<令和7年 春季関東地区高校野球 埼玉県大会:花咲徳栄6-3埼玉栄>◇25日◇1回戦◇県営大宮球場

 埼玉栄の今年の代は新チーム結成時から苦難の連続であった。新人戦で大宮北に敗れると、秋季埼玉県南部地区予選でも市立浦和に敗戦。市浦和戦はエース和泉晴也(3年)が先発するも和泉と田島颯斗(2年)の2投手で15安打を浴びるなど完敗だった。

 その後、猛練習する予定だったが、学校事情で秋以降グラウンドが使えない時期が続き、使えるようになったのも今年に入ってから。

 しかし、この日は花咲徳栄に3対6で敗戦するも、打線は花咲徳栄ほぼ同数の10安打を放った。投げては2回途中から登板した和泉が強打の花咲徳栄打線に対し、7回1/3を3失点とまずまずの投球を披露した。

「昨秋とは見違えるよう。生まれ変わりました。走攻守共に心も充実しているので。試合内容だけ見れば大差ない」

 山田監督にとっても選手達にとっても感慨ひとしおであろう。

 エース和泉はウリであるホップ成分の多い直球を軸に変化球を交え復活、1年夏から登板する経験値を見せつけた。

 もし和泉先発で行っていたらという仮定が頭をよぎるが、山田監督は

「先発の田島はこれまで練習試合などで調子が良く、花咲徳栄とやる場合は和泉・先発で行くより競った展開で和泉へ繋いだ方が・・・という計画だった」

と、プラン通りだったことを強調し、田島をフォローする。

「強いて言えば、ここぞ、の場面で1本が出ない所。2年生の多い若いチームですが、長岡(琉太・3年)や津郷(那智・3年)は1年生の頃から出ているだけに3年生にはもう少し頑張ってもらえたら。夏までに改めて日々の生活を見直し、勝負強さの部分を突き詰めたい」

 と、注文をつけることも忘れなかった。

 エース和泉はもちろん、4回裏には適時打を放つも、その他のチャンスで3度凡退した長岡や津郷などチームの軸になるべき3年生がチームを引っ張ることができれば、投手陣に和泉より球速のある2年生が2人いるだけに夏上位進出へ視界も開けるはずだ。