Column

市立岐阜商業高等学校(岐阜)

2017.02.21


集合写真(市立岐阜商)

冬はスパイクを履かず足袋を使用!

■多くの運動部が全国クラス
市立岐阜商業高等学校は岐阜県岐阜市にある商業高校。相撲部・剣道部・陸上競技部・ハンドボール部などが全国大会の常連で野球部も4度甲子園に出場している。現在の部員数は1年生26人、2年生28人で2008年以来の甲子園出場を目指す。

■冬は足袋を履く

グラウンドは陸上部と共有のため、平日に全面使えるのは木曜日だけで、週末も土曜日は広くは使えない。学生コーチを務める川出 凱斗さんは、「秋の大会は地区大会から接戦が多く、接戦をものにしながら勝ち進むことで力をつけることができました。多くの課題が見つかった地区大会県大会でもありました」と振り返った。この冬は打力の強化(1日1000スイング)、開脚身長丈以上(全員)、スピードアップ(30mダッシュのタイムを縮める。動き出しの反応の時間を縮める)を目標に練習に励む。具体的なメニューとして

・100mインターバル(100mの直線を18秒で走り、42秒でスタート位置にジョグで戻る。20本~40本)
・近距離ノック(10mほどの近距離から受ける個人ノック。1セット10本捕りで5セット。グラブさばき、反応力、フットワーク、体力を鍛える)
・5か所バッティング(5m離れた正面から投げられたボールをセンター方向に飛ばす。1か所2分間打ちっぱなしで移動しながら5か所打つ)

 などの練習に取り組む。さらに特徴的なのが、冬はスパイクを履かず足袋を使用する点だ。下半身強化は足の裏から始まる。

■バッテリーの活躍で強敵撃破
川出コーチはチームの特徴として、「バッテリーを中心とした粘り強い守備力。チーム全員がハツラツとしたスピード感のある動きができること。派手さはないが、個々がコツコツ努力すること 」の3つを挙げた。そんなチームは昨秋の県大会1回戦で県立岐阜商を破った。秋に活躍したのはバッテリー。川出コーチによると佐藤 健太郎選手は「捕手としてチームを引っ張ってくれました。県大会1回戦の県岐商戦でもピンチの場面で盗塁を刺し、ピッチャーを助けましたし、決勝点となったサヨナラスクイズも佐藤が決めました」と強敵撃破に貢献し、加藤 匠選手については「秋季大会のエースピッチャー。同じ2年生の左投手の吉田 祥一朗が肘痛で長いイニングは投げられない中、気迫のこもった投球でチームを引っ張りました」と奮投した。

■堅い守りは普段の意識から

昨秋の県大会
では2試合でわずか1失点だった市立岐阜商。川出コーチによると
・キャッチボールを大切にする。(送球ミスを無くす)
・打者の打力や配球による打球予測と1歩目のスタート
・内野と外野で常に声やジェスチャーで確認を行う
・カバーリングの徹底
・ミスを重ねない、ミスで崩れない意識(練習からのこだわり)
・開脚は全員身長丈以上により、野手はボールに対して低く入れる。投手も下半身を使って投球ができる

 これらの点についてチームで心掛けているという。しかし、県立岐阜商を1対0で破った次の試合で、今度は0対1で敗れてしまった。最も印象に残っていると話すのもこの試合だ。「粘り強い守備でピンチを切り抜けましたが、攻撃面でチャンスでの1本が出なかった。1回戦の県岐商戦で勝利したこともあり、勝てるだろうという慢心もあったのかもしれません」

■公立高校で全国制覇を

東海大会優勝を目指すこの春、期待をかける選手はバッテリーを含めてたくさんいる。川出コーチに特徴と共に教えてもらうと
吉田 祥一朗(左スリークォーター。秋は怪我で短いイニングしか投げられなかった。)
加藤 匠(右オーバースロー。秋のエース)
長岡 慶普(キャプテンで4番)
佐藤 健太郎(捕手、副キャプテン)
中神 拓都(1年夏からショートでレギュラー)

 特に中神の長打力と佐藤のスローイングは大きな武器だ。
「この冬どこよりもバットを振り、走り込み、トレーニングを行って課題の打撃力を強化して全国で勝ち上がれるチームになります。また、自分たちで考え、企画し、行動をしていく練習をこの冬に重ね、『自立』したチーム、選手として春以降の公式戦でハツラツと、堂々とプレーする姿を見せられるよう厳しく取り組みます。必ず公立高校で全国制覇をやり遂げます!」
川出コーチは頂点のみを見据えている。

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[page_break:バカになって良い雰囲気で取り組める]

バカになって良い雰囲気で取り組める

 ここからは長岡主将と、1年生ながらレギュラーの座をつかんだ中神選手にお話を伺います。

長岡 慶普選手(市立岐阜商)

Q. 秋に見つかった課題は何でしたか?

長岡:打力と走力です。具体的には凡打の内容、打線としてのつながり、相手投手への対応力、先の塁を狙う姿勢、二塁から1本で還るベースランニングです。
中神:打撃の弱さです。ここぞという勝負どころで決めきる事が出来ませんでした。

Q. この冬はどんな冬にしたいですか?

長岡:とにかくバットを振り、スイング力、打撃技術を身に付けてこれだけやってきたと思える「お守り」をつくるため、自分たちを極限まで追い込んだ練習をします。
中神:一人ひとりが自覚と責任を持って取り組み、自己を伸ばしていける冬にしたいです。

中神 拓都選手(市立岐阜商)

Q. モットーや好きな言葉は何ですか?

長岡:
(ど)努力した
(ろ)路は
(く)苦しくても
(さく)咲く
(泥臭く)
中神:「負けん気」です。

Q. 他のチームに負けないこのチームの長所は何ですか?

長岡:苦しい状況(練習の時など)に全員で声を掛け合い、バカになって良い雰囲気で取り組めるところはどのチームにも負けないと思います。
中神:波に乗った時の盛り上がりとしんどい時に周りに明るい声をかけてあげられるところです。

Q. この冬の目標宣言をお願いします。

長岡:岐阜県で1番頼りになる打者になり、チームを甲子園に連れていきます!
中神:下半身を強化し、右中間にホームランを打てるようにします。それと現在136km/hの球速を140キロまで上げます。

 長岡主将、中神選手ありがとうございました。

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[page_break:どれだけ個々が自分に向き合い練習に取り組むかが鍵]

練習風景(市立岐阜商)

どれだけ個々が自分に向き合い練習に取り組むかが鍵

 最後に、秋田 和哉監督にお話を伺いました。

Q. 新チームのチーム作りはどのようにされましたか?また、この冬のテーマも教えて下さい。

 夏は3年生が中心のチームで、新チームはほぼ一からのスタートでした。2年生を中心に組織力の向上、個々の体力アップを含めた戦力のアップを考えながらスタートしました。キャプテン・マネージャーを中心に練習メニューの立案、ゲームの反省、チームの課題を選手全員参加のミーティングを重ねてやってきました。秋の大会は得点力不足でしたが、投手中心の守りの野球は実践でき、失点の少ないチームにはなりました。今冬は、まずパワーアップと攻撃力の向上という課題のもと、ランニング、スイング等の基礎基本の反復練習を中心にこの冬で向上していきたいと思います。

Q. 冬の練習に励む選手にメッセージをお願いします。

 昨夏、秋の悔しさを忘れず、どれだけ個々が自分に向き合い練習に取り組むかが鍵となる。3月までが勝負。自分を高めることに集中してもらいたいです。

 秋田監督、市立岐阜商業野球部の皆さんありがとうございました。堅守に打力を加えて全国制覇を目指して下さい。


今年も大好評!
冬が僕らを強くする 特設ページ
各チームのページ下部にあるフォトギャラリーもお見逃しなく!

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この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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