高卒プロ志望の選手には保険をかけない理由
近年では有望高校生がプロ志望届を出さずに進学するケースが増えている。京都国際でも以前より経済的に恵まれた選手が多く入ってくるようになり、大学や社会人を経由してプロを目指そうと考える選手が増えてきた。小牧監督も本人の意志が強い場合や経済的に厳しい場合でなければ、進学する方が賢明だと考えている。
「これはプロ野球に限らず、社会に出てもそうだと思うんですけど、昔みたいに会社が潤っていて、若手をじっくりと時間をかけて育てようという風土がもうなくなってきているじゃないですか。どこの会社も即戦力が欲しい。だから、僕は大学経由の方が良いかなと。それでも本当に野球で飯を食っていく覚悟があるのなら、プロにチャレンジした方が良いんじゃないかなとは感じています」
プロ志望の清水詩太内野手
京都国際はこの6年間で9人がプロ入りしており、そのうち6人が育成指名で入団している。選手によっては支配下縛りをしたり、指名漏れした場合に大学や社会人などの進路先を予め用意する場合も少なくない。だが、小牧監督はこうしたことを許容していない。それは選手に覚悟を持ってほしいからだ。
「プロ志望の子には『順位で縛るのだったら、最初から志望届を出すな』と言います。這い上がっていく覚悟がない子は何位でも無理です。『保険が欲しいのだったら、先に大学や社会人に行った方が良いよ』と厳しいことをあえて言います。だから、うちはプロ待ちというのは基本的にしないです。だから、『指名されないことも覚悟の上で必死に練習しなさい』ということは言っています」
今年は清水詩太内野手がプロ志望を表明しており、育成指名でもOKと意思を示している。「何をやっても中途半端だった」と小牧監督には取り組みの甘さが見えたそうだが、プロを目指すと覚悟を決めてからは明らかに意識が変わった。それが学業にも好影響をもたらしたという。
「試験前なので、全体練習は少なかったんですけど、清水が『自分はプロ目指しています。最低限の勉強はするから練習させてほしい』と言ってきました。そうすると、練習をガンガンやっているのに、勉強も短時間で集中してやっていたので、過去最高の成績を取ったんです」