降格。通算2400本以上のヒットを積み重ねてきたレジェンドが、苦しんでいる。
柳田 悠岐(ソフトバンク/広島商)は不振ではなく、骨挫傷により離脱している。昨年も肉離れで長期離脱を余儀なくされ、出場試合数は52試合にとどまっていた。坂本ほどの打者でも、成績が大きく下降しているだけに、復帰後に柳田がどのような成績を残すのかは興味深い。
そのほか、筒香 嘉智(DeNA/横浜)と中田 翔(中日/大阪桐蔭)のスラッガー2人も二軍調整中。山田 哲人(ヤクルト/履正社)は一軍でスタメン出場も多いが、打率.217とらしくない。守備でも精彩を欠く場面が見受けられ、万全の状態とは言い難い。
多くの選手が苦しむなかで、秋山 翔吾(広島/横浜創学館)は元気だ。開幕直後に右足首を痛めていたが、すでに一軍へ復帰。復帰後初スタメンとなった試合では、先頭打者ホームランを放つなど4打数3安打。ここまで8試合の出場ではあるが、打率.400、OPS1.029と打撃で存在感を示している。故障明けであることや、他の外野陣が好調であることもあり、常時スタメン出場とはいかないが、頼もしさを感じさせてくれる。
現在苦しんでいる坂本や筒香、田中、前田ら2010年代を牽引してきたスターたちが、このまま下降線をたどってしまうのは寂しい。秋山のようにチームを支える頼もしいベテランとしての復活を期待したい。