大阪桐蔭vs東海大菅生
「王者」らしい集中打で因縁の対決に勝利、大阪桐蔭エース前田は自己最速147キロマーク

前田 悠伍(大阪桐蔭)
<センバツ高校野球:大阪桐蔭6ー1東海大菅生>◇29日◇準々決勝
史上初の春センバツ2度目の連覇を狙う大阪桐蔭(大阪)と、昨年秋東京王者の東海大菅生(東京)の激突。21年夏甲子園で対決したときに雨でぬかるんだコンディションのなか、互いに好ゲームを演じながら降雨コールドで大阪桐蔭が勝利した。継続試合実現に向けた議論が湧き上がったきっかけにもなった因縁の対決の再現。この日は晴れ渡る好天の中で行われたが、大阪桐蔭が再び勝利した。
東海大菅生は大黒柱の右腕エース・日當 直喜投手(3年)ではなく、末吉 陽輝投手(3年)を先発に起用した。連投になる日當の疲労を考慮したが、大阪桐蔭はようやく「らしい」攻撃を見せる。1回、2回と安打を放って得点のチャンスを作った。得点にはならなかったが、今大会調子が上がらない打線が、各打者とも積極的にスイングしていた。
その姿勢は3回に実る。東海大菅生の2番手・島袋 俐輝投手(3年)を攻め、無死満塁のチャンスから4番・南川 幸輝捕手(3年)が態勢を崩されながら、ほぼ右手1本でフォークボールをさばいて右前へ2点適時打をマーク。エース日當をマウンドに引きずり出し、その日當からも犠飛と適時打で2点を追加した。「王者」らしい鮮やかな集中打だった。
5回には5番佐藤 夢樹内野手(3年)がセンターバックスクリーンへのソロで1点を追加した。外角低めの難しい直球をリストの強さを生かした打撃で運んだ豪快な1発。佐藤にとってはうれしい甲子園初安打がバックスクリーン弾となった。
大阪桐蔭先発の前田 悠伍投手(3年)は初戦に次いで2度目の完投勝利を挙げた。切れのある直球に、スライダー、チェンジアップを丁寧に低めに集めた。時折ギアを入れた直球を見せ、自己最速となる147キロをマークするなど、2ケタ11奪三振無四球1失点の好投だった。大阪桐蔭は昨年に続いてベスト4。史上初2度目の春連覇の偉業へ、マジック2とした。
東海大菅生の日當は6回を投げて2失点だったが、イニングを上回る7奪三振をマークした。自慢のフォークボールで大阪桐蔭打線に立ち向かった成果を自信に、夏に向けてさらにレベルアップした投球を期待したい。
(記事=浦田 由紀夫)