試合レポート

県立船橋vs津田沼

2015.08.20

県立船橋エース伊木、躍動!チームを引っ張る決意をプレーで示す!

先発・伊木(県立船橋)

 習志野秋津野球場での秋季千葉県大会一次予選1回戦の2試合目、県立船橋津田沼の一戦は、時折小雨がぱらつく中行われた。

 初回にまず1点を先制した県立船橋。続く2回表、先頭の6番・金がヒットで出塁すると、7番・軍司が右中間を破るタイムリースリーベースを放ち、すぐさま1点を追加。この回3点を奪い、序盤から4対0とリードを奪う。

 県立船橋先発は、背番号1のエース・伊木。序盤から丁寧にコースを突き打たせて取るピッチングで危なげなくアウトの山を築いていく。バックの堅守にも助けられ、5回を投げ抜いた時点で、1人のランナーも許していないパーフェクトペースだ。

 なんとか塁に出たい津田沼は、6回裏一死から8番・三村がしっかりと見極め四球を選ぶ。初めてのランナーに盛り上がるスタンドと津田沼ナイン。9番・笛田もヒットで続き一死一二塁とするが、その後ランナーが飛び出してしまうなど思うような攻撃が出来ず、チャンスを生かすことができない。

 エースの快投に好守で応える守備陣と理想的な守りを見せる県立船橋だったが、その裏で、攻撃面ではややフラストレーションの溜まる展開となっていた。序盤こそ得点を重ねていた打線だったが、4回に相手エラーで1点を奪った後はランナーを出すもののあと1本が出ず、無得点。津田沼先発・尾崎と5回から代わった江波戸に抑え込まれ、じりじりとした嫌なムードが漂う。

 しかし、そんな嫌な重いムードは一瞬で振り払われた。
8回表、先頭の4番・浅井が津田沼3番手として登板した中田の代わり端を攻め、サードへの内野安打で出塁する。続く5番・明戸が思い切りよく振りぬいて放った打球は、ぐんぐんと伸びレフトフェンスを越える2ランホームランに。
「インコースのストレート。その前まで振れていなかったので、とにかくしっかり振ろうと思っていました。行っちゃった!って感じでしたね」と打った明戸が試合後にはにかむ一打で、県立船橋打線が一気に盛り上がりを見せる。この後2点を追加し9対0と県立船橋がさらにリードを広げる。その裏の津田沼の攻撃を伊木からマウンドを譲り受けた小柳が抑え、ゲームセット。県立船橋が8回コールドで勝利を収めることとなった。


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!千葉県の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

先発・尾崎(津田沼)

 7回を投げ無失点。2安打1四球と好投を見せた伊木は試合をこう振り返る。
「今日はコントロールが良かった。それと、守備が本当によく守ってくれました。だから、四球さえ出さなければ大丈夫だと思っていました。自分の中で5回パーフェクトというのはあまり意識していなかったですね。」

 6回裏、一死から出した四球も、フォームを修正している中で少し高めに浮いてしまったという、いわば納得できる四球だという。初めてランナーを出したという勢いに乗る津田沼にその後ヒットを打たれるものの、動揺するそぶりも見せず伊木は代わりに笑顔すら見せていた。それは新チームの背番号1を背負うものとして自覚をきちんと持っているから。
「自分が投げたら勝てる。チームを勝たせるという選手になっていきたい。」
言葉通り、ピッチングでチームを引っ張っていく覚悟だ。

 また、試合を決定付ける2ランホームランを放った明戸は「今日はその前の打席が振れていなくて迷惑をかけてしまって…」としきりに恐縮していたが、夏の経験者として、そして最上級生として、ここ一番で打てる打者になりたいという目標の第一歩をクリアしたと言ってもいいだろう。

 そんな投打のヒーローに秋の目標を聞いてみると、同じ答えが返ってきた。
「一戦一戦勝ち抜くことがまず目標。その先に、本大会、関東大会、そして春の甲子園に出る、という大きな目標があります。」
そういって胸を張り、目を輝かせ理想に燃える県立船橋ナイン。まずはその目標に向かい、大きな第一歩を踏み出した。

(文=青木 有実子


関連記事
・2015年秋季大会特設ページ
・あの学校の取り組みは?!千葉県の野球部訪問を一挙紹介!

2015年秋季大会

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.18

【長崎】長崎西、島原中央などが初戦を突破<NHK杯地区予選>

2024.05.18

【春季関東大会】鹿島学園が逆転勝利!左腕コンビのリリーフで樹徳との接戦を制する!

2024.05.17

【春季関東大会注目野手一覧】超高校級のショートトリオ、健大高崎の強肩捕手など24人の逸材野手をピックアップ!

2024.05.18

国民的人気だった韓国の高校野球はなぜ凋落したのか? “韓国の甲子園球場”の撤去、少数エリート制度の弊害……【韓国高校野球事情③】

2024.05.17

【関東大会注目チーム紹介】13年ぶりの春季埼玉王者・花咲徳栄打線は超強力!ドラフト上位候補スラッガー・石塚を中心に県大会58得点!

2024.05.15

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.05.13

【24年夏全国地方大会シード校一覧】現在29地区が決定、愛媛の第1シードは松山商

2024.05.14

大阪体育大の新入生に兵庫大会8強の145キロ右腕、金光大阪の1番センター、近大附の4番打者など関西地区の主力が入部!

2024.05.16

【宮城】仙台一、東北、柴田、東陵がコールド発進<春季県大会>

2024.05.13

大阪桐蔭、山梨学院、慶應義塾…強豪校・名門校の昨年度卒業生はどの進路を歩んだのか?【卒業生進路一覧】

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.29

【福島】東日本国際大昌平、磐城、会津北嶺、会津学鳳が県大会切符<春季県大会支部予選>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?